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@ 製薬企業主導の治験と違って、治験の依頼者と実施者が同一となり、治験を実施する医師が治験計画を作成するため、有利なデータに偏る恐れがあること。

A 倫理審査委員会(IRB)によるチェック機能があまり期待できないこと。

B モニタリング、監査も当該施設の者であれば、中立性は保証できないこと。

以上の要因により、医師主導治験のデータの信頼性はそれほど高くないものと予想されます。

しかし、2003年7月より実施される、大規模治験ネットワークの活用により、ある程度改善されることが期待されています。

また、従来施設ごとに設置していたIRBが、1箇所でまとめて開催され治験が審議されれば、人員、コスト、時間の節約となります。

金銭的、物理的、人的に非常に制約のある医師主導治験においては、このような「中央IRB」の設置が必要不可欠とされています。

→ 中央IRB(セントラルIRB)

 
 

被験者への補償については、保険会社が商品化に応じることは、あまり期待できません。

医師賠償保険は、「過失が前提条件である」ため、副作用への適用には限界があるからです。

治験薬を提供する製薬企業が、補償面で、どこまで協力できるかが課題です

 
 
特許に関するノウハウは医師にはないので、特許専門家の支援が必要です。
 
 

治験中の有害事象収集やデータベース化は、医師個人や施設内IRBだけでは不可能です。

特に、医師主導の治験では、有害事象報告は国内だけでなく、海外で生じた有害事象も報告しなければならないので、膨大な有害事象の資料から短時間で対応するのは、組織的支援のない医師にとって負担が重過ぎます。

医師主導治験については、以上のような項目について懸念されており、前途多難と言えそうです。

医師主導治験を軌道に乗せるには、治験関連業務や有害事象報告などに迅速かつ適切に対応できるだけの、マンパワーの確保、専門家のノウハウが必要で、製薬企業や国の協力が不可欠です。

もちろん、協力するだけのメリットが企業側にあるかどうか、その治験がビジネスとして魅力あるテーマであるかどうかが重要になってきます。

 
 
1.医師主導治験
2.医師主導治験のメリット
3.医師主導治験への治験薬提供
4.医師主導治験の指針
5.医師主導治験が抱える課題
大規模治験ネットワーク
 
 
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