医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

法第14条又は第19条の2の承認を受けた者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条の4第5項及び第14条の6第4項に規定する資料の収集及び作成については、第4条から第6条まで、第7条(第3項第1号を除く。)、第9条、第10条(第1項第2号を除く。)、第11条から第15条まで、第16条から第23条まで、第24条第1項及び第2項、第25条、第26条並びに第27条から第55条までの規定を準用する。

この場合において、これらの規定(見出しを含む。)中「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と、「治験実施計画書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と、「治験責任医師」とあるのは「製造販売後臨床試験責任医師」と、「治験国内管理人」とあるのは「製造販売後臨床試験国内管理人」と、「治験調整医師」とあるのは「製造販売後臨床試験調整医師」と、「治験調整委員会」とあるのは「製造販売後臨床試験調整委員会」と、「治験分担医師」とあるのは「製造販売後臨床試験分担医師」と、「治験責任医師等」とあるのは「製造販売後臨床試験責任医師等」と、「治験依頼者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、「治験薬管理者」とあるのは「製造販売後臨床試験薬管理者」と、「治験協力者」とあるのは「製造販売後臨床試験協力者」と、「治験審査委員会」とあるのは「製造販売後臨床試験審査委員会」と、「治験使用薬」とあるのは「製造販売後臨床試験使用薬」と、「治験使用薬等」とあるのは「製造販売後臨床試験使用薬等」と、「専門治験審査委員会」とあるのは「専門製造販売後臨床試験審査委員会」と、「治験審査委員会等」とあるのは「製造販売後臨床試験審査委員会等」と、これらの規定(見出しを含み、第11条、第16条の見出し及び同条第1項、第2項並びに第5項から第7項まで、第17条(見出しを含む。)並びに第39条(見出しを含む。)の規定を除く。)中「治験薬」とあるのは「製造販売後臨床試験薬」と、第7条第1項第2号中「全部又は一部」とあるのは「一部」と、第11条中「治験薬」とあるのは、「被験者、製造販売後臨床試験責任医師等又は製造販売後臨床試験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態(以下「盲検状態」という。)にした製造販売後臨床試験薬」と、第12条第1項及び第13条第1項中「全部又は一部」とあるのは「一部」と、第16条の見出し及び同条第1項、第2項、第5項及び第7項中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、同条第1項第1号中「治験用」とあるのは「製造販売後臨床試験用」と、同条第2項第1号中「予定される」とあるのは「承認されている」と、第17条(見出しを含む。)中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、第20条第2項中「法第80条の2第6項に規定する事項」とあるのは「法第68条の10第1項に規定する事項(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第228条の20第1項第1号及び第2号に規定する事項であって当該製造販売後臨床試験において発生したものに限る。)」と、「当該被験薬について初めて治験の計画を届け出た日」とあるのは「当該被験薬に係る医薬品の製造販売の承認の際に厚生労働大臣が指定した日」と、同条第3項中「治験薬概要書」とあるのは「添付文書」と、「直ちにその旨を治験責任医師」とあるのは「直ちにその旨を当該製造販売後臨床試験責任医師」と、同条第4項中「治験実施計画書及び治験薬概要書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と、第26条第1項中「に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了した日後5年間」と、第34条中「に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項に規定する通知を受けたときは、通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了する日まで」と、第38条見出し中「治験事務局」とあるのは「製造販売後臨床試験事務局」と、第39条(見出しを含む。)中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、「第16条第6項又は第26条の2第6項」とあるのは「第16条第6項」と、第40条第1項中「第20条第2項及び第3項の規定により治験依頼者から又は第26条の6第2項の規定により自ら治験を実施する者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、同条第2項中「第24条第2項の規定により治験依頼者から若しくは第26条の10第2項の規定により自ら治験を実施する者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、「通知を受けたとき又は第24条第3項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知若しくは第26条の10第3項の規定により自ら治験を実施する者から申請書に添付されないことを知った旨の通知」とあるのは「通知」と、第41条第2項中「に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了する日まで」と、第42条第2号中「治験実施計画書、治験薬概要書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と読み替えるものとする。

 
 

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4に基づく再審査申請、第14条の6に基づく再評価申請を行う際に提出する資料の適合性の基準のうち製造販売後臨床試験に関するもの。

ただし、製造販売後臨床試験を実施する際には、本基準によるほか、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第171号。以下「GPSP省令」という。)によること。

 

 

 
 

(1)承認審査資料の基準を読み替えることを除き原則的に同じ。

(2)製造販売後臨床試験の特性に鑑み、適用除外として次のようなものがある。

-------------------------------

@ 第7条第3項第1号

第50条第1項(被験者となるべき者に対する説明と同意)及び第2項(代諾者に対する説明と同意)の同意を得ることが困難と予想される者を対象にしている場合に、実施計画書に記載しなければならない事項のうち、「当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明」を除外する。

(適用除外の理由)
治験段階の薬物にあっては、有効性が確認されていないが、承認後に実施される再審査、再評価のための製造販売後臨床試験においては、適用する必要が無いため。

-------------------------------

A 第8条

第5条に規定する被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験により得られた資料並びに被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいた治験薬概要書の作成と改訂を除外する。

(適用除外の理由)
製造販売後臨床試験は既承認医薬品を用いて行われるため、治験薬概要書に当たるものの作成を行う必要はない。

なお、盲検比較試験においても既承認医薬品が用いられるが、この際にも使用される被験薬及び対照薬は、製造販売後臨床試験実施計画書中で明らかなため概要書の作成を求めない。

-------------------------------

B 第10条第1項第2号

治験の依頼をしようとする者が、あらかじめ、実施医療機関の長に提出しなけれ
ばならない文書から、治験薬概要書を除外する。

(適用除外の理由)
Aの理由と同様に製造販売後臨床試験においては治験薬概要書に当たるものを作成する必要はない。

-------------------------------

C 第16 条第1項第1号

承認申請後も治験を継続した後、承認後に製造販売後臨床試験に切り替え継続実施し、市販薬の使用開始に伴い当該試験を終了する場合、治験薬の容器又は被包の治験用である旨の記載を製造販売後臨床試験用である旨の記載に変更する必要はない。

(適用除外の理由)
承認時から市販薬の使用開始までの期間は短期間であり、容器又は被包への記載をもって管理する必要はない。

-------------------------------

D 第24 条第3項

治験依頼者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項及び施行規則第45条の4第1項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。

(適用除外の理由)
GPSP省令では、製造販売業者等にその実施する製造販売後臨床試験に関し、製造販売後調査等業務手順書及び製造販売後調査等基本計画書の作成を求めている。

(3)再審査等の資料の基準における読替え

治験
→製造販売後臨床試験

治験実施計画書
→製造販売後臨床試験実施計画書

治験責任医師
→製造販売後臨床試験責任医師

治験国内管理人
→製造販売後臨床試験国内管理人

治験調整医師
→製造販売後臨床試験調整医師

治験調整委員会
→製造販売後臨床試験調整委員会

治験分担医師
→製造販売後臨床試験分担医師

治験責任医師等
→製造販売後臨床試験責任医師等

治験依頼者
→製造販売後臨床試験依頼者

治験薬管理者
→製造販売後臨床試験薬管理者

治験協力者
→製造販売後臨床試験協力者

治験審査委員会
→製造販売後臨床試験審査委員会

治験使用薬
→製造販売後臨床試験使用薬

治験使用薬等
→製造販売後臨床試験使用薬等

専門治験審査委員会
→専門製造販売後臨床試験審査委員会

治験審査委員会等
→製造販売後臨床試験審査委員会等

治験用
→製造販売後臨床試験用

多施設共同治験
→多施設共同製造販売後臨床試験

治験事務局
→製造販売後臨床試験事務局

(4)治験を製造販売後臨床試験に切り替え継続実施する場合の対応について製造販売後臨床試験の依頼をしようとする者は、承認日から製造販売後臨床試験に切り替えられるよう、次のような対応を講じておくこと。

@ 第7条(治験実施計画書)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施計画書を作成しておくこと。なお、治験実施
計画書において、承認日以降は自動的に「治験」を「製造販売後臨床試験」と読み替える旨記載しておくことでも差し支えない。

A 第10条(実施医療機関の長への文書の事前提出)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設の長に対して、第1項に掲げる文書を提出しておくこと。

B 第11条(治験薬の事前交付の禁止)
製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設との間で、第13条の規定に基づく契約を締結した後であれば、承認日以前であっても、当該施設に対して、製造販売後臨床試験薬を交付することができる。

C 第13条(治験の契約)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設との間で契約を締結しておくこと。
なお、治験の契約において、承認日以降は自動的に「治験」を「製造販
売後臨床試験」と読み替える旨規定しておくことでも差し支えない。

D 第14条(被験者に対する補償措置)
承認日から実施できるよう、あらかじめ保険契約の締結その他の必要な措置を講
じておくこと。

E 第16条(治験薬又は治験使用薬の管理)及び第17条(治験薬の交付)
品質の確保を前提条件として、実施医療機関に交付された治験薬を製造販売後臨床試験薬として使用することができる。
その場合、承認日以降に製造販売後臨床試験に切り替え継続実施し、市販薬の使用開始に伴い当該試験を終了する場合を除き、承認日以降、速やかに、あらかじめ定めた手順に基づき、品質の確保が可能な場所において、治験薬の容器又は被包の治験用である旨の記載を製造販売後臨床試験用である旨の記載に変更し、その記録を作成し保存すること。

F 第30条(治験審査委員会の審査)
あらかじめ製造販売後臨床試験実施医療機関となる施設の治験審査委員会から、製造販売後臨床試験の実施について承認を取得しておくこと。

G 第50条から第54条まで(被験者の同意)
承認日以降、速やかに、被験者に対して当該医薬品が承認された旨記載された説明文書を交付し、製造販売後臨床試験に参加することについて文書により改めて同意を取得すること。

(5)市販薬を用いる製造販売後臨床試験の特例

-------------------------------

@ 第11条

製造販売後臨床試験の依頼をしようとする者は、製造販売後臨床試験の契約が締結される前に、実施医療機関に対して被験者、製造販売後臨床試験責任医師等又は製造販売後臨床試験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態(盲検状態)にした製造販売後臨床試験薬を交付してはならない。

(市販薬を用いる場合)
そもそも市販薬は、臨床現場に提供されているものであり、契約の締結に関わらず
販売授与されることが想定されるものであり、契約前の交付を禁じる意味がないため適用除外とされている。

-------------------------------

A 第16条

第1項
製造販売後臨床試験依頼者が盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の容器又は被包に邦文で記載しなければならない事項。

第2項
製造販売後臨床試験依頼者が製造販売後臨床試験薬に添付する文書、その盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は容器若しくは被包(内袋を含む。)に記載してはならない事項。

第5項
製造販売後臨床試験依頼者が盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬に関する作成しなければならない記録。

第6項
製造販売後臨床試験依頼者は、製造販売後臨床試験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。

第7項
製造販売後臨床試験は、必要に応じ、盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを製造販売後臨床試験責任医師等、製造販売後臨床試験協力者及び第39条に規定する製造販売後臨床試験薬管理者に交付しなければならない。

(市販薬を用いる場合)
上記各項は、市販薬を用いた場合には適用されない。
なお、第3項は、元々盲検状態の医薬品に関する条項であり市販品を用いた場合は関係ないこと。
また、第4項は適切な包装を求めるものであり盲検状態の有無に関わらず遵守すべき事項である。

-------------------------------

B 第17条第1項

製造販売後臨床試験依頼者は、盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された盲検状態にした製造販売後臨床試験薬を実施医療機関に交付しなければならない。

(市販薬を用いる場合)
市販品を用いる場合は、GMPが既に適用されているため、本項を新たに適用する必要はない。

-------------------------------

C 第39条(盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬の管理)

製造販売後臨床試験薬管理者は、第16条第6項の手順書に従って盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は製造販売後臨床試験使用薬を適切に管理しなければならない。

(市販薬を用いる場合)
市販薬を用いる場合は第16条第6項で求める製造販売後臨床試験の管理の手順書による管理を行う必要はない。
ただし、自主的にこれを作成し管理を行うことを妨げるものではない。

(6)GPSP省令の制定に伴い、資料の保存期間及び副作用等情報の通知に関して次のとおり改められた。

-------------------------------

@ 第34条(記録の保存)

製造販売後臨床試験審査委員会の設置者は、手順書、委員名簿、第32条第1項各号に掲げる提出された資料、第40条第1項から第4項までの規定による製造販売後臨床試験審査委員会への通知、会議の記録を、被験薬の再審査又は再評価が終了する日までの期間保存しなければならない。

-------------------------------

A 第41条第2項(記録の保存)

記録保存責任者は、実施医療機関において保存すべき文書又は記録を、被験薬の再審査又は再評価が終了する日までの期間保存しなければならない。

-------------------------------

B 第20条第2項(副作用情報等)

製造販売後臨床試験依頼者は、当該製造販売後臨床試験において発生した被験薬について法第68条の10に規定する事項(施行規則第228条の20に規定するものに限る。)を知ったときは、その国内重篤副作用等症例の発現状況一覧を当該製造販売後臨床試験において発生した被験薬ごとに、製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品の製造販売の承認の際に厚生労働大臣が指定した日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後3か月以内に製造販売後臨床試験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。

-------------------------------

C 第20条第3項(副作用情報等)

製造販売後臨床試験依頼者は、上記Bで規定する事項のうち当該被験薬の添付文書等又は容器若しくは被包に記載された使用上の注意等から予測できないものを知ったときは、直ちにその旨を製造販売後臨床試験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。

 
 
戻る 次へ
医薬品GCP 目次
医療機器GCP 目次
法律・省令・指針等
目次
治験ナビ・トップ