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新薬(新薬候補物質)の有効性を科学的に明らかにするための実験法としては、全く薬理学的活性を持たない「プラセボ」と比較することが、最も合理的であると考えられています。

本当に効果のある物質であれば、薬効成分のまったくないプラセボと比較することにより、その効果の差は明確に現れるからです。

※なお、「プラシーボ効果」をなくすため、二重盲験法を採用が不可欠です。

また、もし、効果のほとんどない物質であれば、プラセボとの差はほとんど見られないはずです。

科学的な観点から言えば、プラセボを使用することの意義は非常に大きいと言えます。

プラシーボ効果
 
 

実薬」を「対照薬」とする試験において、効果が同程度であると証明するのは、実は容易であることが分かってきました。

もっとも、それはあくまでも、統計的データ解析によって同程度であると示すことを意味しているだけで、「真に同程度であること」の証明とは本質的に違います。

効果が同程度あることを証明する試験
同等性試験」といいます。

試験を適当(いいかげん)に行えば行うほど、効果が同程度であると説明するデータが得られやすくなる」という、統計学上の「盲点」というか「抜け穴」があるのです。

統計学をよく知っている人にとっては、このことは常識だそうです。

もしかして、日本でこれまでプラセボが使われなかったのは、非医療性、非倫理性以前に、製薬企業が新薬の承認を選られやすくするための方策だったのかもしれません。

一方、米国(FDA)では、臨床試験の実施に対しては、プラセボ対照試験を多くの場合に強く要求しており、「臨床試験のための統計的原則」においても、「優越性試験」が中心に置かれています。

日米欧のICH会議における合意でも、プラセボ対照の臨床試験を推奨しています。

もはや、流れは、「実薬」→「プラセボ」となっています。

今後の課題は、「プラセボ」に当たるかもしれない「臨床試験」に対して、インフォームドコンセントによって、患者をどうやって納得させ、参加への同意を取得することができるかでしょう。

実薬
対照薬
同等性試験
優越性試験
 
 

十年以上前、効果のほとんどない「アルツハイマー治療薬」が市販され、使われているという事実が、市販後調査の結果明らかになり、承認が取り消されたという事件がありました。

副作用が少ないため、効果がなくても気休めの意味で、あるいは、治療しているというポーズのため、あるいは、大量の薬剤投与によって薬剤費を稼ぐため、医療の現場で使われ続けていたのです。

そもそも、そのような効果のない薬が承認されたのは、以前は臨床試験のデータねつ造が頻繁に行われていたこと、当時の当局の審査官が買収されていたことなどが、原因であると考えられます。

また、それ以外の原因として、同じ様に効果のない他の既存薬と比較して、有効性において同等である、あるいは、有効性において多少上回ると証明されたためだとも言われています。

つまり、有効性の少ない薬(実薬)を対照薬として比較すると、ちょっと治療効果があるだけでも、既存薬より有効な薬とされてしまうのです。

逆に言えば、「対照薬」として有効性の少ない薬(実薬)をわざと選ぶことにより、被験薬の有効性を相対的に高く見せることができます。

プラセボの倫理的問題を逆手にとって、意図的に有効性の少ない薬を対象薬とすることによって、新薬として承認されるのであれば、実に本末転倒なことです。

このように「実薬」を対照薬とする治験には、信頼性に大きな問題があります。

 
 
プラセボとは?
プラセボ対照試験
ヘルシンキ宣言におけるプラセボに関する記述
 
 
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