医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

 治験の依頼をしようとする者は、治験実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の依頼及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。

2 治験の依頼をしようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならな
い。

 
 

1 治験の依頼をしようとする者は、治験依頼者になることを意図した者であり、治験の依頼に係る治験実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験薬概要書の作成等の業務、治験の管理に係る治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、モニタリング及び監査の実施、総括報告書の作成、記録の保存等の業務について手順書を作成すること。

なお、本条の以下の解説において治験依頼者とあるのは、治験の依頼をしようとする者を含むものである。

2 治験依頼者は、治験の全ての過程において、品質マネジメントのためのシステムを履行し、被験者保護及び治験結果の信頼性確保に必要不可欠な活動に重点的に取り組むものとする。

品質マネジメントには、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために、手順書に基づく品質保証及び品質管理のほか、以下のものが含まれる。

○ 効率的な治験実施計画書のデザイン

○ データ収集及び処理に関するツール
  及び手順

○ 意思決定に不可欠な情報の収集

治験の品質保証及び品質管理のために使用する方法は、治験固有のリスク及び収集する情報の重要性に対して釣り合いのとれたものとすべきである。

また、治験依頼者は、実施した品質マネジメントについて総括報告書に記載すること。

このほか、品質マネジメントの詳細については、「治験における品質マネジメントに関
する基本的考え方について」(令和元年7月5日付け薬生薬審発0705第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)を参照のこと。

なお、「治験の品質保証」とは、治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動をいう。

また、「治験の品質管理」とは、治験関連の活動の質に求められる事項を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証の一環として行われる実務的な手法及び活動をいう。

 
 
3 治験依頼者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用すること。

4 治験依頼者は、治験に係る検体等の検査機関(実施医療機関の検査室等を含む。)において、検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、当該検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認すること。

なお、確認すべき検査の範囲や具体的な確認方法は、各検査データの当該治験における位置づけ(主要評価項目であるかどうか等)を考慮し、治験依頼者と実施医療機関との間で取り決めること。

5 治験依頼者は、実施医療機関に交付する治験使用薬について、第16条第6項に基づき、実施医療機関の治験薬管理者がそれらの取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定めること。

当該手順書には、治験使用薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験使用薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるように規定すること。

また、治験薬以外の治験依頼者が交付しない治験使用薬であって、実施医療機関が在庫として保管するものの中から使用する治験使用薬については、治験依頼者は、実施医療機関において定められた取扱い、保管、管理、処方等に係る手順等を確認すること。

 
 

6 治験依頼者が作成すべき記録の保存に関する手順書には、実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録(第34条及び第41条参照)について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して当該治験審査委員会の設置者に通知することを含むこと。

なお、第24条第2項及び第3項に規定されている治験の中断又は中止及び開発の中止に関する治験依頼者から実施医療機関の長への文書による通知に関する事項
(当該通知を受けた実施医療機関の長から治験責任医師及び治験審査委員会等への通知については、 第40条第2項に規定されている。)
及び当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合に、治験依頼者から実施医療機関の長へのその旨を通知することについても規定されている必要がある。

(1)治験依頼者は、治験を中断又は中止する場合には、治験に関与する全ての実施医療機関の長にその旨とその理由の詳細を速やかに文書で通知すること(第24条第2項参照)。

(2)治験依頼者は、被験薬の開発(すなわち、その効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれか若しくは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由の詳細を治験に関与する全ての実施医療機関の長に速やかに文書で通知すること(第24条第3項参照)。

(3)実施医療機関の長は、治験依頼者が治験の中断又は中止若しくは被験薬の開発の中止を決定しその旨を通知してきた場合には、治験責任医師及び治験審査委員会等に対し、また治験責任医師が治験を中断又は中止しその旨を報告してきた場合には、治験依頼者及び治験審査委員会等に対し、それぞれ速やかにその旨を文書で通知するとともに、中断又は中止について文書で詳細に説明すること(第40条第2項及び第3項参照)。

(4)治験依頼者は、当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合には、その旨を実施医療機関の長に通知すること。

7 治験依頼者は、治験責任医師等に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供すること(第47条第2項参照)。

また、治験依頼者が指名した者が行う症例報告書の変更又は修正については、それらが文書に記録され、かつ、当該変更又は修正が必要なものであり、治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書を作成しておくこと。

8 治験依頼者は、治験が開始される前に、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録について、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を得ておく必要があり、これに関する規定を手順書に定めておくこと。

9 治験依頼者は、治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設又は治験依頼者のスタッフが本基準、治験実施計画書又は手順書を遵守していない場合には、遵守を確保するべく迅速な措置を講じること。

被験者保護や治験結果の信頼性に重大な影響を与える又は与えるおそれがある不遵守が発覚した場合には、治験依頼者は、根本原因を分析し、適切な是正措置及び予防措置を講じ、必要に応じて規制当局に報告すること。

 
 

1 「治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは、治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等において活用されるべき治験依頼者内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を含む。

2 治験依頼者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書の見本
(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むものと解してよい。)
及び治験薬概要書の作成・改訂、データの取扱い、検証及び統計解析の実施並びに治験の中間報告書(必要な場合)、総括報告書等の作成等、治験の全過程を通じ、適格な者(例:生物統計学者、臨床薬理学者、医師)を活用すること。
3 治験依頼者は、治験に関する医学的な問題について速やかに助言を得るために、適格な医学専門家を指名しておくこと。
4 治験の依頼をしようとする者は、治験を依頼する前に治験に関連する全ての業務を確定し、適格な者に割り当てること。
 
 
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