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治験・臨床試験 Q&A集 |
第T相試験の対象が男性だけなのはなぜか? |
回答 |
男性には妊娠や授乳がないので、胎児や子供に薬剤が影響することがないから |
第T相試験の対象者(治験参加者)は、「健康な成人の男性」と指定されることが多いのですが、それには次のような理由があります。 第T相の段階では、新薬候補物質を初めて人体に投与するので、どんな副作用(薬物有害反応)が起こるか予測できません。 新薬候補物質は、前臨床試験の段階で、「サル」や「マウス」などの実験動物に投与され、ある程度までは安全性が確かめられています。 しかし、「ヒト」に投与した場合、他の動物と反応が大きく異なってくる可能性もあります。 もしも、万が一、安全性に問題があった場合、将来子供を生む可能性のある女性の母体を危険にさらすことは、倫理的に問題があります。 また、万が一、妊娠していた場合、胎児に重大な影響を及ぼす可能性があります。 よく見落としがちですが、女性の卵細胞に薬物が蓄積されたり、それによって卵細胞生成能力に異常を来たす可能性もあります。 既に、承認され、医療機関で処方されている薬でも、副作用が起こりやすり薬があるのですから、初めて人体に投与される薬物では、ヒトの卵細胞への影響はあまりよくわかっていないというのが真実です。 この上なく危険なのです。 従って、原則として、第T相試験の対象は、「健康な」「成人の」「男性」と限定されることが多いのです。 |
男性ならば、その身がどうなってもいいのか? という問題もありますが、女性以外は男性しかいないので、やむを得ないのかもしれません。 しかし、それでも、精子が減ろうが増えようが異常を来たそうが構わない、という自暴自棄な方は別として、男性もそれらのリスクも考えた上で、第T相試験に参加するべきでしょう。 まれに、女性を対象にした第T相試験があります。 しかし、上述の理由から、私は、第T相試験への女性の参加はあまりお勧めできません。 |
関連用語 |
健常人 |
第T相試験 |
薬物の体内動態(ADME) |
薬物動態試験(PK試験) |
PK/PD試験 (薬物動態/薬力学試験) |
臨床薬理試験 |
生物学的同等性試験 |
安全性 |
副作用 |
薬物有害反応(ADR) |
反復投与試験 |
漸増試験 |
単回投与試験 |
第U相試験 |
第V相試験 |
補足 |
閉経後の女性を対象とした第T相試験がある |
「閉経後の女性」を対象とした第T相試験が行われることが、時々あります。 「将来妊娠する可能性がなければ、健康な成人男性と何ら変わらず、倫理的にも問題はない」という考え方によるものです。 なお、「女性を対象とする第T相試験」が行われるのは、主に、女性向けの医薬品や化粧品を開発する場合です。 男性と女性とでは、薬物の効果・安全性等に違いが現れることが予想される場合には、女性に対する投薬試験を実施して、初めて有用な情報が得られるからです。 |
関連Q&A |
治験Q&A. 第T相試験で健康な成人を対象とするのはなぜか? |
関連リンク集 |
治験ナビ−第T相試験の参加者募集ページ 【工事中】★リンク切れ |
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