1.補償の原則

 (1)治験依頼者に法的責任(賠償責任)が無くても、
    本ガイドラインに従って補償する(補償責任)。

 (2)賠償請求権を妨げない。
    補償したからといって、賠償請求を禁止する訳ではない。

 (3)治験に起因した健康被害であれば、
    治験薬に限らず、プロトコールに問題がある場合も含めて、
    補償の対象とする。

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2.補償の除外規定

 (1)機会原因によるものは補償しない。
    交通事故や、院内給食による食中毒など。

 (2)因果関係が否定されるものは補償しない。

 (3)市販後臨床試験で、市販薬を投与された場合は、
    「医薬品副作用被害救済制度」が適用できるので、
    このガイドラインは使わない。

 (4)第三者違法行為または不履行によるものには補償しない。

    → 第三者とは?

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3.補償責任の制限規定

 (1)効能不発揮については原則として補償しない。

   「原則として」
     ・・・治験参加により症状が悪化した場合の救済措置

 (2)プラセボ投与によって治療上の利益を受けられなかった
    としても、原則として補償の対象とはしない。

   「原則として」
     ・・・プラセボ投与により症状が悪化した場合の救済措置

 (3)治験実施計画書(プロトコール)から著しい逸脱による
    健康被害には、補償しない、あるいは減額する。
    治験依頼者(製薬企業)の責任ではなく、
    医療機関の賠償責任の問題である。

 (4)被験者側に故意または重過失があった場合は、
    減額される、または補償されない。

 (5)免疫抑制剤、抗癌剤、血液製剤のような、
    治療比の低い薬剤
   
医薬品救済制度対象外医薬品となっている)
    の治験のにおける健康被害に対しては、
    医療費・医療手当は支払うが、
    補償金は支払わない又は減額する場合がある。
    支払う金額は、当該薬剤の種類、
    画期的新薬、有用性加算新薬、通常新薬(ゾロ新)、
    後発品によって異なる。

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4.補償の基準

  医療費、医療手当、補償金の3種類がある。

 (1)医療費

    健康保険の給付を除く患者の自己負担分後で支払う。

 (2)医療手当

    通常、入院を必要とする程度以上の健康被害に対して、
    入院費、交通費、入院諸雑費等を支払う。
    医薬品副作用被害救済制度の医療手当に準じる。

 (3)補償金

    健常人を対象とした治験の場合は、
    政府労災に準じた額を支払う。

    患者を対象とした治験の場合は、
    医薬品副作用被害救済制度に準じた額を支払う。

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5.補償ルール

 (1)補償責任は、治験依頼者(製薬企業)が自発的に果たす。

 (2)因果関係の立証責任治験依頼者(製薬企業)にある。

   (答申GCP.3-14)
     治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、
     過失によるものであるか否かを問わず、
     被験者の損失適切に補償されなければならない、

     その際、
     因果関係の証明等について
     被験者に負担を課すことがないよう

     しなければならない。

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6.判定委員会

 (1)治験依頼者の責務として、治験担当医師の意見を参考に、
    因果関係の判定、障度等級等の判定を行う。

 (2)被験者より補償に関する不服申し立てがあった場合、
    治験依頼者の費用負担により、
    中立的な第三者による判定を行い(判定委員会の開催)、
    それを尊重する。
    (因果関係の判定、障度等級の判定)

 (3)第三者の判定に不服がある場合は、
    通常の民事責任ルール(民事訴訟手続き)で処理する。
    判定委員会は、賠償責任問題には関与しない。

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<関連書籍>

治験に係る補償・賠償の実務Q&A110(じほう)

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