→ 用語集インデックス
戻るボタン

日本においては、医薬品は、製薬企業が自由に価格設定することができません。

医薬品につけられた公定価格のことを、
薬価(やっか)」と言い、国が薬価を決めたり改定したりして、薬価を管理・コントロールする仕組みを「薬価制度」と言います。

「薬価制度」が導入されたのは、自由価格制にすると、製薬企業が法外な値段をつけ、全ての患者が公平に有効な治療を受けられない、という可能性があるからです。

 
 

薬価は、その医薬品の
新規性(画期的であるか)、
有用性(医療に役に立つか)
によって、
開発企業がある程度の利益を確保できる程度に、価格決定されます。

利益が出ないくらい安い薬価にしてしまえば、日本で新薬を開発し販売しようという製薬企業は、無くなってしまいます。

製薬企業が、開発意欲を失わない程度のの最低ラインは保障する。

だからと言って、開発企業が儲かってしょうがないという程の高い価格をつけることは、まずありません。

薬価制度に対しては、 研究開発型の製薬企業ほど不満が高いようです。

日本では、薬価制度によって、製薬企業の利益は低く抑えられるため、国内(内資)の製薬企業は、より高い価格で販売できる米国などに市場を求め、進出する傾向があります。

 
 

薬価は市場での実際の販売価格(実勢価格)をもとに、実勢価格に近づくよう、2年ごとに強制的に引き下げられます。
その際、価格が上がることは、まずありません。

このように、薬価を定期的に見直すこと
薬価改定」と呼びます。

なぜ、「薬価」が決められているにも関わらず、「実勢価格」という別の価格が存在するのでしょう?

医療機関に医薬品を販売する「卸」(=医薬品卸業者)は、「薬価」よりも低い「実勢価格」で納入し、医療機関はその差額「薬価差」の分を収入とする習慣があるからです。
これを「薬価差益」と呼びます。

薬価差益が存在すると、医療機関の薬剤処方に偏りが生じ、公平な処方が妨げられ、患者への治療への影響が予想されます。

そのため、医療の公平性・健全性の観点から、「実勢価格」の調査が行われ、「薬価差」が無くなるように、2年ごとに薬価が下げられていくのです。

※ 現在は、薬価差はほとんど無く、医療機関もすでに収入源としては期待していないとのこと。

ところで、薬価が次第に下がっていくということは、患者が医療機関で支払う薬剤の値段も下がっていくということを意味します。

患者にとっては負担が減るので、非常に喜ばしいことです。

また、薬剤費総額も下がるので、国の医療費補助負担額も抑制できるというメリットがあるのです。

以上のことからわかるように、薬価制度や薬価改定は、医療上の問題(処方の偏り)だけでなく、国家財政上の問題にも関係しており、むしろ後者の方が多く論じられる傾向があります。

 
 

欧米では日本のような薬価制度はなく、製薬企業が自由に薬価を決めることができます。

これを「自由薬価制度」といいます。

もちろん、医薬品の効能・効果に対して割高では売れないので、市場原理(需要と供給)に従って、価格が決まります。

欧米では特許期間中は薬価は下がらず、その代わり特許が切れた途端、後発品企業がいっせいに参入して、薬価が一気に下がる、という傾向があります。

もちろん、先発の開発企業は、特許期間中に「高い薬価」を維持することにより利益を確保することができるので、新たな医薬品の研究開発に投資することができます。

「自由薬価制度」は、画期的な新薬を開発した企業に報いる制度であり、企業の新薬開発意欲を高め、また、企業の体力・国際競争力を上げるには不可欠だとして、国内(内資)の大手製薬企業からの強い要望の声があがっています。

しかし、全ての医薬品について、「自由薬価」を認めることは、国家財政に与える影響があまりにも大きいので、現実的ではありません。

そこで、本当に画期的な新薬についてだけ、高めの薬価を設定し、同時に、特許期間や課税その他の特別優遇措置を与えるというのが、現在の日本の医薬品政策です。

→ ピカ新

 
 
類似薬効比較方式
原価計算方式
先発医薬品(先発品)
ジェネリック(後発品)
ピカ新
ゾロ新
物質特許
製法特許
(医薬品の)特許期間
医薬品のライフサイクル
医薬品のライフサイクルマネジメント
製品のライフサイクルマネジメント
上市(じょうし)
薬剤経済学
(ファーマコエコノミクス)
医療経済学
(メディカルエコノミクス)
薬剤比率
医薬品フォーミュラリ
 
 
戻るボタン
→ 用語集インデックス