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肥満、
高血圧、
糖尿病(耐糖能異常)、
脂質代謝異常、
高脂血症など、
複数の危険因子(疾患)が重積し、
動脈硬化や冠動脈疾患
(最終イベントとして、心筋梗塞や脳梗塞
発症リスク(発症率)が高まった病態
 
 

メタボリックシンドロームは、いろいろな疾患が重積して一人の患者に起こる病態です。

重積する疾患自体は、昔から知られている高血圧や高脂血症、糖尿病など、決して目新しいものではありません。

重要なのは、それらの疾患が「重積する」という点です。

以前は、動脈硬化の原因(危険因子)としては、「血中コレステロールの高い状態」が考えられていました。

しかし、研究が進むうちに、「動脈硬化を発症する人は、コレステロールが高い人よりも、むしろ、そうでない人の方が多い」ということが明らかになり、他の危険因子に注目が集まるようになりました。

1980年代より、
「複数の危険因子の重積があると、動脈硬化・冠動脈疾患の発症リスクが高まる」ことが報告され始めました。

その結果、動脈硬化・冠動脈疾患の予防や治療には、各危険因子に対して個別に治療・予防するだけでなく、疾患が重複した病態全体を考慮して治療・予防すること
が重要
だと考えられるようになりました。

そこで、疾患が重複した病態を表す概念として、「メタボリックシンドローム(MS)」という概念が生まれました。

 
 

英国の市場調査会社データモニターの調査によると、
メタボリック・シンドローム(MS)と呼ばれる症状に該当する人は、2004年現在、
米国、日本、ドイツなど7カ国で約1億1500万人にのぼり、 2010年には、1億6000万人まで膨らむとの事。

また、2004年現在MSの患者で多い順に並べると、

順位
国 名
MS患者数
1

米 国

4950万人
2
ドイツ 1640万人
3
日 本 1400万人
4
英 国 1180万人

日本の場合、MS患者は総人口の11%を占め、2010年には、人口の16%(2000万人)にまで増えると予想される。
(2004年10月14日の都内で開かれた記者会見より)

 
 

高血圧、糖尿病、高脂血症などの危険因子が偶然以上の頻度で合併する背景には、共通の生活習慣要因があります。

それは、食習慣の乱れと運動不足から来る「肥満」と「内臓脂肪の蓄積」であることがわかっています。

従って、「生活習慣によって発生した危険因子(生活習慣病)が重積した病態」を指すメタボリックシンドロームは、予防医学的な意味合いが強い概念といえます。

 
 

米国のコレステロール教育プログラム(NCEP)におけるメタボリックシンドロームの定義や診断基準では、

● 腹部肥満(ウエスト径)
   > 102cm(男)
   > 88cm(女)

● 高トリグリセリド(中性脂肪)
   ≧ 150mg/dl

● 低HDL(高比重リポタンパク)
   < 40mg/dl (男)
   < 50mg/dl (女)

● 耐糖能異常(空腹時血糖)
   ≧ 110mg/dl

● 高血圧
   ≧ 130 / ≧ 85 mmHg

肥満、高血圧、など複数の危険因子の中から3つ以上が該当した時に、「メタボリックシンドローム」と呼んでいます。

しかし日本においては、日本国内での実情とそぐわない面もみられることから、動脈硬化学会、肥満学会、糖尿病学会、高血圧学会、循環器学会の5学会が共同して、日本人におけるメタボリックシンドロームの定義や診断基準作りを進めています。

【工事中】

 
 

メタボリックシンドロームの治療及び予防には、肥満やインスリン抵抗性の是正が最良であると考えられています。

メタボリックシンドロームの増加は、糖尿病などの併発、動脈硬化から、最後には心臓病や脳卒中に至るため、入院や突然死の増加が予想されます。

その社会的損失は大きく、医療費の増大も懸念されます。

医療費増大は、国家財政を揺るがすほどの問題です。

国家的戦略からも、国民の生活習慣改善の推進など、国としても真剣に対策を考えるべきところまで来ています。

 
 
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