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医薬品産業は、典型的な「高付加価値産業」です。

医薬品は販売価格が高価であるにも関わらず、サイズが小さいためスペースをとりません。そのため、莫大な製造設備投資が不要です。

また、小さく軽いため、輸送にも適しています。

原材料費もそれほどかかりません。

日本のように資源に乏しく、研究・開発・製造・加工能力の高い国にとって、医薬品・バイオ分野ほど理想的な産業は他にありません。

一方、医薬品産業は、「ハイリスク・ハイリターン産業」でもあります。

大きな製造設備投資が不要な代わりに、長期間の研究開発、臨床開発が必要で、莫大な研究開発費が不可欠です。

製薬産業は、対売上高で20%に達するほどの多額の研究開発費を投入しています。他の産業で、10%を超えている企業はほとんどありません。

そのため、国家の保護・推進がないと、安定して成長・成功するのは困難だという現実もあります。

医薬品メーカーが先進国に多いのもそのためです。

そのため、日本としては、医薬品・バイオに注力していこうということで、「医薬品産業ビジョン」などが策定され推進されているところです。

しかし、日本の医薬品産業の国際競争力は高くなく、世界上位10社は欧米の製薬企業に占められています。

国内三強である、武田、アステラス、第一三共も、世界においては、せいぜい中堅製薬企業の一角にすぎません。

それでは、国際競争力を高めるには、どうしたらいいのでしょう?

国家レベルで取り組まない限り、本腰を入れて政策を打ち出さない限り、いずれ欧米の大手製薬企業に飲み込まれることは、目に見えています。

 
 

日本の医薬品産業の国際競争力を高める施策として、例えば次のような要望が医薬業界団体などから寄せられています。

@ 研究開発へのさらなる税制優遇措置

A 治験制度や審査業務の改善

B 開発インセンティブの付与

  例)画期的新医薬品に対する
    高薬価付与

C 薬価制度の見直し、部分的撤廃など

   例)特許期間中の薬価維持

D ライフサイエンス分野の基盤研究に対する、国家的投資の増額

  ※2005年現在、米国の1/10

 

特に、BCの薬価制度が日本の医薬品産業の足かせとなっているのは事実です。

一方、国民皆健康保険、医療費抑制 という方針もあり、医療制度も含めた抜本的な改革が必要です。

 
 

「ハイリスク・ハイリターン」の医薬品産業は、「油田採掘」によく例えられます。

新薬候補物質を見つけても、それが、医薬品として有効かつ安全で、臨床試験を経て、市場に出せる確率は、わずか約1万分の1。

当れば大きい!(利益)

外れても大きい!(損失)

一種の「ギャンブル産業」とも言えます。

 
 

医薬品メーカーは、使う人の健康に大きな影響を与えるので、製造する時は高度な品質管理と品質保証が求められます。

しかも、販売後は、長期にわたる医療現場への情報提供、安全性情報の収集・管理が求められます。

そのため、製造業でありながら、「情報産業」であるとも言えます。

 
 
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