治験中に現れた
有害事象(人体に現れた有害な症状)によって、
被験者に何らかの健康被害が生じ、
それによって治療や追加検査が必要な場合は、
治験との因果関係が否定できなければ
かかる治療費及び検査費を、
治験依頼者(製薬会社)が負担する
ことになっています。

治験依頼者によるこれらの負担行為を「補償」と呼びます。

ここで重要な点は、
治験との因果関係が否定できなければ
という点です。
裏返せば、
明らかに因果関係が否定できる場合は、
「補償」されません。

よ〜く覚えておきましょう!

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因果関係が否定できないとは?

補償において、最も重要なのは、
治験との因果関係が否定できなければ
という点です。

理屈っぽい人が考えそうなことですが、

  因果関係が否定できない
=因果関係がゼロではない(わずかでもあればいい)

という訳ではありません。

(1)因果関係が明らかにあれば「補償」します。

(2)因果関係があるかどうか断定できない場合でも、
   はっきりするまではとりあえず、
   当面の医療費の負担(補償)
します。

しかし、

(3)因果関係の可能性が「わずかしかない」のであれば、
   「補償」はしません。

  例えば、0〜10%の確率しかない場合です。

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因果関係何%までなら補償されるか?

では、因果関係のある確率が何パーセントだったら、
「因果関係が否定できない」
と見なされるのでしょうか?

医法研のQ&Aによると、

答申GCPの求める補償責任は、
絶対責任まで求めるものではない。
因果関係がないという立証の程度は
「証拠の優越(51%証明)で足る」

分かりやすく言えば、
因果関係が無いということを
立証できる程度(確率)が「51%(証拠の優越) 」あれば、
因果関係は無いと証明したことになります。

つまり、
因果関係のある確率が49%であれば、
因果関係は否定される」のです。

え〜、因果関係が49%でも否定されてしまうの?

と驚かれるかもしれません。

私も驚きです。

ただ、実際の現場では、
因果関係の確率がもっと少ない場合、
例えば、40〜49%であっても、
「因果関係が否定しきれない
(否定できないより、もっと判定が甘い)
と判断されて、
補償の対象としているようです。

補償の下限を、
さらに低い値30%位にするべきかどうかは、
補償する側としてみれば悩むところではあります。

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