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患者サイドに立って、
病院や医療チームと患者とを結ぶ
調整役(パイプ役)を担う存在

患者支援者」と訳されます。

患者の希望や疑問点、問題点などは、
「患者アドボケート」を通じて病院側に伝えられる仕組みです。

わかりやすく言うなら
患者相談窓口」。

かっこ良く言うなら、
患者コンシェルジュ」。

一般に「アドボケート」(advocate)とは、
自己権利を主張することが困難な弱者の味方となって、その権利や利益を「守る」「擁護する」ために活動する人
を意味します。
 
 

どんなに医療スタッフが患者のために最善を尽くしたとしても、患者やその家族が、医療スタッフ・病院に対して不満や不信感を抱くことは、日常茶飯事です。

しかし、ただでも病気になっていることで、肉体的・精神的にも弱い立場に置かれている患者は、医療スタッフ・病院に対して、直接不満や不信感を表明することはなかなかできません。

本来、患者は、医療サービスを受けている「お客様」であり、大切に扱われ、その意思が尊重されるべきです。

しかし、従来日本では、患者は「医師に頭を下げて病気を診て頂く」という、卑屈な立場に置かれることも多いのが実情でした。

医師に対して、何か不満や不信を表明したら、「診てもらえなくなるのではないか」「治療に手を抜かれるのではないか」といった恐怖心を持たざるを得ず、疾患や怪我による苦しみだけでなく、精神的な抑圧から来る苦しみとも、戦わなければなりませんでした。  

そんな時に、親身になって患者の相談に乗ってくれる、病院と患者をつなぐ調整役としての専任スタッフがいれば、医療の内容について、相談・質問したり、本音を打ち明けたりすることができます。

診断結果、病気の内容、治療処置の方法、インフォームド・コンセントなどに関する患者の不明点など、患者が抱える様々な問題が解決できるのです。

米国の病院では、すでにこのような体制が根付いており、医療機関評価においても、専任スタッフ(患者アドボケート)が存在するかどうかが、重要な評価基準になっています。

本来は、このような専任スタッフを置かなくても、医師、看護師、薬剤師など、病院の医療スタッフ全てが「患者アドボケート指向」で患者に接するべきです。

なぜなら、「患者アドボケート指向」こそが、「患者中心の医療」の本質であるからです。

しかし、それは、あくまでも「気持ち」の上でのことであり、実際には医療スタッフたちは、日常の仕事に追われて、なかなか個々の患者とじっくり向き合えないのが、現実です。

そのため、患者を支援する専門スタッフ「患者アドボケート」が必要となるのです。

患者支援のための専任スタッフ」であるならば、患者のほうも、気兼ねなく支援を求め、相談・質問したりすることができます。

 
 
「患者アドボケート指向」を実践する言葉として、「患者アドボカシー」も良く使われています。

自己権利を主張することが困難な弱者の味方となってその権利や利益を「守る」「擁護する」ために活動すること。

特に、
広く社会に訴え、有権者の協力・支援を得て、公共福祉政策の意思決定過程に大きな影響を与える、
単に弱者を守るだけでなく、提案し変革していく、という社会活動の一つである
という点に特徴があります。

以上のように、「患者アドボケート」、「患者アドボカシー」は、「患者中心の医療」における重要なキーワードであり、今後の日本医療においても、大きな役割を果たしていくことが期待されます。
 
 
患者中心の医療
情報の非対称性
患者の権利章典
パターナリズム(父権主義)
インフォームドコンセント
医療におけるインフォームドコンセント
科学的根拠に基づく医療
(EBM)
 
 
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