医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

 自ら治験を実施する者は、モニタリングに関する手順書を作成し、第27条第1項の治験審査委員会の意見を踏まえて、当該手順書に従って、モニタリングを実施させなければならない。

2 モニターは、モニタリングの対象となる実施医療機関においてその対象となる治験に従事してはならない。

3 第1項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。

ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。

 
 

1 自ら治験を実施する者は、

被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上が図られていること、

治験が最新の治験実施計画書及び本基準を遵守して実施されていること、

治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照らして検証できること

を確認するため、モニタリングを実施させること。

2 自ら治験を実施する者は、治験のモニタリングの実施に当たって、優先順位を考慮し、リスクに基づく体系的な取組みを策定すべきである。リスクに基づくモニタリングについては、「リスクに基づくモニタリングに関する基本的考え方について」を参照のこと。

モニタリングの有効性及び効率性を改善する様々な取組みを許容することを意図し、本項で説明するモニタリングの範囲及び内容は、柔軟なものとしている。

自ら治験を実施する者は、オンサイトモニタリング、オンサイトモニタリングと中央モニタリングの組合せ又は、正当な場合には、中央モニタリングを選択することができる。

自ら治験を実施する者は、選択したモニタリング戦略の根拠を文書化すべきである(モニタリング計画書への記載等)。

3 自ら治験を実施する者は、治験を十分にモニタリングするために必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名すること。

4 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。

5 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の医療に係る原資料が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認すること。

6 自ら治験を実施する者は、モニターが実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切にモニタリングされていることを保証すること。

また、治験の目的、デザイン、盲検性、被験者に対する危険性のレベル、規模及びエンドポイント、当該実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における実績等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定することとし、被験者保護及びデータの完全性に関する治験固有のリスクに応じたモニタリング計画書を作成すること。

モニタリング計画書では、モニタリング戦略、モニタリングにおける全ての関係当事
者の責務、使用する様々なモニタリング方法及びその使用根拠について説明するとともに、重要なデータ及びプロセスのモニタリングについても強調して説明すべきである。

なお、実施医療機関及びその他の施設において、治験の品質保証及び品質管理が適切に履行できる場合にあっては、必ずしも全ての治験データ等について原資料の照合等の実施を求めるものではないこととする。

7 モニターは、治験使用薬、治験実施計画書、説明・同意文書、自ら治験を実施する者の手順書及び本基準を熟知し、これに従うこと。

8 モニターは、治験審査委員会で承認された、自ら治験を実施する者が作成した手順書及び当該治験のモニタリングに関して自ら治験を実施する者が特に定める手順に従うこと。

9 モニターは、次の事項が当該治験及び当該治験の実施に係る施設に関して適切でかつ必要である場合には、自ら治験を実施する者の要求に従ってそれらを行うことにより、治験が適正に実施され、必要な事項が正確に記録されていることを保証すること。

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(1)実施医療機関及び治験責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たし、それが治験期間を通して維持されていること、また検査室や必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通して継続されていることを確認すること。

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(2)治験使用薬に関し下記の点を確認すること。

@ 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が入手
されていること。

A 治験使用薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。

B 被験者に対し、治験使用薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して必要な
指示が与えられていること。

C 実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設での治験使用薬の取扱い、保管及び管理が本基準及び自ら治験を実施する者の定めるところに従って適切に行われ、記録されていること。

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(3)治験責任医師等が実施医療機関の長の指示、決定及び承認された治験実施計画書に従って治験を実施していることを確認すること。

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(4)各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていることを確認すること。

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(5)治験責任医師が治験を適正に実施し、本基準を遵守するのに必要な治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書の最新版等全ての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。

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(6)実施医療機関の長、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験について十分情報を得ていることを確認すること。

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(7)治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験実施計画書及び他の合意文書に基づいて治験における各々の役割を果たしており、このような役割を事前に取り決められた者以外に委任していないことを確認すること。

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(8)治験責任医師等が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。

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(9)正確かつ完全で、最新に至る原資料等の全ての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。

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(10)実施医療機関の長及び治験責任医師又は治験分担医師が本基準で要求される全ての報告、通知及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。

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(11)症例報告書の内容と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し、これらが正確であることを確認すること。

その際、モニターは特に次の点を確認すること。

@ 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。

A 用量又は治療法の変更があった場合には、その全てが各々の被験者について記録されていること。

B 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。

C 被験者が規定どおりに来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。

D 登録された被験者の全ての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。

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(12)治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項を全て知らせること。

また、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、それらが重大な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は症例報告書を作成した治験分担医師によって、押印又は署名されていることを確認すること。

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(13)全ての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会及び本基準によって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認すること。

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(14)実施医療機関において保存すべき文書又は記録をそれぞれの保存責任者が保存していることを確認すること。

 
 

1 自ら治験を実施する者は、実施医療機関に属する者をモニターに指定する場合には、当該治験の実施(実施の準備及び管理を含む。)に従事しない者を選任すること。

なお、実施医療機関外部にモニタリングを委託することも可能である。

 
 

1 モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に実施医療機関及び治験に係るその他の施設において実地に行う必要がある。

2 「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、
治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、治験責任医師等との電話、ファックス等による連絡等の手段を併用することにより、治験の実施状況を調査し把握することが可能かつ適当である場合である。

 
 
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