医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)
医薬品GCP省令

 この省令において「製造販売後臨床試験」とは、医薬品の製造販売後の調査及び
試験の実施の基準に関する省令(平成16 年厚生労働省令第171号)第2条第1項第3号に規定する製造販売後臨床試験をいう。

 
 
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2 この省令において「実施医療機関」とは、治験又は製造販売後臨床試験を行う医療機関をいう。
 
 
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3 この省令において「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。

1 第3項の「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師である。

実施医療機関において治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、当該チームを統括する医師又は歯科医師である。

 
 
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4 この省令において「製造販売後臨床試験責任医師」とは、実施医療機関において製造販売後臨床試験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
 
 
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5 この省令において「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。

2 第5項の「被験薬」(治験に係るものに限る。)とは、治験の対象とされる薬物であり、当該治験の試験成績をもって承認申請資料とすることを目的とするものである。

 
 
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6 この省令において「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる薬物をいう。
3 第6項の「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験(以下「治験等」という。)において被験薬と比較する目的で用いられる既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む製剤又はプラセボを意味する。
 
 
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7 この省令において「治験薬」とは、被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。
 
 
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8 この省令において「製造販売後臨床試験薬」とは、被験薬及び対照薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)をいう。
 
 
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9 この省令において「治験使用薬」とは、被験薬(治験に係るものに限る。以下この項において同じ。)並びに被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する薬物をいう。

4 第9項の「治験使用薬」とは、治験において被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する、治験計画届書及び治験実施計画書において規定された既承認有効成分又は未承認有効成分を含む薬物(被験薬を含む。)を意味する。

具体的には、被験薬、対照薬、併用薬、レスキュー薬、前投与薬等が該当する。なお、GCP省令において「治験使用薬」に対して求める事項については、薬物に係る治験において被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する機械器具又は加工細胞に対しても、同様に遵守されることが望ましい。

 
 
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10 この省令において「治験使用薬等」とは、治験使用薬又は治験使用薬と成分が同一性を有すると認められる薬物をいう。
 
 
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11 この省令において「製造販売後臨床試験使用薬」とは、被験薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。以下この項において同じ。)並びに被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する薬物をいう。
5 第11項の「製造販売後臨床試験使用薬」とは、製造販売後臨床試験において被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する、製造販売後臨床試験計画届書及び製造販売後臨床試験実施計画書において規定された既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む医薬品(被験薬を含む。)を意味する。
 
 
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12 この省令において「製造販売後臨床試験使用薬等」とは、製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験薬と成分が同一性を有すると認められる薬物をいう。
 
 
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13 この省令において「被験者」とは、治験薬若しくは製造販売後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。
 
 
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14 この省令において「原資料」とは、被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。

6 第14項の「原資料」とは、治験の事実経過に係る情報や症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をいう。

 
 
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15 この省令において「治験分担医師」とは、実施医療機関において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。

7 第15項の「治験分担医師」とは、実施医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に係る重要な業務又は決定を行う者である。

 
 
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16 この省令において「製造販売後臨床試験分担医師」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師の指導の下に製造販売後臨床試験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
 
 
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17 この省令において「症例報告書」とは、原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師又は製造販売後臨床試験責任医師若しくは製造販売後臨床試験分担医師の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。
 
 
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18 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。

8 第18項の「治験協力者」とは、実施医療機関において治験を実施するチームのメンバーで、治験責任医師によって指導・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)の業務に協力する者である。

 
 
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19 この省令において「製造販売後臨床試験協力者」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師又は製造販売後臨床試験分担医師の指導の下にこれらの者の製造販売後臨床試験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
 
 
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20 この省令において「治験調整医師」とは、一の治験実施計画書
(第22項に規定する治験実施計画書をいう。以下この項及び次項において同じ。)
に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合に、治験依頼者
(第22項に規定する治験依頼者をいう。次項において同じ。)
又は自ら治験を実施する者により当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務
(以下この条において「調整業務」という。)
の委嘱を受け、当該調整業務を行う医師又は歯科医師をいう。

9 第20項の「治験調整医師」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で行う治験(以下「多施設共同治験」という。)において、治験依頼者又は自ら治験を実施する者(以下「治験依頼者等」という。)により当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整業務の委嘱を受け、当該調整業務を行う医師又は歯科医師である。

治験調整医師は、当該治験の分野において十分な経験を有し、多施設間の調整を適切に行いうる者であること。

治験責任医師の中から選定されることが考えられるが、必ずしも治験責任医師に限らないこと。

 
 
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21 この省令において「治験調整委員会」とは、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において治験を行う場合に、治験依頼者又は自ら治験を実施する者により調整業務の委嘱を受けて当該調整業務を行う複数の医師又は歯科医師で構成される委員会をいう。

10 第21項の「治験調整委員会」とは、多施設共同治験において、治験依頼者等により調整業務の委嘱を受けて当該調整業務を行う複数の医師又は歯科医師で構成される委員会である。

なお、治験協力者等も治験調整委員会を構成する委員となることは可能である。

 
 
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22 この省令において「モニタリング」とは、治験又は製造販売後臨床試験が適正に行われることを確保するため、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は製造販売後臨床試験の計画書(以下「製造販売後臨床試験実施計画書」という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」という。)若しくは製造販売後臨床試験の依頼をした者(以下「製造販売後臨床試験依頼者」という。)が実施医療機関に対して行う調査又は自ら治験を実施する者が実施医療機関に対して特定の者を指定して行わせる調査をいう。

11 第22項の「モニタリング」とは、治験等が適正に行われることを確保するため、治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者又は製造販売後臨床試験依頼者より指名されたモニターが、治験等の進行状況を調査し、本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動である。

自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者をモニターに指定する場合には、当該治験に従事していない第三者を指定するべきであり、また、実施医療機関外部に委託することも可能である。

 
 
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23 この省令において「監査」とは、治験又は製造販売後臨床試験により収集された資料の信頼性を確保するため、治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験実施計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書に従って行われたかどうかについて治験依頼者若しくは製造販売後臨床試験依頼者が行う調査、又は自ら治験を実施する者が特定の者を指定して行わせる調査をいう。

12 第23項の「監査」とは、治験等が本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者等(又は製造販売後臨床試験依頼者)によって指名された監査担当者が、独立した立場において治験等に係る業務及び文書を体系的に検証することである。

自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者を監査担当者に指定する場合には、当該治験又は当該治験に対するモニタリングに従事していない第三者を指定するべきであり、また、実施医療機関外部に委託することも可能である。

なお、事実経過の再現を可能とする文書を「監査証跡」、監査が行われた旨の監査担
当者による証明書を「監査証明書」、監査担当者が監査の結果の評価を記述したものを「監査報告書」という。

 
 
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24 この省令において「有害事象」とは、治験使用薬又は製造販売後臨床試験使用薬を投与された被験者に生じた全ての疾病又はその徴候をいう。

13 第24項の「有害事象」とは、治験使用薬又は製造販売後臨床試験使用薬を投与された被験者に生じた全ての好ましくない又は意図しない疾病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいい、当該治験使用薬又は当該製造販売後臨床試験使用薬との因果関係の有無は問わない。

 
 
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25 この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者をいう。

14 第25項の「代諾者」とは、治験への参加について、被験者に十分な同意の能力がない場合に、被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者であること。

 
 
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26 この省令において「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師
(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。)
をいう。

15 第26項の「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師
(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して治験の計画を届け出ようとする治験調整医師となるべき医師又は歯科医師を含む。)
をいう。

なお、本基準への適合性の客観性が確保される限りにおいてやむを得ない場合にあっては、実施医療機関の長が自ら治験を実施しようとする者となることを妨げるものではない。

 
 
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27 この省令において「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関等において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験責任医師
(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して同項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験調整医師を含む。)
をいう。

16 第27項の「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出た治験責任医師
(一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を行う場合にあっては、代表して治験の計画を届け出た治験調整医師を含む。)
をいう。

なお、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施する場合、各治験責任医師は「自ら治験を実施する者」と解される。

 
 
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28 この省令において「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。

17 第28項の「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して薬物を提供する者をいう。

この場合の治験薬提供者は、当該実施医療機関に対して治験薬を提供する医薬品
製造販売業者等をいう。

 
 
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29 この省令において「拡大治験」とは、人道的見地から実施される治験をいう。
 
 
18 省令で規定するもののほか、次の用語については、以下に示すとおりである。

(1)「インフォームド・コンセント」並びに「説明文書」及び「同意文書」について

@ 「インフォームド・コンセント」とは、被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、文書によってそのことを確認することをいう。

この際の説明に用いられる文書が「説明文書」(第51条参照)である。

治験への参加に同意することを確認する文書が「同意文書」(第52条第1項参照)であり、被験者(又は代諾者)と治験責任医師等の記名押印又は署名と日付が記入される。

-------------------------------

A 「説明文書」と「同意文書」は両者を一体化した文書又は一式の文書とすること
が望ましい。

-------------------------------

B 同意文書は、説明文書の内容を十分に理解した上で、当該治験に参加することに
同意する旨を記載した文書であるが(第52条第1項参照)、あらかじめ、様式を定
めている場合には、説明文書と一体化した文書又は一式の文書として取扱うこと。

例えば、第10条に基づき実施医療機関の長に対し説明文書を提出する場合及び第32条に基づき治験審査委員会に対し審査資料として説明文書を提出する場合には、説明文書と同意文書をあわせて提出すること。また、第50条に基づき説明文書を用いて説明する場合には、説明文書と同意文書をあわせて用いて説明すること。

 
 

(2)「開発業務受託機関」について

治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を治験を依頼しようとする者から受
託する者又は治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関から受託する者は開発業務受託機関(CRO:
Contract Research Organization)とも呼ばれる(第12条及び第15条の8参照)。

(3)「治験施設支援機関」について

治験の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託する者は、治験施設支援機関(SMO:Site Management Organization)とも呼ばれる(第39条の2参照)。

(4)「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者等に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者等が設置することができる委員会であり、「データモニタリング委員会」とも呼ばれる。

有効性の検証を目的とした臨床試験等においては、治験依頼者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会として設置した場合には、とくに「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる(第19条及び第26条の5参照)。

(5)「公正な立会人」とは、治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者(又は代諾者)が同意文書等を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者である(第52条参照)。

なお、治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、説明する側の立場の者であり、公正な立会人としては適当でない。

(6)「症例報告書の見本」とは、各被験者に対して、治験依頼者に報告すること又は自ら治験を実施する者が保存することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するために印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式をいう(症例報告書の様式とも呼ばれている。)。

なお、これに記録されたものは「症例報告書」という。

(7)「手順書」とは、治験に係る各々の業務が恒常的に又は均質に、かつ適正に実施されるよう手順を詳細に定めた文書をいう。

(8)「被験者識別コード」とは、個々の被験者の身元に関する秘密を保護するため、治験責任医師が各被験者に割り付けた固有の識別番号で、治験責任医師が有害事象及びその他の治験関連データを報告する際に、被験者の氏名、身元が特定できる番号及び住所等の代わりに用いるものである。

(9)「非臨床試験」とは、人を対象としない生物医学的試験及びその他の試験をいう。

 
 

(10)「副作用」とは、

治験使用薬等については以下のとおり:

投与量にかかわらず、投与された治験使用薬に対するあらゆる有害で意図しない反
応(臨床検査値の異常を含む。)。

すなわち、当該治験使用薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。

因果関係の判定を行う際には、投与中止後に消失すること、投与再開後に再発す
ること、既に当該治験使用薬又は類薬において因果関係が確立されていること、交絡するリスク因子がないこと、曝露量・曝露期間との整合性があること、正確な既往歴の裏付けにより治験使用薬の関与がほぼ間違いなく説明可能であること、併用治療が原因である合理的な可能性がみられないこと等を参考にすることができる。

市販薬については以下のとおり:

疾病の予防、診断、治療又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。

すなわち、当該医薬品と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。

(なお、本基準においては、
 副作用という用語を、
 薬理作用の中で主作用に対する
 副作用を意味する
 英語の side effect ではなく、
 薬物有害反応 adverse drug reaction
 に対応する意味で用いている。)

 
 

(11)「盲検化(又は遮蔽化)」とは、薬効評価に対する偏りの介入を避ける目的で、治験に参加する単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。

単盲検法は通常、被験者が割付けの内容を知らされないこと、二重盲検法は被験者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験依頼者、自ら治験を実施する者、モニター、監査担当者及び一部の事例ではデータ解析者が割付けの内容を知らされないことを指す。

なお、ここでいう「治験依頼者が割付けの内容を知らされないこと」とは、治験依頼者において手順を定める等割付けの内容の機密性を確保するための必要な措置が講じられており、かつ、医薬品の開発に係る部門が割付けの内容を知らされないことを
意味するものである。

(12)「原データ」とは、治験における臨床所見、観察その他の活動に関する元の記録及びその保証付き複写に記録されているあらゆる情報であって、治験の事実経過の再現と評価に必要なものをいう。

「原データ」は原資料(元の記録又はその保証付き複写)に含まれる。

(13) 「保証付き複写」とは、使用媒体によらず、元の記録からの複写物で、元の記録の背景、内容及び構成を説明するデータを含め、同一の情報を有することが保証された(すなわち、日付入り署名が記入された又はバリデートされた過程により作成された)ものをいう。

複写物を元の文書(原資料、症例報告書等)の代わりとして置き換える場合には、当該複写物は保証付き複写の要件を満たすこと。

(14) 「システムバリデーション」とは、電子データ処理システムが要求される仕様につ
いて、システムの設計から廃棄まで又は新システムへの移行まで常に満たすことを検
証し、文書化(記録化)する過程をいう。

システムバリデーションの取組みは、シス
テムの用途や被験者保護及び治験結果の信頼性への影響を与える可能性を考慮したリスク評価に基づくこと。

(15) 「モニタリング計画書」とは、治験のモニタリングの戦略、方法、責務及び要件を記述した文書をいう。

 
 
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