→ 用語集インデックス
戻るボタン

医薬品メーカーが、医薬品のライフサイクルを考慮しつつ、当該医薬品がもたらす総売り上げを最大化するような戦略を立て、実行すること。

→ 医薬品のライフサイクル

総売り上げ(売り上げ推移曲線と時間軸間の図形の面積)を最大化するための戦略として、「製品の価値最大化」と「製品の寿命延長」がよく挙げられます。

しかし、これら2つは、それぞれが独立関係にあるのではなく、
「製品の価値最大化」
→「製品の寿命延長」

という因果関係があります。

売り上げ推移曲線を、売り上げ軸の上方向に水平移動すれば、自動的に製品の寿命も伸びることになります。

また、この2つの戦略をさらに具体化すると
次の4つの分類に整理できます。

 
 

1.医薬品の立ち上がり期間の短縮化

MRによるプロモーション活動も重要ですが、上市前からの、特に治験段階からの医師へのアプローチ・宣伝活動が重要です。

2.医薬品の最大売り上げ(ピーク値)のアップ

3.医薬品の高い売り上げ状態の持続

MRによるディテーリング活動(適正使用情報の提供、安全性情報の提供)を効果的に実施する必要があります。

4.医薬品の寿命延長

● 適応症の拡大(効能追加)、
● 剤形追加、
● 用法・用量の改善

を実施することによって、製品価値の持続、あわよくば再浮上が見込めます。

結果として製品の寿命が延長されることになります。

既に市場に出ている自社の医薬品に、新たな適応症や剤形を開発して加えることを、「Line Extension」と呼びます。

これらは、ジェネリック対策としても、非常に有効です。

特に、適応症の拡大は用途の特許期間が延長されるので、ライセンス戦略(特許戦略)としては不可欠です。

最近の11年間(〜2003年)にFDAが許可した新規医薬品(年間平均87製品)のうち、新しい有効成分を含有する医薬品は約3分の1に過ぎず、残りの3分の2は、追加適応症、新剤形、新投与経路、配合剤などに関するものだったという報告があります。

メガファーマの莫大な研究開発費や、バイオベンチャーの隆盛など、新規化合物の開発が盛んなイメージがある米国ですが、それだけではなく、むしろ、自社製品のライフサイクルを延長するために、たゆまぬ地道な企業努力が行われていることを、日本の製薬企業は学ぶ必要があるでしょう。

 
 

ジェネリック対策は、医薬品のライフサイクルマネジメントにおいて、避けて通れない問題です。

どの新薬開発メーカーも頭を悩ます問題で、製品のライフサイクルに非常に大きな影響を及ぼします。

● ジェネリックメーカーを牽制しつつ、一定のシェアを確保し続けられるよう努力するのか?

そして、ジェネリックの撤退を辛抱強く待つのか?

● 勇気ある撤退を行うのか?

● 他製品に販促の重点を移すのか?

→ ジェネリック(後発品)

→ 先発医薬品(先発品)

 
 

また、大規模臨床試験を次々に進めて、臨床上の付加価値をエビデンスデータで立証していくのも、医薬品の価値を高め、寿命を延長する有効な手段です。

→ 市販後調査とEBM

 
 

DDS(Drug Delivery System) の機能を薬剤に追加することにより、ジェネリックメーカーには簡単には追随できない高機能かつ有効性の高い医薬品に変身させることができます。

これこそが、高い技術力を持つ先発品メーカーだからこそできる、製品価値の最大化です。

成分を真似するのは比較的容易ですが、製剤技術、コーティング技術を真似するのは難しく、また、仮に真似できたとしても、その技術特許を取得しておくことにより、ジェネリックから自社製品を防衛(特許防衛)し、ライフサイクルを延長することができます。

→ ドラッグデリバリーシステム(DDS)

 
 
医薬品のライフサイクル
製品のライフサイクルマネジメント
上市(じょうし)
物質特許
製法特許
(医薬品の)特許期間
ジェネリック(後発品)
先発医薬品(先発品)
薬価/薬価制度
薬剤経済学(ファーマコエコノミクス)
医療経済学(メディカルエコノミクス)
薬剤比率
医薬品フォーミュラリ
EBM(Evidence-based Medicine)
市販後調査とEBM
市販後調査
製造販売後臨床試験
第W相試験
特別調査
ドラッグデリバリーシステム(DDS)
 
 
戻るボタン
→ 用語集インデックス