健康被害が生じた場合

(1)健康被害が発生した事実が否定された場合

   治験に参加して、健康被害が生じたと訴えても、
   それが、「健康被害」として認められなければ、
   「被害」自体が存在しないことになり、
   補償はされません。

   一番困るのが、他人には認識できないような、
   本人にしか分からないような「健康被害」の場合です。
   他人から見て分かるほど、外見や行動に変化が無い場合や、
   自覚症状でしか判断できない健康被害の場合は、
   健康被害事実の立証はまず困難です。

(2)治験との因果関係が否定された場合

   治験薬との因果関係の有無を判定するのは、
   治験を実施した医療機関の治験担当医師であり、
   治験依頼者(製薬企業)はその意見を最大限尊重して、
   最終判断を下します。

   ただし、ここで
   治験との因果関係   と
   治験薬との因果関係
   は意味合いが異なってきますので、注意が必要です。

   治験薬と因果関係があれば、
   治験依頼者に補償責任があります。

   しかし、
   治験薬と因果関係が無くても、
   治験自体との因果関係があれば、 
   その内容に応じて、治験依頼者または医療機関に、
   補償責任が発生します。

(3)機会原因による健康被害の場合

   偶発的な原因、
   治験とは直接関係ない原因、
   治験中でなくても起こったであろう事故原因

   を「機会原因」といいます。

   機会原因によって
   健康被害が発生した場合、治験補償の対象とはなりません。

   例) 通院途中で車にはねられ怪我をした場合
      入院中の給食で食中毒になった場合

   もちろん、これら場合は、
   事故加害者や給食業者の賠償責任が発生します。

   院内での事故の場合、
   その医療機関の治験に参加しなければ、
   機会原因に遭遇することもなかった

   という観点から、
   医療機関が何らかの見舞金を支払う場合があります。

(4)市販後臨床試験で、市販薬を使った場合の健康被害

   「医薬品副作用被害救済制度」が適用できるので、
   このガイドラインによる補償の対象とはなりません。

   補償の対象となるのは「白ラベル(白箱)」を使った場合です。

  → 白ラベル(白箱)

(5)被験者側故意または重過失があった場合

   悪質であれば、補償されません。
   過失の場合、程度に応じて減額されます。

   → 過失相殺/減額

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健康被害が無かった場合

(5)治験による治療効果が見られなかった場合(効能不発揮) 

   通常の医療においても、
   必ずしも治療効果が出るとは限りません。
   あくまでも、「治療を兼ねた試験」である治験においては、
   そこまでの治療責任を求めることはできません。

(6)プラセボが投与されたことにより治療利益がなかった場合

   通常、二重盲検試験では、
   プラセボが投与されたかどうかは、
   治験終了後も治験参加者に対して告知されません。
   また、告知を要求しても教えてもらえません。

   プラセボは薬理効果の無い薬剤(偽薬)なので、
   当然治療効果はなく、治療による利益は享受できません。
   稀に、プラセボ効果(思い込み効果)によって、
   症状が快方に向かうことがあります。

   また、プラセボを投与されることにより、
   本来受けられるはずであった治療が受けられないという
   治療機会損失の問題もありますが、
   治療効果が無い場合に症状が悪化する可能性がある場合は、
   プラセボを投与する試験には参加させない

   という人道的な対応がされています。

   プラセボ群に割り当てられる可能性があることは、
   同意説明の際に伝えてあり、患者の了解を得ています。
   (3)の観点からも、
   プラセボによる治療効果無しは、補償対象とはなりません。

   ※なお、万一、プラセボ投与により症状が悪化した場合には、
    救済措置として補償が受けられます。
    例えば、
    外用剤の治験では、プラセボの基剤によって、
    皮膚に炎症が出る場合があります。

<プラセボFAQ> 

0.プラセボとは?
1.なぜ、プラセボを使うのか?
2.プラセボは倫理的に問題があるのでは?
3.プラセボとインフォームドコンセント
4.プラセボが用いられる場合は?
5.プラセボに当たる確率は?
6.プラセボであるかどうかなぜ教えないのか?
7.治験終了後にでプラセボかどうか教えてもらえるか?

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