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1946年、ドイツのニュルンベルグにて、第二次世界大戦中ナチスによって行われた残虐かつ非人道的な人体実験を裁くため、「ニュルンベルク裁判」が開かれました。

この判決に基づき、ナチスにの人体実験に対する厳しい反省をふまえ、人体を用いて試験を行う際に遵守すべき十項目の基本原則を定めた 「ニュルンベルグ綱領」が、1946年に誕生しました。

 
 

人間を対象とする必然性があること

科学的・医学的に妥当であること

● 実施者は対象者から(強制されない)自発的な同意を得ること

ニュルンベルグ綱領では、「人体実験」(人体への実験)を否定しているわけではなく、むしろ「必要性」を認めていて、「どうしたら被験者の人権を保障できるか」という点に力点を置いています。

「医学研究」としての「人体実験」の有用性を認めた上で、「インフォームド・コンセント」(説明に基づく同意)に代表される「患者の権利」の認識を明確化しています。

また、ニュルンベルグ綱領では、インフォームド・コンセントという言葉は直接使用されていませんが、インフォームド・コンセントの原型となる考え方は、この中で既に確立されています。

 
 

「インフォームド・コンセント」という概念の誕生の発端が、医療現場から生まれたのではなく、戦時中の薬物人体実験への反省から生まれたことは、皮肉な話です。

しかしそれは、通常医療よりも、人体への治療実験(臨床試験)のほうが、副作用発現のリスクが高いため、倫理的・人権的側面から、インフォームド・コンセント確立の必要性・緊急性が、より高かったからです。

臨床試験や市販後の様々な患者への投与で発生した副作用の情報は蓄積され、添付文書や医師にフィードバックされます。

それさえ守っていれば、大きな副作用はめったに起こりません。

一方、臨床試験では、類似化学構造を持つ既存薬の知識から、ある程度、効果・安全性は予測できるものの、それでも、

● 未知の薬物の使用
● 未知の用法・用量
● 未知の治療法
● 疾患への未知の適用

という、「未知」の多い状態で、試験が行われます。

副作用情報がほとんど蓄積されていないので、起きる副作用の多くは「未知の副作用」ということになります。

そもそも、どんな「未知の副作用」があるかを調べるのが「臨床試験」なので、「副作用」が出て当然と言えば当然なのです。

そのため、なおさら、被験者へのインフォームド・コンセントが必要不可欠になるわけです。

 
 
社会的に弱い立場にある者
インフォームドコンセント
インフォームドコンセント発祥の真実
患者の権利章典
ヘルシンキ宣言
医療におけるインフォームドコンセント
 
 
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