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医薬品の経済性・効率性を評価する学問。

言い換えれば、
医薬品の費用対効果を検証する学問。

ファーマコエコノミクス」とも。

「医療行為に用いられる薬剤医薬品)」に関する経済学であることを強調する場合は、「医薬経済学」を使う場合もあります。

どちらかと言えば、「薬剤経済学」よりも「医薬経済学」の方が、よりスマートな印象を与え、医師にとって、より身近に感じる気がします。

より実践的にアプローチする場合は、
費用対効果に優れた医薬品を選択する方法を研究する学問、
だとも言えるでしょう。

目標とする治療結果(アウトカム)を達成するために、提供可能な複数の治療法(医薬品)のうち、最も費用対効果が優れた治療法(医薬品)を選択するというアプローチ手法。

→ アウトカム 

薬剤経済学では、
薬剤がもたらす費用、すなわち、
薬剤という医療資源を消費して治療を行う上で発生する費用と、
そのアウトカムを測定し、
薬剤の臨床的効果と経済的効率
の両方を評価
します。
 
 

薬剤経済学で使用される分析手法の代表的なものに、

費用最小化分析、
費用効果分析、
費用効用分析、
費用便益分析

などがあります。

費用最小化分析」は、臨床効果がほぼ同等である複数の治療法の中で、発生する費用が最小となる治療法が、資源の効率的利用の観点から最も望ましい治療法である、と評価する分析手法です。

例えば、

● 先発薬と後発薬との比較、

● 注射薬と内服薬との比較
  (剤型間比較)、

● 同等の治療効果を持つ抗菌薬間
  の比較(同等薬間比較)

などです。

費用効果分析」は、臨床効果が異なる複数の治療法を比較する場合に適用されます。

治療によって発生する費用
治療によって得る効果(アウトカム)
の両方を総合的に考慮して比較・評価する分析手法。

効果(アウトカム)を測る効果尺度
としては、
● 罹患率、
● 死亡率、
● 平均余命、
● QOL、
● 治癒率、
● 救命数、
● 獲得生存年
のような「集団的指標」が使用されます。

従って、「費用効果分析」とは、医師と患者の個人レベルの分析法ではなく、集団に対して効果的な治療法を選択する方法だとも言えます。

 
 

薬剤経済学は、製薬企業における重要な戦略ツールの一つです。

● 開発の意思決定、
● 開発計画立案、
● 価格設定
● マーケティングプラン立案

など企業活動のさまざまな場面で活用されています。

 
 

薬剤経済学は、医療機関においても、経営合理化・効率化の視点からも、重要な経営ツールの一つだと言えます。

採用する医薬品や処方する医薬品を選定する際に、価格に見合うだけの価値のある製品であるかどうかを合理的に判断するためには、薬剤経済学的アプローチが力を発揮します。

 
 

メディケアなどの保険者(保険組合)が、医療機関における採用医薬品の選定の際に、薬剤経済学的アプローチを用いています。

また、製薬企業は、各保険者の「フォーミュラリ」(処方薬集)に自社製品を掲載させるために、薬剤経済学的アプローチで分析したデータを提出しています。

→ 医薬品フォーミュラリ

 
 
アウトカム
ジェネリック(後発品)
先発医薬品(先発品)
医療経済学
(メディカルエコノミクス)
薬剤比率
医薬品フォーミュラリ
物質特許
製法特許
(医薬品の)特許期間
医薬品のライフサイクル
医薬品のライフサイクルマネジメント
製品のライフサイクルマネジメント
 
 
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