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そもそも、DTC広告発祥の地は、米国です。

米国では、1980年代に医療用医薬品の分野で雑誌・新聞といった活字媒体への広告によるDTC広告が始められました。

その後、TV広告も行われるようになり、広告合戦が盛んになりましたが、これによる危機感を感じた当局が、表現方法に関する規制をかけた結果、逆に一般消費者の混乱を招いてしまいました。

1997年8月、米国FDA(米国食品医薬品局)は、DTC広告に関するガイドラインを作成しました。

このガイドラインは、それまで医薬品広告に含まれなければならないと規定されていた

「医薬品の
 ・効能効果、
 ・副作用の危険性など、
 ・重要と思われるすべての情報概要」

について、
それらの情報の入手先や入手方法を明示すれば、その広告内には、表示しなくても良い」という非常にアバウトで、製薬企業にとっては画期的なガイドラインでした。

例えば、視聴者が製品情報にアクセスできるよう、専用のホームページを開設して、その広告またはテレビCMの中でそのURLを掲載・告知して、なおかつ、ガイドラインの項目をクリアすれば、自由に消費者に対して、医療用医薬品の宣伝ができるようになったのです。

この規制緩和ガイドラインをきっかけに、米国ではDTC広告が、テレビ・新聞を中心に活発に行われるようになり、DTC関連の広告費も急激に増加しました。

2000年9月27日
全米ヘルスケア管理財団は,製薬会社の消費者直接広告(Direct to consumer,DTC)が,前年比約40%増加したことで,一般消費者の処方箋薬に対する出費増加が加速されているとのレポートを出した。
特に消費者に最も多くDTC広告された上位25の薬の販売は,同40.7%も増えていることが明らかになった。
昨年の新薬のDTC広告投資額は,全体の18億ドルのうち,11億ドルと大部分を占めており,そのほとんどがテレビ広告だった。(Japan Medicineより)
 
 
単位:百万ドル
1998 1999 2000 2001 2002
一般
消費者
向け
1,317 1,848 2,467 2,679 2,638
医師
向け
11,157 12,020 13,241 16,380 18,546
合計 12,474 13,868 15,708 19,059 21,184
(出典:IMSヘルス、Monthlyミクス2003.12)
※ 一般消費者向け: 放送、雑誌、新聞、
広告塔含む

これを見ると、2002年は、一般消費者向けの広告が、過去6年間で初めて減少しています。

DTC広告以外の広告も含まれているので、正確な判断は難しいのですが、おそらく、2002年は、DTC広告費を抑制したのではないかと思われます。

製薬企業の広告戦略が、一般向けより医師向けに若干シフトしたのでしょう。

DTC広告を見た患者が医師に相談しても、
必ずしも医師がその薬を処方するとは限らないことから、医師向けの広告の方が、広告効果は高いと考えたのかもしれません。

 
 

米国研究製薬工業協会(PhrMA)は、
2005年8月2日、「DTC広告に関するガイドライン」を発表しました。

2018年10月には、最新版が発表されています。

ガイドライン全文
PhRMA -
Guiding Principles on Direct to Consumer Advertisements about Prescription Medicines

同ガイドラインでは、

● DTC広告を実施する前に、医療従事者に対して充分な情報提供、教育を実施すること。

● DTC広告を実施する前に、あらかじめ広告の内容をFDA(米国食品医薬品局)に伝えること。

● 医薬品が承認されている適応と、主要なリスクについて、明確に表現すること。

などを明記し、会員製薬企業に適正なDTC広告の実施を求めています。

 
 
DTC広告インデックス
1.DTC広告
2.DTC広告の規制
3.米国におけるDTC広告事情
4.日本におけるDTC広告事情
5.DTCの向き不向き
6.DTC広告のメリット
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