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我が国の医療費に占める薬剤費の比率

薬剤料比率」ともいいます。

言葉の定義からすれば、本来は、
「比率」より「割合」を使うべきでしょう。

しかしなぜか、
「薬剤比率」が使われていることが多いので、非常に不本意ですが、ここでは、
「薬剤割合」ではなく、
薬剤比率」を使います

 
 

従来は30%を超え、国際的に見ても高い水準にあると言われた薬剤比率も、厚生労働省の薬剤比率低減策によって、平成14年には、21.6%にまで減少しました。

薬剤比率が21.6%というのは、既に欧米並みであり、もはや高いとはいえません。

というのが定説なのですが。。。。

※数値のマジック?ごまかし?欺瞞?

実は、薬局調剤分(調剤報酬明細書分)を含めた場合の数値は、27.5%(平成14年)であり、こちらの数値の方が実態を正しく表しています。

つまり、実際には、それほど薬剤比率は減っておらず、調剤薬局サイドに薬剤料が移っただけに過ぎないのです。

しかし、マスコミや論文で引用される数値、厚生労働省や政治家が好んで使う数値は、たいてい 21.6% なのです。

※厚生労働省「平成16年社会医療診療行為別調査の概況」より

 
 

ところで、
薬剤比率が20%が適正であるか、
または、それ以下でなければいけない
という議論自体が不毛です。

薬剤比率は、技術の進歩によって、変動しうるからです。

そもそも、
他国と比べて薬剤比率が高い低いを議論しても、医療の事情が異なるので単純な比較はできないはずです。

薬剤比率の適正値が存在しない以上、薬剤比率を下げることを目指すのは本末転倒だと思われます。

既に医療費の2割近くしか占めない薬剤費よりも、残りの8割の薬剤費以外の医療費にも、もっと目を向けるべきではないでしょうか?

要は、「薬剤比率」という指標を使わずに、
まず、「無駄な」薬剤費・医療費の削減を目指すことが重要です。

「無駄」を削って「無駄」が無くなれば、
もはや削る必要はないのです。
残ったものは「必要な費用」なのですから。

 
 

薬剤費の削減は、たとえば次のような方法によって実現できます。

@ ジェネリック(後発品)の処方推進

→ ジェネリック(後発品)

→ 先発医薬品(先発品)

A 診療ガイドライン等による医療・処方の標準化

B 治療効果の無い(低い)医薬品の販売停止

C セルフメディケーションの推進

 大衆薬(OTC)購入に対する医療費還付制度等。

 医者でもらう薬のほうが効き目がずっといいので、大衆薬のほうがかえって値段が割高に感じ、つい医者に行ってしまう人も多いようです。

D より効果の高い大衆薬(スイッチOTC)の促進

 よく効く薬が薬局で手に入るのであれば、仕事を休んでまで、わざわざ病院に行かなくても済みます。

 医者に行くのを我慢して、病気が悪化することも未然に防げます。

E 喫煙対策

 喫煙とアルコールほど、病気をもたらす「嗜好品」はありません。

 特に喫煙は、呼吸器疾患、動脈硬化、癌などの原因となり、「万病のもと」と言われています。

 医療費を削減したいはずなのに、一方でタバコを吸わせて病気にさせ、医療費を増やしているのは、本末転倒です。

 非喫煙者には、税金還付などの税金優遇措置を与えるといった、抜本的な対策が必要です。

F 高齢者による時間つぶし目的の病院通いの防止

 しかし、病院に行くための外出行為自体が、運動・健康増進になっているという、逆の見方もできます。

 毎日手軽に通える社交・レクリエーションの場、なおかつ、健康チェック・相談もできる場があると良いのかもしれません。

 
 
アウトカム 
薬剤経済学
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