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医薬品の成分など、一定の使用目的を持った化学物質に対して与えられる特許権のこと。

物質特許方式」では、その化学物質に関するあらゆる用途での使用、及び、あらゆる製法による製造が保護対象になります。

「物質特許」「製法特許」「用途特許」の包含関係(カバーする範囲)は、次のように表せます。

物質特許 ⊃ 製法特許、用途特許

 
 

日本が「物質特許」へ移行した1976年までは、日本では「製法特許」が主流でした。

そのため、同じ化学物質であっても、製法さえ異なれば、製造することができる、という問題点がありました。

製法特許方式では、ある企業が莫大な投資をして年月をかけて、新薬候補となる新しい化学物質を発見しても、他社がその化学物質の別の製法を開発して、新薬として売り出すことができます。

一般に、個々の化学物質の製造方法は複数存在することが多く、別の製法を生み出すことは容易だと言われています。

一方、疾患に対する薬理効果が高く、人体にも安全である化学物質を発見することは、並大抵のことではありません。

製法特許方式を採用している限り、最初に化学物質を発見した企業は馬鹿を見るだけです。

そこで、第1発見企業の利益を守り、新化学物質の探求を促進するために、日本では、1976年1月1日に、製法特許から物質特許への移行が行われました。

なお、欧米ではそれ以前から、物質特許を採用していました。

ようやく、日本も欧米並みになったということです。

 
 
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