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日本のCRFは罫線で綺麗に区切られ、レイアウトにも非常に気を使ったデザインであり、1ページに多くの記入項目をびっしり詰め込んでいます。

そのため、ページ枚数は海外のCRFに比べてずっと少ない、という特徴があります。

デザイン的には、かなり洗練されているともいえるでしょう。

それに比べて、海外のCRFのデザインのシンプルなことと言ったら、一見すると手抜きではないかと思える程です。

1ぺージあたりの記入項目の数は少なく、そのため、ページ枚数が日本のCRFの何倍にも膨れ上がります。

分厚く、粗雑なデザインのCRFは、治験の担当医師に嫌われるのではないか?

という考えから、日本人の細かく几帳面な性格に合った、現在のようなCRFデザインになったと言われています。

実際、症例報告書案の作成段階で、海外のCRFをそっくりそのまま日本語訳して、日本の治験責任医師に渡したら、「何だこの症例報告書は?」と怒られたという逸話があります。

日本の症例報告書のデザインは、医師の記入のしやすさ、扱い易さを第一に作られているのです。
(私には、日本の症例報告書のデザインが
 記入しやすいとは、とうてい思えないのですが。。。)

データ処理のしやすさを優先するという、海外の合理的な発想は、残念ながらここにはありません。

 
 

海外のCRFは、チェック方式やマークシート方式が主流であるのに対して、日本のCRFは、記入欄が多く、医師の主観的判断やコメントが記載されることを前提とした作りになっています。

一見すると、日本のCRFの方が質データ(文章で表記されたデータ)が豊富であり、得られたデータの総合的な情報量が高まることから、治験においては好ましい様式のように思えます。

しかし、実際には、質データはそのままでは統計処理できないため、それをそのままでは活用できない、という欠点があります。

つまり、客観性がないので統計処理できず、統計解析の結果を重視する、治験の評価においては、使えないデータとなってしまう場合がかなりあるのです。

また、それを解析に使用するために、マンパワーによってカテゴリーデータ化する場合もあり、その作業は判断に困難を伴います。

しかも、その結果得られた加工データも、作業者の主観がどうしても入るため、不正確なものとなってしまいます。

 
 

海外のCRFでは、医師が余計な記述をすることが少ないように設計されているので、記載されたデータを入力するのは非常に楽です。

枚数は多くても、選択された番号あるいはチェックボックスを入力するだけなので、ただの単純な入力作業で済みます。

一方、日本のCRFは、医師が、親切心から、いろいろと余計な記述をするため、また、CRFもそれを許すようなデザインになっているため、コメント欄や欄外などに多くの自由な記述がされます。

それを電子化するために、製薬企業やCROの電子化担当者は、膨大かつ不毛な時間を費やすことになります。

それらの余計な記述は、大抵、重要度の低いデータであり、本来、入力しなければそれで済むことです。

ところが、 もしかしたら後で使うかも知れないという心配から、CRFに記載された全ての記述を電子化しよう、とする傾向があります。

もちろん、カテゴライズしない場合は、記載文面をそのまま入力することもあります。

医師の、ミミズののたくったような、悪筆で、草書体のような、読みにくい記述を解読していくのには、どんな慣れた作業者であっても、拷問以外の何ものでもありません。

 
 

CRFに記述されたデータを解析する際のことを考えれば、医師が記入すると予想されるような内容は、CRFの設計段階で、あらかじめ、カテゴリー項目またはチェック項目として作成しておき、主観が入らないようにしておくべきだと言えるでしょう。

海外のCRFは、医師の主観が入らないように、非常に単純化された様式であり、日本のCRFに慣れた医師には、多少、物足りないかもしれません。

しかし、今後は、ブリッジングスタディや海外との共同臨床試験が増えていく傾向にあり、海外のCRF様式に準じたシンプルなCRFが国内でも使われることが増えていくと思われます。

 
 

従来の紙によるCRFに対して、「WEB-CRF」の試みが日本でも始まっています。

医師または、CRCがインターネットを通じて、WEBの画面から臨床試験のデータを入力していく、という仕組みです。

インターネットというインフラが整ったからこそ容易に実現できるようになりました。

この場合、必要なデータ項目は、全てデータベース項目としてデザインされていて、それ以外は入力できないようになっているので、余計なデータが入力される余地は殆どありません。

入力されたデータは、そのままサーバーに送られ、値(範囲)チェック、論理チェックのプログラムによって、不正なデータはその場でチェックされます。

これまでのように、モニターが持ち帰って、
それを入力しチェックプログラムにかけて、
時には、人が目視でチェックして、不正な内容のデータがあれば、モニターが再び施設におもむいて、医師に確認し、修正を求める。(以降、問題が無くなるまで繰り返し)

という気の遠くなるようなチェック作業工程が無くなるのです。

また、入力作業自体も、施設側(医師あるいはCRC)でされるため、施設側の作業は増えるかもしれませんが、その後の工程が自動化されるというメリットがあります。

WEB-CRFは、海外では普及しており、臨床試験の迅速化のためには、不可欠な技術です。外資製薬企業を中心に、日本でも広がりつつあります。

 
 
1.CRFとは
2.日本のCRFの特徴
3.CRFの項目
4.CRFの抱える問題点
 
 
証拠資料
原データ
原資料との照合・検証
(SDV)
直接閲覧
必須文書
データマネジメント(DM)
EDC
 
 
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