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厚生労働省が、2003年夏以降に構築することを予定している、大規模な治験ネットワーク。

ネットワークといっても、物理的な情報ネットワークのことではなく、治験を効率的に行うために、複数の医療機関が手を結ぶ協力体制のことです。

 
 
大規模治験ネットワークの構築により、
日本国内の治験インフラが整備され、
治験の質とスピードが改善されることによって、

● 国内における治験の活性化
● 治験の空洞化の防止
● 国内製薬企業の国際競争力の向上

ひいては、
日本経済の回復が期待されます。

→ 治験の活性化

→ 治験の空洞化

日本経済の復興には、バイオ分野(医薬品を含む)とナノテクノロジー技術が唯一の希望とされており、国も力が入っています。

 
 

現在、国内治験の課題としては、

(1)高い(費用が)
(2)遅い
(3)まずい(質がよくない)

の3点が指摘されています。

牛丼の吉野家の
(1)安い
(2)早い
(3)うまい

と対極に位置すると言って良いでしょう。

治験にかかる費用が高い、また、治験が遅いのは、欧米に比べて、被験者集めに時間がかかり、結果として治験全体に要する期間が長くなってしまうからです。

大規模治験ネットワークに限らず、
治験ネットワーク」の主目的は、
医療機関どうしで被験者となる患者を融通(紹介)し合うことにより、被験者集めを効率化 だと言っても過言ではありません。

もちろん、治験事務局、IRBの共通化など、被験者募集以外の迅速化メリットもたくさんあります。

従って、患者の視点から作られた患者のためのネットワーク、というよりも、あくまでも、治験実施施設、製薬企業における効率化のために考えられた仕組みです。

もちろん、治験ネットワーク推進の結果として画期的な新薬の認可が早まったり、海外で使われている治療効果の高い医薬品が
日本でも認可されるようになれば、患者としても喜ばしいことではあります。

 
 

大規模治験ネットワークは、国立高度専門医療センター、特定機能病院、臨床研修指定病院などの医療機関から組織され、疾病群ごと(がん、循環器など10疾患領域)に構成されます。

大規模治験ネットワークでは、主に

@ 欧米で標準的な医薬品であるにもかかわらず国内で開発されていない医薬品の治験(医師主導の治験)

A 特に医療上の必要性が高い医薬品の治験(製薬企業主導の治験)

を手がけることを想定しています。

そのせいか、「大規模治験ネットワーク = 医師主導の治験」であるとよく間違えらます。

また、ネットワークが取り上げる医薬品は
中立の機関で選択され、その際、業界団体から意見を聴取する機会を設けるとのこと。

一方、製薬企業からは、大規模治験ネットワークについて、

● 参加は企業の自発性が担保されるのか

● 企業の知的財産は保証されるのか

●試験の設計等に企業が参画できるのか

といった懸念の声もあがっており、今後解決すべき問題も多いのも事実です。

 
 
医師主導治験
特定機能病院
 
 
治験ネットワークリンク集
 
 
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