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生物資源探査」のこと。

自然界から、商業利用可能な有用な特質を備えた植物や動物(カビ・微生物を含む)を探し出そうという取り組み

アフリカやアマゾンなどの密林や、チベットや中国の山岳地帯、深海や北極・南極など、人があまり立ち入らない(立ち入れない)地域の植物や動物から、これまで知られていない、未知の物質が発見できるのではないかと注目されている探査活動です。

 
 

バイオプロスペクティングは、特に、新薬開発における候補物質を発見する手段として、非常に期待されています。

→ 新薬候補化合物

エイズ(AIDS)、癌、アルツハイマー、呼吸器疾患、肥満など、有効な治療法が無い疾患の治療新薬の候補物質を発見するのは、従来の偶然に頼った化学合成法では限界があります。

また、ゲノム情報を用いた創薬技術も発展途上にあり、成果が期待できるのはこれからです。

それに比べて、上記のような地域の原住民が、周囲の野原や森から採取した植物・薬草や動物を使って、昔からの民間療法で疾患を治療しているという報告がされています。

中には、眉唾物もあるのでしょうが、画期的な新薬候補物質が見つかる可能性もあります。

例えば、南アフリカ共和国は、2万4000種もの植物があり、他に類を見ない生物多様性を誇っています。

また、伝統的な薬草治療を専門とする治療者が30万人おり、少なくとも人口の7割が昔ながらの薬草療法に依存しているそうです。

伝統的な薬草療法を用いた治療者の知識を活用しない手はありません。

 
 

一方、その地域固有の生物資源や伝統的な薬草療法について、所有権が問題になっています。

古くは、植民地にされた発展途上国は、植物学者によって知識を吸収され、また、無断で植物を持ち出しされる(時には、当該植物が絶滅する)など、なされるがままで、その見返りも全くありませんでした。

しかし現在では、地域社会に長年受け継がれてきた薬草知識などの民間療法知識を保護すると同時に、動植物の多様性も保護するため、無断での海外への動植物の持ち出しを禁止する国が増えています。

最近では、南アフリカやブラジルなどのように、国家的プロジェクトとして、欧米の製薬企業の新薬候補物質探索に積極的に協力する国も増えてきています。

協力する代わりに、見返りとして、成果(新薬の低価格の提供)と報酬(ライセンス料)を受け、現地住民にも何らかの形でフィードバックするのです。

このような国家的な「ビジネスモデル」によって、バイオプロスペクティングは、今後さらに進展して行くことでしょう。

 
 
新薬候補物質
新薬候補化合物
 
 
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