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日本語では、「医薬品規制調和国際会議」と訳されます。

ICHは、医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働して、医薬品規制に関するガイドラインを科学的・技術的な観点から作成する国際会議です。

再編される以前は、「日米EU医薬品規制整合化国際会議」「日米EU医薬品ハーモナイゼーション国際会議」などと呼ばれていました。
International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use

ICH(アイ・シー・エイチ)とは、世界の医薬品事業30兆円のうちの80〜85%を供給し、消費する日・米・EUの3極間で、新医薬品の製造(輸入)承認に際して要求される資料を調和(共通化)することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議として、1990年に創設されました。

ICHの会議によって協議・合意決定された取り決め事項を「ICHガイドライン」と呼び、日米EUでの医薬品開発におけるガイドラインとしての役目を果たします。

ICHは1990年の創設以来、3極(日・米・EU)の持ち回りで2〜3年に1回のペースで開かれました。

そして、2015年に組織再編され、世界各国の規制当局、製薬企業が参加する、本当の意味での「国際組織」として生まれ変わりました。

→ ICHガイドライン
(医薬品医療機器総合機構HP)

 
 

世界各国の新医薬品の承認審査資料関連規制の整合化を図ることにより、データの国際的な相互受入れを実現し、有効性や安全性の確保に妥協することなく、臨床試験や動物実験等の不必要な繰り返しを防ぎ、承認審査を迅速化するとともに、新医薬品の研究開発を促進し、もって、優れた新医薬品をより早く患者の手元に届けること。

要するに、
世界各国で治験の方法を統一化することにより、お互いに自分の国で実施した治験データを、相手国でもデータとして使えるようにして、治験期間の短縮と治験費用の節約をはかろうということです。

 
 

一見、日本の製薬企業にとっても
いいことずくめに思えます。

しかし、実際には、

医薬品開発力がある海外(外資)の製薬企業が、治験のスピードが早い海外で実施した治験データを日本に持ち込み、あとは、追加確認のための小規模の治験のみ実施して、従来より短期間で厚生労働省の承認を得る

ことができるようになります。

治験期間が短くなり、早く市場に投入できるので、日本の医薬品市場を独占しやすくなります。

ICHガイドライン自体は恣意的ではなく、とてもよくできています。

にも関わらず、日本の製薬企業は医薬品開発力が弱く、また日本では治験に時間がかかるので、結果として、日本の製薬企業にとって不利なガイドラインとなりました。

そこで、日本の製薬企業も海外で治験を実施し、そのデータを日本に持ち込んで申請する、という事例が増えてきました。

その方が、治験期間が短縮できるからです。

これを「治験の空洞化」と呼びます。

このままでは、日本はいつまでたっても治験を実施する体制が整わない、という問題が指摘されています。

 
 
治験の空洞化
治験の活性化
副作用
薬物有害反応(ADR)
ICHガイドライン
(医薬品医療機器総合機構HP)
 
 
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