医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

 この省令は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図り、治験の科学的な質及び成績の信頼性を確保するため、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第3項及び第10項(同条第13項及び法第19条の2第5項において準用する場合を含む。以下同じ。)並びに法第14条の4第5項及び第14条の6第4項(これらの規定を法第19条の4において準用する場合を含む。以下同じ。)の厚生労働省令で定める基準のうち医薬品の臨床試験の実施に係るもの並びに法第80条の2第1項、第4項及び第5項に規定する厚生労働省令で定める基準を定めるものとする。

 
 

1 本基準(この省令で定める基準を以下「本基準」という。)は、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図り、治験(医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験。以下同じ。)の科学的な質及び成績の信頼性を確保することを目的として、治験及び製造販売後臨床試験に関する計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定めるものである。

2 治験に関する原則的事項としては、次の事項があげられる。

製造販売後臨床試験を実施する際も準拠すべきである。

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(1)治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準を遵守して行うこと。

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(2)治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。

期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。

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(3)被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。

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(4)治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていること。

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(5)治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていること。

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(6)治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施すること。

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(7)被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うこと。

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(8)治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていること。

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(9)全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得ること。

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(10)治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存すること。

本原則は、その媒体によらず、本ガイダンスで規定する全ての記録に適用される。

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(11)被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護すること。

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(12)治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について」(平成20年7月9日付け薬食発第0709002号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「治験薬GMP通知」という。)を遵守して行うこと。

治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用すること。

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(13)治験の被験者保護及び治験結果の信頼性確保に必要不可欠な局面の質を保証するための手順を示したシステムを運用すること。

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(14)治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失を適切に補償すること。

その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること。

 
 
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