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治験・臨床試験 &医薬品開発用語集 |
生物学的同等性試験 |
Bioequivalence Study |
解説(1) |
生物学的同等性試験とは? |
既に新医薬品として承認された医薬品(先発品)と生物学的に同等であることを証明するために実施する試験。 「BE試験」と呼ぶこともあります。 |
試験の主旨に同意して、 |
具体的には、 |
試験の実施方法 |
生物学的同等性試験は、通常、「クロスオーバー法」で行います。 対象人数が10名から20名程度と少人数で済むのが、クロスオーバー試験の特徴です。 |
試験結果の評価 |
試験結果の評価は、血中濃度の推移(AUCや血中濃度曲線)で信頼区間の範囲内であれば良いとされます。 薬剤の吸収パターンが同じであることを証明すれば、薬剤の効き目が同じである、すなわち、治療効果の同等性が科学的に保証される、という原理(前提)があるからです。 |
解説(2) |
生物学的同等性試験が必要な理由 |
同じ薬効成分を同量含む製剤であっても、製造元によって不活性成分(薬効成分以外の添加物)の種類や組成が異なったり、製剤のコーティング物質やコーティング方法が異なるため、製剤から薬効成分が溶け出す速度が一致しない場合があります。 そのわずかの差によって、薬物のバイオアベイラビリティ、吸収パターン、すなわち、効き方(効き目)が違ってくるのです。 従って、後発品(ジェネリック)を当局に申請する際には、先発品と同等の作用を持つことを証明するデータが必要とされます。 生物学的同等性試験は、それを得るために行う試験の1つなのです。 |
後発品は先発品と同一成分であれば、第U相、第V相のような複雑で手間と時間のかかる臨床試験が免除されます。 その分、製剤技術の違いによる効き方(効き目)の違いが問題となります。 生物学的同等性試験は、先発品と後発品のバイオアベイラビリティの一致を確認するための試験と言えます。 |
なお、後発品申請の際に、他に必要な試験として、薬物の溶け方を先発品と比較する「溶出試験」があります。 |
後発品申請以外で実施される場合 |
後発品申請以外では、「含量違いの製剤」を同時に申請したい場合や、開発中に「製剤の処方を変更」した場合に実施されます。 |
解説(3) |
ただ乗り感 |
先発品の開発段階において、動物実験から第T相〜V相の治験が実施され、成分による安全性と効果はすでに確かめられています。 そのため、後発品では、生物学的同等性試験と溶出試験のような小規模の試験を実施するだけで、医薬品としての承認を得ることができます。 |
後発品(ジェネリック)は、先発品によって 重篤な副作用の発現による開発中止というリスクも無いので、開発費がかからず、安価な値段で販売できます。 それが認められるのは、国家の医療費削減(正確には、薬剤費削減)という財政上の目的があるからです。 |
もっとも、後発品は先発品の特許が切れなければ、製造販売することができないので、それまで、じっと待たなければなりませんが。。。 |
解説(4) |
後発品の生物学的同等性についての疑惑 |
2004年3月26日の日刊薬業によると、 プラバスタチン(高脂血症薬)の後発医薬品の生物学的同等性試験結果を基に、各製剤の同等性評価を実施したところ、各後発医薬品の成分や含量が同じにも関わらず、体内に取り込まれた薬の量を示す指標である、血中濃度-時間曲線下面積(AUC)において、3倍以上のばらつきが認められた。 つまり、後発品メーカー各社は、申請時に生物学的同等性試験を実施して、オリジナルの先発品と同等であることを証明はしたが、それら後発品を製剤間で比較すると、 これだけのばらつきが生じた原因として、 この研究報告によって、医師がジェネリックの品質に懸念を抱く根拠として、データとして裏づけらたことになり、後発品メーカーは、懸念を払拭するような対策が必要でしょう。 |
関連リンク集 |
後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン (1997/12/22) 【工事中】★リンク切れ |
後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A) (1998/10/30) 【工事中】★リンク切れ |
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