→ 用語集インデックス |
治験・臨床試験 &医薬品開発用語集 |
特定保健用食品(トクホ) |
Food for specified health use (uses) |
解説(1) |
特定保健用食品とは? |
生活習慣病の罹患を回避できるように工夫した食品で、厚生労働省より「特定保健用食品」の表示許可を取得した食品。 長いので、通常は略して、「トクホ」といいます。 |
日本では、 |
解説(2) |
トクホと臨床試験 |
トクホの表示許可を取得するためには、実際に人に摂取してもらう臨床試験を実施して、効能(効果)を検証し実証することが義務付けられています。 その代わり、効果があることが立証できれば、トクホマーク、「特定保健用食品」の表示と共に、 健康に対してどのような効果を持っているか を表示できます。 これは、似たような他社製品と差別化できるので、大きなメリット(宣伝材料)となります。 |
臨床試験の実施によって、トクホを販売しようとする企業の費用負担は、非常に大きくなります。 しかし、最近の健康ブームを反映して、トクホの潜在市場も非常に大きいと考えられ、今後はトクホの申請が増加していく予想されます。 トクホ制度は、1991年7月より導入され、 2001年4月より審査が開始されました。 |
トクホの具体例 花王 |
解説(3) |
トクホで可能な表示内容 |
@ 容易に測定可能な体調の指標が 維持及び改善すること (具体例) ● 血圧(血糖値、中性脂肪、コレステロール)を正常に保つことを助ける食品です。 ● 血圧(血糖値、中性脂肪、コレステロール)が気になる方に。 ● 体脂肪の分解を促進(増加を抑制)する食品です。 |
A 身体生理機能・組織機能を (具体例) ● 便通を良好にする食品です。 ● カルシウムの吸収(吸着)を高める食品です。 |
B 身体の状態を本人が自覚でき、 (具体例) ● 肉体疲労を感じる方に適した(役立つ)食品です。 |
解説(4) |
トクホで認められない表示 |
@ 直接、症状・疾病の改善につながる (具体例) ● 高血圧症(高血圧、高脂血症、糖尿病)を改善する食品です。 |
A 明らかに疾病の改善に関係する (具体例) ● 解毒作用、脂質代謝促進効果のある食品です。 |
B 科学的根拠や意味が不明確な表示 (具体例) ● 老化防止に役立つ食品です。 ● 美しくなれる食品です。 ● 血液がサラサラになる食品です。 |
解説(4) |
トクホは薬ではない |
トクホは、あくまでも「食品」であって、薬ではありません。 病気を治す医薬品とは、その点において大きく異なります。 医薬品は、作用(治療効果)が高い代わりに、副作用もある程度発生します。 一方、「食品」あるいは、トクホに代表される「健康食品」は、作用(効果)はゆるやかですが、副作用はほとんどありません。 したがって、 病気にかかったら医薬品で治療する、 病気にならないように、病気を未然に防ぐために、「健康食品」を普段から摂取する、 ● 治療→医薬品 ● 予防→健康食品(体に良い食品) というのが、「医薬品」と「健康食品」の最適な役割分担であり、本来のあり方なのです。 特に「トクホ」は、日本人の死因の3分の2を占める生活習慣病の発症リスクを軽減する機能があり、自分でできる疾病予防法として期待されています。 |
解説(4) |
トクホ開発の問題点 |
トクホ制度の最大の問題点は、普通の食品に比べて開発コストがかかる割に、開発企業が求める「健康強調表示」(ヘルスクレーム)がなかなか認められない、ということです。
サントリーの「フラバン茶」(フラバンジェノール含有)も、「血液サラサラ」という表示では効果の対象が曖昧だという理由で、トクホとして認められなかった、という経緯があります。 また、1つのトクホ製品を開発するのに、ヒトを対象とした臨床試験だけでも、約1億円の費用と1年以上の期間が必要とされています。 しかも、仮に体脂肪や血糖値を減らす効果がデータとして得られたとしても、疾病リスクの低減表示(例えば、「高脂血症や糖尿病を防ぐ」というような表示)は薬事法に抵触するため、認められていません。 その結果、 もちろん、それだけでも消費者に対して十分アピールできますが、類似のトクホ製品が増えてきた場合、差別化が難しくなるという問題があります。 |
関連用語 |
条件付トクホ (条件付特定保険用食品) |
健康食品 |
セルフメディケーション |
OTC (一般用医薬品、大衆薬) |
スイッチOTC |
医薬部外品 |
関連リンク集 |
厚生労働省「健康食品」のホームページ |
(財)日本健康・栄養食品協会 |
医薬基盤・国立健康・栄養研究所/「健康食品」の安全性・有効性情報 |
戻る/ジャンプ |
→ 用語集インデックス |