医法研被験者の補償に関するガイドラインとは?

医法研補償のガイドライン(以下、医法研ガイドライン)とは、
1997年3月27日に発令された厚生省令第28号
「医薬品の臨床試験の実施の基準」(通称、省令GCP)、

1997年5月29日に厚生省薬務局審査課長・安全課長より
通達された通知
「医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について」

◇ GCP補償関連条項
◇ 第14条:被験者に対する補償措置
◇ 第51条:同意説明文書

を受けて、
医法研の特別部会で吟味検討後、
平成1999年3月16日に公表された、
被験者の補償に関するガイドラインです。

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医法研ガイドライン公表の経緯

「補償」について記述したGCPが施行された際、

(1)治験の現場から補償への対応についての問合せが
   厚生省審査管理課や審査センターに殺到した。

(2)製薬企業の法務担当者に対して、
   補償基準制定の必要性を求める声が寄せられた。

(3)製薬業界団体に法務委員会が無かった。

(4)業界団体で補償制度を考える動きが見られなかった。

(5)補償問題を検討するには法的バックグラウンドが必要だった。

(6)被験者の理解を得るには、業界色が薄い方が望ましかった。

(7)製薬企業及び医療機関にて、補償の手順書を作るには、
   まず、補償基準(補償ルール)が確定している必要があった。

(8)補償責任をカバーする新保険を商品化するには、
   まず、補償基準(補償ルール)が確定している必要があった。

そこで、業界団体とは独立した非営利団体である
医薬品企業法務研究会
   (略称:医法研。製薬企業法務担当者の研究団体)
が研究テーマとして取り上げることになり、
利害関係者・団体の意見も取り入れ検討を重ね、
わずか8ヶ月間という短期間で、
「補償のガイドライン」を公表するに至りました。

もし、業界団体主導、政府主導であれば、
これ程の短い期間での公開は難しかったのではないでしょうか?

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医法研ガイドラインの特徴

医法研ガイドラインは、
法的拘束力も業界的拘束力も持たない
単なる「ガイドライン」に過ぎません。

しかし、今や治験の補償に関するデファクトスタンダードです。

多くの製薬企業や医療機関は、
医法研ガイドラインを基に企業ごとに補償制度を定めています。

医法研ガイドラインの大きな特徴は、
被験者側の意見・民意を汲んだガイドライン

であるという点です。

ガイドラインの作成の際、
被験者側の代表とも言える、
賠償問題訴訟の原告側弁護士とも協議を重ね、
ある一定の理解を得ています。

医法研ガイドラインに準じた補償制度であれば、
IRBや医療機関の医師、被験者に対して、
治験の補償手順・内容について説明する際に、
十分な根拠となり、また、受け入れられやすい
というメリットがあります。

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<関連書籍>

治験に係る補償・賠償の実務Q&A110(じほう)

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