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日本と欧米との新薬承認の時間差

あるいは、

海外で新薬が先行販売され、国内では販売されていない状態のこと

欧米で開発・発売された新薬が、日本で使用が認められ発売されるまでには、国内での治験実施と審査などのため、非常に長い時間がかかります。

日本と欧米との発売時間差は、約2.5年と言われています。

その間、日本の患者は治療を受けられないため、「ドラッグ・ラグ」は患者にとって大きな機会損失となっています。疾患が進行したり、治療に間に合わず亡くなる患者もいます。

一方、日本の製薬企業も、その期間の分だけ医薬品を売る(使ってもらう)ことができないので、大きな機会損失となります。

今やドラッグ・ラグは、製薬業界だけの問題でなく、深刻な医療問題となっています。

医薬品の最初の発売国から
自国で販売するまでの平均期間

国名 平均期間
アメリカ、イギリス 約1.4年
タイ、シンガポール 約3  年
日本 3.9

※2004年売り上げ上位88製品
(医薬産業政策研究所リサーチペーパーNo.31 2006年5月)

 
 

海外で既に使用されている薬、または、
海外で開発が進んでいる新化合物を、
国内でも販売できるようにするには、
海外で実施された治験のデータに
国内の治験データで補足する
ブジッジングスタディ」が必要です。

→ ブジッジングスタディ

しかし、ブリッジングスタディは、
結局、治験の後追い実施にすぎません。

国内で発売できるようになった時には、
欧米と2.5年もの時間差(タイム・ラグ)が
すでに生じてしまうのです。

この時間差を解消する方法として、
世界同時で行われる治験「国際共同治験
が期待されています。

→ 国際共同治験

しかし、日本の治験コストは海外に比べて高く、治験に要する時間もかかるので、日本を除いたアジアで、国際共同治験が実施されることが非常に多いのです。

海外の製薬企業としては、少しでも早く治験を終わらせ、少しでも早く販売にこぎつけたいので、当然の経営判断だと言えるでしょう。

このままでは日本は、アジアで最も治験が遅れた国に成り下がります。

当然、医療の質も海外よりも劣るものとなるでしょう。

日本としては、国際共同治験に参加できるよう、治験の迅速化治験の低コスト化を早急に進める必要があります。

 
 
ドラッグ・ラグが存在するということは、すでに海外で治験が行われて結果が分かっている、ということです。

つまり、治験の結果を論文で発表しても、既に海外の治験担当医師によって、同薬剤の治験結果が発表されているのです。

人種差でも無い限り、同様の結果が出るので、後から発表した論文の価値は大きく下がり、学会でも話題にならず、注目を浴びません。

これでは、研究熱心な医師になるほど、既に海外で開発(治験)が終了している治験に対して、興味・面白みを感じなくなり、参加意欲も低くなる。

結果として、治験施設の募集が進まなくなり、国内での治験がますます遅れてドラッグ・ラグが広がる、という悪循環が進むことになります。
 
 
承認審査期間
ファスト・トラック
審査官
治験の空洞化
臨床開発期間
海外の治験スピードが速い理由
ブリッジングスタディ
ブリッジングデータパッケージ
完全な臨床データパッケージ
 
 
「外国で実施された医薬品の臨床試験データの受け入れに関する通知・資料」
(1998年8月11日)

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治験関連データ
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