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治験・臨床試験 &医薬品開発用語集 |
オーファンドラッグ |
Orphan Drug |
解説(1) |
オーファンドラッグとは? |
医療上の必要性は高いが、 薬を必要とする患者数が少ない病気 に使う医薬品のこと。 訳して「希少疾病用医薬品」。 法的には(薬事法では) |
解説(2) |
「オーファンドラッグ」の名前の由来 |
本来、「オーファン」とは、面倒をみる親や親戚がいない、誰も引き取り手のいない「孤児」「みなし子」を意味する単語(英語)です。 「稀な疾患」の治療薬は、 ●
発病原因の究明が進んでいないため、
どの製薬企業も開発したがらない |
解説(3) |
オーファンドラッグの必要性 |
本来、医薬品は、「20万人位の患者がいないと儲からない(利益が出ない)」と言われています。 それだけ、治験・臨床試験も含め、新薬の研究開発(医薬品開発)に莫大なお金がかかるからです。 しかし、それでは、「稀な疾患」を持つ患者はいつまでたっても疾患を治すことができず、苦しみ続けることになってしまいます。 そこで、政府は人道的な視点から、「希少疾病用医薬品」を開発した企業には、特典を与えることによって、「希少疾病用医薬品」の開発を奨励することにしました。 「希少疾病用医薬品」開発の優遇措置は次の通りです。 |
解説(4) |
オーファンドラッグの優遇処置 |
@ 他の医薬品に優先して審査を受けられる。 |
A 再審査期間を6〜10年に延長することができる。(本来は、4〜6年) この間は、市場の独占権が与えられると考えて良い。 なお、医療用具の場合は、最長7年まで延長可。 |
B 薬価の面で、「画期性加算」「市場性加算」の対象となる。 |
C 国から助成金を受けられる。 |
D 税制上の優遇措置を受けられる。 助成金の対象となる期間の試験研究費の6%控除。 |
しかし、米国では、試験研究費50%を控除していることから、日本では、製薬企業にとっては、「希少疾病用医薬品」開発のメリットは、まだまだ少ないと言えるでしょう。 事実、日本の製薬企業に比べて、欧米の製薬企業の方が「希少疾病用医薬品」の開発に積極的で、海外で安く開発した「「希少疾病用医薬品」を日本へ持ち込む事例が増えています。 これは、日・米・EU間で取り決めたICHガイドラインとも連動した動きと言えるでしょう。 詳しくは、 なお、薬事法における規定では、「希少疾病用医薬品」だけでなく、「希少疾病用医療用具」についても、同様に特典が与えられています。 |
解説(5) |
オーファンドラッグとして、厚生労働省の指定を受けるには? |
オーファンドラッグ(「希少疾病用医薬品」)として、厚生労働省から指定を受けるには、以下の基準を満たす必要があります。 |
@ 我が国において患者数5万人未満の重篤な疾病が対象であること。 つまり、患者数が5万人未満の珍しい疾患であっても、 人命に関わらない程度の中度・軽度の疾患であれば、オーファンドラッグとしては認められません。 また、「我が国」において患者が5万人未満であることが要求されます。 海外では患者が少ない疾患であっても、日本では患者が多い(5万人以上の)疾患であれば、オーファンドラッグとしては認められません。 |
A 医療上、特にその必要性が高いこと。 代替する適切な医薬品等または治療方法がない、あるいは既存の医薬品と比較して、著しく高い有効性又は安全性が期待されること。 つまり、患者数が5万人未満の重篤な疾病が対象であっても、その医薬品自体の有効性(効果)が低かったり、重篤な副作用が出現するなど安全性に問題があれば、オーファンドラッグとしては認められません。 |
B 開発にこぎつける可能性が高いこと。 その医薬品を使用する理論的根拠があり、開発計画が妥当であると認められること。 |
関連用語 |
ネグレクテッド・ディジーズ |
画期的新薬(ピカ新) |
補正加算 |
関連リンク集 |
難病情報センター |
DNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative) https://www.dndi.org/ |
ICHガイドライン (医薬品医療機器総合機構HP) |
参考文献 |
FDA巨大化と近代化への道(石原昭夫/薬事日報社) |
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