医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

 治験の依頼をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。

1)治験の依頼をしようとする者の氏名
(法人にあっては、その名称。
 以下この号及び次号、
 第13条第1項第2号及び第3号、
 第15条の4第1項第2号、
 第3号及び第7号並びに
 第16条第1項第2号において同じ。)

及び住所
(法人にあっては、
 その主たる事務所の所在地。
 以下この号及び次号、
 第13条第1項第2号及び第3号、
 第15条、
 第15条の4第1項
  第2号、第3号及び第7号、
 第16条第1項第2号並びに
 第26条第2項において同じ。)

(当該者が本邦内に
 住所を有しない場合にあっては、
 その氏名及び住所地の国名並びに
 第15条に規定する
 治験国内管理人の氏名及び住所。
 第13条第1項第2号において同じ。)

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2)治験に係る業務の全部又は一部を
  委託する場合にあっては、
  当該業務を受託した者
  (以下この章において
   「受託者」という。)
  の氏名、住所及び
  当該委託に係る業務の範囲

3)実施医療機関の名称及び所在地

4)治験責任医師となるべき者の氏名

5)治験の目的

6)治験使用薬の概要

7)治験の方法

8)被験者の選定に関する事項

9)原資料の閲覧に関する事項

10)記録(データを含む。)の保存
  に関する事項

11)治験調整医師に委嘱した場合
  にあっては、その氏名

12)治験調整委員会に委嘱した場合
  にあっては、
  これを構成する
  医師又は歯科医師の氏名

13)第19条に規定する
  効果安全性評価委員会を
  設置したときは、その旨

2 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。

1)当該治験が第50条第1項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明

2)当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明

3 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。

1)当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明

2)現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明

3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明

4)第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨

4 第1項の規定により治験実施計画書を作成するときは、当該治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについて、治験責任医師となるべき者の同意を得なければならない。

5 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験実施計画書を改訂しなければならない。

この場合においては、前項の規定を準用する。

 
 

1 治験実施計画書には、作成及び改訂の日付並びに版表示、又は最新版の作成の日付及び版表示を記載すること。

2 治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の10を適宜参照すること。

ただし、監査担当者の氏名、職名及び電話番号等は記載しなくても差し支えない。

なお、治験実施計画書の具体的記載にあたって、「治験の依頼をしようとする者」を「治験依頼者」と記載しても差し支えない。

例えば、治験依頼者と記載して治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事業所の所在地)を記載して差し支えない。

また、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をしようとする場合において、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名並びに実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差し支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。

3 治験実施計画書又はその分冊に記載されたモニター以外のモニター及び監査担当者が診療録の閲覧等を行う場合は、モニター等の氏名等を当該実施医療機関が把握できるようにすること。

注1)中央薬事審議会答申(平成9年3月13 日中薬審第40号)は、現行の薬事・食品衛生審議会の改変前の組織である中央薬事審議会が答申した医薬品の臨床試験の実施の基準(以下「GCP」という。)であり、本基準の内容が示されたものである。

注2)治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議し、治験実施計画書の作成及び必要に応じて改訂を行うが、その際、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証すること。

また、そのための手続きを文書で定めること(第4条参照)。

 
 

1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的な内容の治験においては、必ず被験者本人から同意を得ること(第50条第4項参照)。

2 非治療的な内容の治験において、次の(1)から(4)に掲げる事項が全て満たされ
る場合には、被験者となるべき者の同意を得ることが困難な者を対象として、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。

このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。

また、治験責任医師又は治験分担医師は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止すること。

(1)治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。

(2)被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。

(3)被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ、低いこと。

(4)代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。

3 「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合」とは、例えば、同意の能力を欠く者(小児等)を対象にした治験において、これらの者を被験者として薬物動態試験を行う必要がある場合が考えられる。

また、「当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであること」とは、被験者に対する予見しうる危険性が低いこと、被験者への肉体的又は精神的な悪影響が、それらを避けるための努力が行われた上で、十分に低いことをいう。

 
 

1 「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは、次に掲げる点から、被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な内容の治験である(第55条参照)。

(1)被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。

(2)被験者の代諾者による同意が可能となる以前に、救急的に治験が開始される必要があること。

(3)当該治験の被験者となり得る者をあらかじめ特定することが困難であること。

2 このような緊急状況下における救命的な内容の治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、その旨及び次の事項が治験実施計画書に記載されていること。

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(1)生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。

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(2)現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。

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(3)被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。

なお、そのことを支持する適切なデータが得られている必要があること。

また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィットに照らして合理的であること。

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(4)第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。

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(5)治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない者は治験の対象から除かれることについて、第7条第1項第7号の「治験の方法」及び第8号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載されていること。

また、治験責任医師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。

 
 

1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と治験実施計画書について合意をする前に、治験責任医師となるべき者に治験実施計画書案及び最新の治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書その他必要な資料・情報を提供すること。

治験実施計画書を改訂する場合も同様とする。

2 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者に対して、提供された治験実施計画書案等の資料・情報を十分検討し、治験の依頼をしようとする者と協議するために必要な時間を与えること。

治験実施計画書を改訂する場合も同様とする。

3 治験責任医師となるべき者は、治験実施計画書について治験の依頼をしようとする者と合意する前に、提供される治験実施計画書案及び最新の治験薬概要書又は科学的知見を記載した文書その他必要な資料・情報に基づき治験の依頼をしようとする者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。

治験実施計画書が改訂される場合も同様とする。

4 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議した後、治験実施計画書の内容及び当該治験実施計画書を遵守することについて治験責任医師となるべき者と合意すること。

治験の依頼をしようとする者と治験責任医師となるべき者は、この合意を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名押印又は署名し、各自日付を記入すること。

治験実施計画書を改訂する場合及び治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示により治験実施計画書を改訂する場合も同様とする。

5 治験責任医師となるべき者は、治験の依頼をしようとする者と治験実施計画書の内容に合意し、また、当該治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証するため、治験の依頼をしようとする者とともに治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名押印又は署名し、日付を記入すること。

治験実施計画書が改訂される場合及び治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示により治験実施計画書が改訂される場合も同様とする。

6 上記1から5の規定のうち治験実施計画書の改訂に係る規定については、第7条第1項の規定に基づき治験実施計画書の分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合を除いて差し支えないこと。

7 症例報告書の見本を作成する場合は、上記1から5の規定を準用する。

ただし、レイアウト(電子情報処理組織の利用による症例報告書にあっては、その仕様)の変更を行う場合を除いて差し支えない。

 
 
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