未知の副作用の法的責任は問えない。

  薬剤による「未知の副作用」の発生に対して、
  製薬企業は法的責任は問われない。

  びっくりしたでしょう?
  この一文を同意説明文書に入れれば、
  治験参加者が一気に減ること間違いなしです!
  私もこのことを知って、嫌になりました。

  ※ 未知の副作用=予測できない副作用

  製薬企業が法的責任を問われるのは、
  薬物に異物が混入するといった「製造物責任」と、
  既知の副作用に対して適切な予防処置をとらなかった場合
です。

  → 製造物責任法(PL法)

  治験では、
  「既知の副作用」よりも「未知の副作用」が出る場合が多いので
  (それを調べる為に治験を実施しているようなものです)、
  結局、治験における副作用の殆どについては、
  企業の法的責任を問えないことになります。

▲Top

 
 

「未知の副作用」について賠償責任はない!

  腹立たしいので何度も繰り返し言いますが、
  「未知の副作用」が発生すること自体は、
  「損害賠償」の請求対象とはなりません

  例え、死亡したり後遺症が残ったりしてもです。
  因果関係が明らかにあってもです。

  その時点における知識・技術では予期できない為、
  企業の過失とは見なされないという論理がそこにあるからです。

  一体何が起こるかどうかわからないから治験を実施する。
  製薬企業あるいは病院に治験実施上の落ち度が無い限り
  「未知の副作用」にまつわる健康被害に対しては、
  法的に責任を問うことはできないのです。

  しかし、それでは
  人道的に余りにもむごすぎるかわいそう
  という道義的責任社会的責任から、
  製薬企業が自主的に被験者に対して「救済」を行う制度が、
  「補償」
なのです。

  また、今後、
  その企業の治験に参加してくれる人がいなくなる
  という企業戦略的判断もあるでしょう。

  ※現実には、補償制度は、
    副作用に限らず治験に起因した健康被害に対して、
    被害者を救済するという制度ではあります。
    この制度を全面否定している訳ではありません。
    ただ、未知の副作用についても賠償請求対象に
    入れて欲しいものです。

▲Top

現在の治験に関する賠償・補償制度の問題点

         <目次>

0.概論

1.因果関係が全てである。

2.被害者が因果関係を立証するのが難しい。

3.未知の副作用の法的責任は問えない。

4.軽い後遺症ならば補償金をもらえない。

5.市販後臨床試験の補償は手薄い

▲Top

←治験ナビ・治験賠償補償インデックス
←治験ナビ・フレームトップページ