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医薬系の書籍や新聞などでよく取り上げられる、次のような言葉があります。

「クスリ」を逆さまにすると、「リスク」となる

英語と日本語なので、偶然の一致だとは思いますが、「クスリ」(医薬品)の性格を非常に良く表したブラックジョークであることは間違いありません。

なぜなら、「クスリ」と「リスク」は表裏一体の関係であることは、まさしく事実なのですから。

 
 

通常、軽微な疾患(症状)の治療には、重大な副作用の可能性のある医薬品は用いません。

逆に、非常に致命的な疾患の治療には、重大な副作用の可能性があっても、最も治療効果のある医薬品を使います。

まず、その危機的状況を脱することが優先されるからです。

 
 

一般に、
治療効果の高いクスリは
 副作用のリスク・程度も高い
という悲しい現実があります。

例えば、癌の治療における抗癌剤の投与が挙げられます。

抗癌剤は、癌細胞を殺すと同時に、正常な細胞までも破壊してしまいます。

それによる副作用の辛さは、想像を絶しているとさえ言われます。

もちろん、より副作用の少ない抗癌剤の開発が現在、急ピッチで進められています。

以前に比べれば、抗がん剤の副作用は多少軽くなってきてはいるとのこと。

それでも依然として、抗がん剤の副作用は、治療自体を除けば、患者にとって最大の悩みの種ではないでしょうか?

 
 

@ 効果は低いが、
  安全投与範囲の広いクスリ

A 効果は高いが、
  安全投与範囲の狭いクスリ

安全投与範囲
  ……副作用が発現せずに
     効果だけが出るような
     クスリの投薬量範囲

日本では、これまで、主に前者@のタイプの薬が多く使われてきました。

このような薬だと、あまり効きはしないのですが、大きな副作用も出ません。

もともと、改善の見込みが無いような、痴呆症(脳血管障害、アルツハイマー)などには、「家族の気休めになる」「病院も儲かる」「
患者の苦痛もない」と3拍子揃っているという理由で、この手の効かない薬がバシバシ処方されていました。

一方、欧米の薬は、非常に良く効きます。

その代わり、処方(投与法、投与量)を間違うと、すぐに副作用が出るという、リスクと効果の高い後者Aのタイプの薬が主流でした。

では、どちらがいいのか?
という質問に対しては、
明らかに後者であると言えるでしょう。

効き目のある薬を、
 副作用が出ないように処方する
というのが、プロフェッショナルな医師の本来の姿であるからです。

しかし、それだけの高度かつテーラーメードな処方が、日本の3分間診療の現場で、薬剤の知識が不十分だと言われている医師達によって、果たしてどこまでできるのか、 非常に疑問です。

だからといって、国民皆保険の状況で、高レベル高品質の医療を安価で提供できるかと言えば、それも不可能だと言わざるを得ません。

 
 
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