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副作用」とは、
より正確に言うなら、
薬物有害反応」(以下、副作用)とは、
人体に現れた有害な症状(有害事象)のうち、薬剤との因果関係が否定できない反応
を言います。

従って、薬剤との因果関係が無ければ、
それは副作用とは呼べません

→ 副作用

→ 薬物有害反応(ADR)

治験中に現れた「有害事象」等によって、
被験者に何らかの健康被害が生じ、それによって治療や追加検査が必要になった時は、

治験との因果関係が否定できない場合に限り、それにかかる治療費及び検査費を、治験依頼者(製薬企業等)が負担する
ということになっています。

→ 有害事象

※ なおここで、「有害事象等」と表現しているのは、「治験には関連していても、有害事象ではない原因」によって健康被害が起こる場合があり得るからです。

たとえば、治験担当医師あるいは治験スタッフによる故意の行為などです。

可能性は非常に低いですが、ゼロではないはずです

したがって、「副作用」によって健康被害が発生したかどうかというより、もっと幅広く考えて、「治験への参加」によって健康被害が発生したかどうか、が問題となります。

治験依頼者による、被害者に対するこれらの負担行為を「補償」と呼びます。

※ちなみに、「補償」と「賠償」とは、全く異質な(次元が異なる)ものなので、注意が必要です。

→ 賠償責任と補償責任 

→ 治験における賠償責任と補償責任の相違点

なお、ここで重要な点は、
治験との因果関係が否定できなければ
という点です。

明らかに因果関係が否定できる場合は、
当然「補償」されません

因果関係などまったくないのに、あたかも、因果関係があるかのように装って、補償を得ようとする試みは、おそらく失敗するでしょう。

よく覚えておきましょう!

→ 因果関係の程度の考え方

また、治験実施施設(医療施設)の過失(過誤)による健康被害については、治験依頼者(製薬会社)と治験実施施設が、取り決め(契約)に基づいて負担し合うことになっています。

従って、仮に治験参加中に何らかの健康被害を生じても、よほど偶発的な疾患または事故でない限り、被験者の金銭的負担は発生しません。

補償(治療費等の負担)をしてもらえるはずです。

ちなみに、答申GCP(GCPの運用について規定した通知)には、次のように規定されています。

治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、
過失によるものであるか否かを問わず被験者の損失は適切に補償されなければならない。

その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。

(答申GCPより)

つまり、

● 被験者に健康被害が生じたら、本人の過失の有無に関わらず、補償する

● 因果関係の証明は被験者に求めない

つまり、万一、健康被害が生じたら、責任持って補償も対応もするから、被験者は安心して治験に参加して欲しい、ということです。

治験に参加する方は、ぜひ覚えておくと良いでしょう。

Q&A-12. 治験に参加するデメリットは?
Q&A-13. 治験は安全か?副作用は出ないのか?
副作用
予測できない副作用
既知の副作用
重篤な副作用
薬物有害反応(ADR)
医薬品の投与と副作用
クスリとリスク
有害事象
重篤な有害事象
 
 

治験に参加したことによって、治験参加中あるいは治験終了後に、最悪な健康被害が生じた場合、つまり、死に至った場合や、後遺症が残った場合には、当然「賠償請求問題」となります。

賠償対象と判定された場合は、治験依頼者である製薬企業から、被験者あるいは遺族に対して、被害額相当の賠償金が支払われているようです。

ここで、重要なのは、「賠償」と「補償」は全く異質な(別次元の)ものだということです。

「賠償」は裁判によって勝ち取らなければならないものですが、「補償」は製薬企業が自発的に行うものです。

「賠償」の場合、支払われる金額は高いですが、相手の賠償責任が裁判所に認められる難易度も高くなります。

一方、「補償」の場合、支払われる金額はそれほど高くありませんが、治験依頼者から支払いの対象として認められる難易度はずっと低くなります。

また、賠償請求訴訟を起こした場合、事実と因果関係を立証するのは非常に難しく、時間と費用がかかります。

しかも、「未知の副作用」は賠償対象とならない、という根本的問題があります。

よほどの場合を除き、製薬企業が提示してくる「補償」で妥協をせざるを得ないのが現状です。

詳細は、治験の賠償・補償コーナーを読んで下さい。

→ 賠償責任と補償責任 

→ 治験における賠償責任と補償責任の相違点

ところで、製薬会社は大抵、万一の場合に備えて、多額の「治験保険」に加入しています。

果たして賠償金あるいは補償金の支払い能力があるのだろうか? などと心配する必要はありません。

結局、「補償」か「賠償」かを決める際は、

● 被験者に生じた永続的な健康被害が、治験薬によって、あるいは、治験に関連して生じたものなのかどうか

● 副作用(薬物有害反応)の場合、「既知の副作用」なのか「未知の副作用」なのか

● 服薬等に関して、被験者の過失や故意があったか

という点が議論の焦点となります。

特に、被験者が故意に担当医師の指示を守らず副作用が生じた場合は、補償はともかく、賠償のほうは受けられない可能性が高くなります。

法律用語でいう「過失相殺」です。 。

損害賠償
 
 
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