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一般に、
2者の間に、取引や契約等、何らかの関係がある場合に、一方が他方よりも多くの情報を持っていること
すなわち、
情報が偏って存在していること
を言います。

自由競争市場においては、情報をたくさん持っている方が圧倒的に有利になります。

 
 

医療においても「情報の非対称性」が存在します。

例えば、患者と医師、どちらが治療に関する情報をたくさん持っているかは明らかでしょう。

当然、医師の方です。

そうなると、患者は医師に比べて不利な立場となります。

つまり、患者は医師の言うことを素直に聞くしかなくなる、ということです。

患者は、黙って私(=医者)の言うことを聞いていればいいのだ

以前は、情報の非対称性を自分の能力だと過信し、患者の意見を馬鹿にする、傲慢な考えの医師が多くいました。

このような状況においては、患者にとって、好ましい状況とはとても言えません。

だからと言って、患者が勉強して医師並みの医療知識を得ることは、なかなか難しいのが実情でした。

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しかし、インターネットの普及により、患者自身がネットを通じて治療情報を比較的簡単に入手できるようになりました。

国内のサイトでは入手できない情報であっても、海外のサイト(例えば、PubMEDのような膨大なデータベース)からも入手できるのです。

もちろん、インターネット等の利用だけで、情報の非対称性が完全に無くなることはありません。

しかし、患者が時間と手間さえ惜しまなければ、医療における情報の非対称性はかなり解消できるでしょう。

また インターネットによって、特定疾患に強い医師や病院を患者自身が探し出すことも、容易になりました。

セカンドオピニオンを得ることは、患者自身のためになるだけでなく、医療の質向上にもつながります。

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患者と製薬企業との間には、
医薬品に関する「情報の非対称性」が存在するので、患者が製薬企業から広告等によって不当に誘引されると、患者の健康に支障を来たすことが懸念されます。

そのため、患者保護の観点から、
薬事法施行令によって、
がん、白血病及び肉腫の治療を目的とする医療用医薬品について、医薬関係者向け以外の一般消費者に対して広告を行うことを禁じています。

また、これ以外の医療用医薬品についても、通達により、一般消費者(患者)に対する広告を禁じています。

病院でよく処方される薬(医療用医薬品)であっても、テレビや新聞や雑誌の広告で全く見ないのは、この法規制によるものなのです。

しかし、米国においては、製薬企業が一般消費者(患者も含めて)に対して、医療用医薬品について、直接、宣伝広告すること
(「DTC広告」と言う)
が認められています。

※1997年8月にFDAによって、DTC広告に関する消費者保護のための一定のガイドラインが定められた

したがって、米国においては、医療用医薬品のCMや広告をよく目にします。

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日本における医療用医薬品の広告規制の主要な目的は、

● 医療用医薬品は、医師の処方に基づくべきものであること

● 医師の適切な判断のもとに、患者保護が図られるべきであること

という立場を維持することでした。

しかし最近では、むしろ、

患者側においても、医薬品に関する情報を十分かつ容易に入手できる体制を整え、
必要な医薬品及び医療の知識を得た上で受診できるようにする必要がある

という方向に変わってきました。

現在では、一般消費者(患者)が、
医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構のサイトから、医薬品情報(医療用医薬品の添付文書、製品回収情報)を自由に入手できます。

また、2003年3月28日の厚生労働省の通達により、製薬企業が自社のホームページ上で、医療用医薬品の添付文書を掲載できるようになりました。

今後、インターネットを利用した医薬品情報の提供は、さらに規制が緩和され、普及していくと予想されます。

患者にとっては願ってもないことです。

日本国内におけるDTC広告については、
全面解禁とはならないでしょうが、緩和される方向であることは間違いありません。

しかし、DTC広告が必ずしも患者の利益になるとは限らないので、ある程度の規制が必要であることは、言うまでもありません。

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