医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

 自ら治験を実施する者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項(拡大治験を実施する場合にあっては、第1号及び第2号に掲げる事項に限る。)を邦文で記載しなければならない。

1)治験用である旨

2)自ら治験を実施する者の氏名及び職名並びに住所

3)化学名又は識別記号

4)製造番号又は製造記号

5)貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容

2 自ら治験を実施する者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。

ただし、拡大治験を実施する場合にあっては、この限りでない。

1)予定される販売名

2)予定される効能又は効果

3)予定される用法又は用量

3 自ら治験を実施する者は、被験者、治験分担医師及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で入手した治験薬について、緊急時に、治験分担医師が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
4 自ら治験を実施する者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じておかなければならない。

5 自ら治験を実施する者は、治験薬又は治験使用薬に関する次に掲げる記録を作成し、又は入手しなければならない。

1)治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録

2)治験使用薬を入手し、又は治験薬提供者から提供を受けた場合にはその数量及び年月日の記録

3)治験使用薬の処分の記録

6 自ら治験を実施する者は、治験の実施の承認後遅滞なく、実施医療機関における治験使用薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関に交付しなければならない。
7 自ら治験を実施する者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師、治験協力者及び第39条に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
 
 

1 自ら治験を実施する者は、治験薬の容器又は被包に第26条の2第1項各号に掲げる事項を邦文で記載することとしているが、国際共同治験において複数の国や地域に英文で記載された共通の治験薬を用いる場合又は欧米等で承認のある未承認薬を用いたブリッジング試験等の場合であって、治験実施計画書にその旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、英文で記載することで差し支えないこと。

なお、英文で記載する場合には、別途、邦文で記載された治験薬の溶解方法その他の取扱い方法を説明した文書(第26条の2第1項各号に掲げる事項を含むもの)を作成し、治験薬管理者に交付する等治験薬を適切に管理するための必要な措置を講じておくこと。

また、国際共同治験又は欧米等で承認のある未承認薬を治験薬として用いる試験等の場合であって、英文等で販売名等が記載されているものを治験薬として用いるときは、実施医療機関において適切に管理がなされるための必要な措置を講じておくこと。

多施設共同治験を実施する場合であって、治験実施計画書に、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び職名並びに住所を記載する旨を記載し、治験審査委員会の承認を得たものについては、自ら治験を実施する者又は治験調整医師の氏名及び職名並びに住所を記載することで差し支えないこと。

 
 

1 自ら治験を実施する者は、盲検下の治験では、治験薬のコード化及び包装に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておくこと。

 
 

1 自ら治験を実施する者は、治験薬を入手し、又は治験薬提供者から治験薬の提供を受ける場合には、第4項の規定に従って輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じておくこと。

 
 

1 第5項の記録については、自ら治験薬を製造しない場合においては、治験薬提供者等から入手すること。

また、第1号の記録には、治験薬GMP通知に定められた記録を含むこと。

この場合には、治験薬GMP通知中、「治験依頼者」を「自ら治験を実施する者」に、「第17条第1項」を「第26条の3」に、「第24条第3項」を「第26条の10第3項」
に読み替えるものとする。

なお、第1号の記録内容が確認できる文書がある場合については、自ら治験を実施する者は、これらの記録に代えて当該文書を入手することで足るものとする。

2 自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合には、予定される使用期間中安定である治験薬を使用すること。

3 自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合には、治験薬がその規格を満たしていることを再確認できるだけの十分な量のロットサンプルを確保し、経時的にロットサンプルを分析した記録が保存されている治験薬を使用すること。

安定性が確保されている間は、ロットサンプルが治験データの解析が終わるまでの期間保存されるよう措置を講じること。

4 自ら治験を実施する者が自ら治験使用薬を製造しない場合には、自ら治験を実施する者は、治験使用薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うこと。

(1)適切な時期に治験使用薬を入手できるようにすること。

(2)治験使用薬の受領、被験者からの返却及び処分の記録を保存すること。

(3)治験使用薬の返品・処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること
(例:欠陥品の返品、使用期限切れの治験使用薬の処分)。

(4)未使用の治験使用薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること。

 
 

1 第6項の「治験使用薬の管理に関する手順書」に、治験使用薬の受領、取扱い、保管、処方並びに未使用治験使用薬の被験者からの返却及び未使用治験使用薬の処分が適切かつ確実に行われるよう、治験使用薬の管理に関わる者が従うべき事項を規定しておくこと。

 
 

1 自ら治験を実施する者は、治験薬の許容される保存条件、使用期限、溶解液及び溶解方法並びに注入器具等取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等(モニターを含む。)に交付すること。

なお、自ら治験を実施する者は、規制当局に治験計画の届出が受理されるまで、治験薬の提供を受けてはならない。

ただし、
「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の一部の施行について」
(平成15年5月15日付け医薬発第0515017号厚生労働省医薬局長通知)
の記のVの(2)のイに掲げる薬物にあっては、治験計画の届出提出後30日を経過した後でなければ、治験薬の提供を受けてはならない。

 
 
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