医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

 自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険契約の締結その他の必要な措置を講じておかなければならない。

 
 

1 自ら治験を実施しようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験の実施の準備、管理又は実施に係る業務の全部又は一部を委託した場合に生じたものを含む。)に対する補償措置として、保険への加入の措置、副作用等の治療に関する医療体制の提供その他必要な措置を講ずること。

なお、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長は、治験に関連して被験者に生じた健康被害に対する補償措置を履行するために、補償に係る手順書を定めておくこと。

2 本条は上記1を受けたものであり、括弧書きの「受託者」は第15条の8の受託者、いわゆる開発業務受託機関及び第39条の2の受託者、いわゆる治験施設支援機関を含む。

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注1)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。

その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること(第1条の解説参照)。

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注2)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合の補償措置については、必ずしも自ら治験を実施する者による保険への加入に基づく金銭の支払いに限られるものではなく、副作用の治療に対しては、医療の提供及びその体制の提供という手段も考慮しうるものである。

また、障害手当、葬祭料等の金銭的な補償を行うか否か及び行う場合に許容される程度については、治験の計画の内容に応じて、当該治験に係る薬物の種類、対象疾患の特性、治験による被験者の便益及びリスク等を評価し、個別に自ら治験を実施する者が考慮すべきものであるが、被験者に対しあらかじめ文書により具体的に説明するとともに文書により同意を得ておくことは最低限必要と考えられる。

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注3) 開発業務受託機関は、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第15条の8参照)。

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注4) 治験施設支援機関は、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施すること(第39条の2参照)。

 
 
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