医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医療機器GCP)

 実施医療機関の長は、治験に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。

2 実施医療機関の長は、当該実施医療機関における治験がこの省令、治験実施計画書、治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては治験の契約書、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては第二十一条第五号から第十一号までに規定する文書及び前項の手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じなければならない。
3 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければならない。
 
 

1 「治験に係る業務に関する手順書」は、実施医療機関ごとに定められているべきである。

なお、この手順書は個々の治験ごとに作成する必要はなく、治験に係る業務が恒常的に又は均質にかつ適正に実施されるよう標準的な手順を定めたものであること。

 
 
2 「必要な措置」には、治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリストの了承、実施医療機関において適切な情報伝達を行わせること、実施医療機関において人事異動等による治験責任医師等の変更がある場合には治験依頼者に事前に連絡すること等が挙げられる。

1)実施医療機関の長は、治験責任医師が治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリストを了承すること(第63条第1項参照)。

実施医療機関の長は、了承した治験分担医師及び治験協力者のリストを治験責任医師に提出すること。

また、実施医療機関の長又は治験責任医師は、治験依頼者による治験においては治験依頼者に治験分担医師及び治験協力者のリストを提出すること。

2)実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第51条第1項及び第2項参照)を最新のものにすること。

治験依頼者による治験においては治験依頼者から、若しくは自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者から、追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から、追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者による治験においては治験依頼者に、若しくは自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、それらの当該文書の全てを速やかに提出すること。

3)治験責任医師は、治験審査委員会が治験の実施を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された後に(第51条第6項及び第7項参照)、その指示、決定に従って治験を開始すること。
4)治験責任医師は、治験審査委員会が実施中の治験の継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の継続を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された場合は(第51条第6項及び第7項参照)、その指示、決定に従って治験を継続すること。
5)治験責任医師は、治験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む。)、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された場合には(第51条第6項及び第7項参照)、その指示、決定に従うこと。

6)実施医療機関の長は、治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者から次の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じること。

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ア)治験の依頼をしようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。

@ 治験審査委員会の名称と所在地が記された文書

A 治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認した文書

B 治験審査委員会の審議・採決の出席者リスト

C 治験審査委員会が承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに治験の依頼をしようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書等の文書(第51条第1項参照)

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イ)治験の依頼をしようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。

上記ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。

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ウ)治験の依頼をしようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が却下したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手すること。

上記ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。

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エ)治験依頼者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関して治験審査委員会が実施した全ての継続審査等にかかる承認したことを証する文書、修正を条件に承認したことを証する文書又は既に承認した事項を取り消したこと(治験の中止又は中断を含む。)を証する文書及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。

上記ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。

7)実施医療機関の長は、自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者から次の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じること。

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ア)自ら治験を実施しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、治験計画届出を規制当局に提出する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。

@ 治験審査委員会の名称と所在地が記された文書

A 治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認した文書

B 治験審査委員会が承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに自ら治験を実施しようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書等の文書(第51条第1項参照)

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イ)自ら治験を実施しようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、治験計画届を規制当局に提出する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。

上記ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。

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ウ)自ら治験を実施しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が却下したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手すること。

上記ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。

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エ)自ら治験を実施する者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関して治験審査委員会が実施した全ての継続審査等にかかる承認したことを証する文書、修正を条件に承認したことを証する文書又は既に承認した事項を取り消したこと(治験の中止又は中断を含む。)を証する文書及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。

上記ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用すること。

8)実施医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証すること。

また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えること。

9)実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては第21条第1項第5号から第14号までに規定する文書及び手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講ずること。
なお、「必要な措置」には、治験責任医師が作成した治験分担医師及び治験協力者のリストを了承し、当該リストを自ら治験を実施する者に提出すること、実施医療機関において適切に情報伝達を行わせること等が挙げられる。
 
 

1 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるような必要な措置を講じること。

法第80条の2第10項の規定により、自ら治験を実施する者が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨及びこれらの地位にあった者についても同様である旨を含むこと。

 
 
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