医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 (医薬品GCP) |
第二章 治験の準備に関する基準 |
第二節 自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準 |
第15条の4 治験実施計画書 |
自ら治験を実施しようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。 1)自ら治験を実施しようとする者の氏名及び住所 2)治験の実施の準備及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲 3)治験の実施に係る業務の一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲 4)実施医療機関の名称及び所在地 5)治験の目的 6)治験使用薬の概要 7)治験薬提供者の氏名及び住所 8)治験の方法 9)被験者の選定に関する事項 10)原資料の閲覧に関する事項 11)記録(データを含む。)の保存に関する事項 12)治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名 13)治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成する医師又は歯科医師の氏名 14)第26条の5に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは、その旨 |
2 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。 1)当該治験が第50 条第1項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明 2)当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明 |
3 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。 1)当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明 2)現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明 3)被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明 4)第26条の5に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨 |
4 自ら治験を実施しようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書を改訂しなければならない。 |
医薬品GCPガイダンス 【解説】 |
〈第1項〉 |
1 自ら治験を実施しようとする者は、第15条の3に掲げる必要な試験の結果等に基づき、治験実施計画書を作成すること。 この際、自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の内容を検討するために必要な治験薬概要書等の資料を、あらかじめ用意すること。 |
2 治験実施計画書には、作成及び改訂の日付並びに版表示、又は最新版の作成の日付及び版表示を記載すること。 |
3 治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の10を適宜参照すること。 ただし、監査担当者の氏名、職名及び電話番号等は記載しなくても差し支えない。 なお、治験実施計画書の具体的記載にあたって、「自ら治験を実施しようとする者」を「自ら治験を実施する者」と記載しても差し支えない。 例えば、自ら治験を実施する者と記載して自ら治験を実施しようとする者の氏名、住所を記載して差し支えない。 また、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施する場合において、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名並びに実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差し支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。 |
4 治験実施計画書又はその分冊に記載されたモニター以外のモニター及び監査担当者が診療録の閲覧等を行う場合は、モニター等の氏名等を当該医療機関が把握できるようにすること。 ------------------------------- 注1)中央薬事審議会答申(平成9年3月13 日中薬審第40 号)は、現行の薬事・食品衛生審議会の改変前の組織である中央薬事審議会が答申したGCPであり、本基準の内容が示されたものである。 ------------------------------- 注2)自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の作成及び必要に応じて改訂を行うが、その際、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることについて、治験審査委員会において審議し、確認するよう、実施医療機関の長に依頼すること。 また、そのための手続きを文書で定めること(第15条の2参照)。 |
5 治験の実施の準備、管理及び実施に係る業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)及び当該委託に係る業務の範囲も治験実施計画書に記載すること。 |
6 治験実施計画書には、治験薬提供者の氏名又は名称及び住所を明記すること。 |
医薬品GCPガイダンス 【解説】 |
〈第2項〉 |
1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的な内容の治験においては、必ず被験者本人から同意を得ること(第50条第4項参照)。 |
2 非治療的な内容の治験において、次の(1)から(4)に掲げる事項が全て満たされ このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。 また、治験責任医師又は治験分担医師は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止すること。 (1)治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。 (2)被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。 (3)被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。 (4)代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。 |
3 「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合」とは、例えば、同意の能力を欠く者を対象にした医薬品に係る治験において、これらの者を被験者として薬物動態試験を行う必要がある場合が考えられる。 |
4 「当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであること」とは、被験者に対する予見しうる危険性が低いこと、被験者への肉体的又は精神的な悪影響が、それらを避けるための努力が行われた上で、十分に低いことをいう。 |
5 代諾者の同意に関しては第50条第3項を参照すること(被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者からも同意を得るべきである。)。 |
医薬品GCPガイダンス 【解説】 |
〈第3項〉 |
1 「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは、次の(1)から(3)に掲げる点から、被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な内容の治験である(第55条参照)。 (1)被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。 (2)被験者の代諾者による同意が可能となる以前に、救急的に治験が開始される必要があること。 (3)当該治験の被験者となりうる者をあらかじめ特定することが困難であること。 |
2 第4号の「効果安全性評価委員会」は、治験の進行等を適切な間隔で評価し、治験の継続の適否等について自ら治験を実施しようとする者に提言するために設置されるものであること。 |
3 このような緊急状況下における救命的な内容の治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、その旨及び次の事項が治験実施計画書に記載されていること。 (1)生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。 ------------------------------- (2)現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。 ------------------------------- (3)被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。なお、そのことを支持する適切なデータが得られている必要があること。 また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィットに照らして合理的であること。 ------------------------------- (4)第26条の5に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。 (5)治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない場合は治験の対象から除かれることについて、第15条の4第1項第8号の「治験の方法」及び第9号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載されていること。 また、治験責任医師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。 |
医薬品GCPガイダンス 【解説】 |
〈第4項〉 |
1 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。 治験実施計画書が改訂される場合も同様とする。 ------------------------------- 注)治験実施計画書(改訂されたものを含む。)は、第15条の7の規定により自ら治験を実施しようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。 なお、第15条の4第1項の規定に基づき治験実施計画書の分冊を作成しており、当該分冊に記載された当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合を除いて差し支えないこと。 |
2 症例報告書の見本を作成する場合は、上記1の規定を準用する。 ただし、レイアウト(電子情報処理組織の利用による症例報告書にあっては、その仕様)の変更を行う場合を除いて差し支えない。 |
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