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患者(被験者)が、
最も長く続けられる投与量
 
 

一般に、癌に対する化学療法では、

抗癌剤を投与した後、
数週間の休薬期間を置いて、
患者の状態・体力の回復を待ち、
これを1コースとして
「投薬−休薬」を繰り返す
という方法が採用されます。

しかし、
半数以上の患者に
グレード3〜4の重い副作用が現れ、
結果として数コース(数カ月)で
中断せざるを得ない
のが現状です。

一般に、抗癌剤を高用量で投与するほど、腫瘍の縮小効果も高くなりますが、同時に副作用も増えます。

そこで、「患者が耐えられる最大量」、すなわち、「最大耐用量」(MTD)を求め、それを抗癌薬の投与量として設定するのが、従来の化学療法でした。

→ 最大耐用量(MTD)

それに対して、近年提唱されているのが、患者の「最大継続可能量」(MRD)に基づく化学療法です。

腫瘍の増大を抑えながら、あるいは、縮小させながら、副作用がグレード1〜2の範囲に収まるような、つまり、患者が最も長く続けられる最大投与量(=「最大継続可能量」)を患者毎に設定し、継続投与していくという方法です。
 
 

最大継続可能量(MRD)は、患者によって一人一人異なるので、例えば次のような試行錯誤によって設定されます。

最大耐用量(MTD)の半分程度の量から投与を開始し、強い副作用が発現すれば減量し、強い副作用が発現しなければ増量する。

この微妙な医師の「さじ加減」が重要になってきます。

このように、患者ごとに、有害事象の発現状況に応じて、薬剤の投与量を増減し投与を繰り返す化学療法を、
テーラード・ドーズ・ケモセラピー
(Tailored Dose Chemotherapy)
と呼びます。

「テーラード・ドーズ・ケモセラピー」の活用によって、
副作用による患者の肉体的負荷の改善、
QOL(生活の質)の向上
だけでなく、
従来の「最大耐用量(MTD)に基づく化学療法」と同等以上の効果(奏効率、生存期間の延長)があった事例も報告されています。

また、化学療法中の副作用をグレード1〜2の範囲内に収めることによって、通院による治療も可能になります。

結果的に、

@ 患者のQOL(生活の質)の向上、
A 入院費の削減(本人の負担)、
B 日本の医療費の削減

にもつながると期待されています。

 
 
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(MTD)
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重篤な有害事象
 
 
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