医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 (医薬品GCP) |
第二章 治験の準備に関する基準 |
第二節 自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準 |
第15条の2 業務手順書等 |
自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の作成、治験使用薬の管理、治験使用薬等の副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。 |
2 自ら治験を実施しようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならない。 |
医薬品GCPガイダンス 【解説】 |
〈第1項〉 |
1 自ら治験を実施しようとする者は、治験の準備に係る治験実施計画書の作成、治 |
2 第1項の「手順書」とは、治験に係る業務が恒常的に適正に実施されるよう標準的な手順を定めた文書である。 なお、第15条の7第5号及び第6号、第26条の2第6項、第26条の5第2項、第26条の7第1項、第26条の9第1項等における「手順書」も同じ意味である。 なお、本条の以下の解説において自ら治験を実施する者とあるのは、自ら治験を実施しようとする者を含むものである。 |
3 多施設共同治験において、自ら治験を実施する者のうち治験責任医師と治験調整医師で分担して治験の実施の準備及び管理に係る業務を行う場合には、あらかじめ、業務の分担等を手順書に定めておく等により両者が行う業務を明確にしておくこと。 なお、明確にされていない業務については、自ら治験を実施する者のうち治験責任医師である者が行うこと。 また、治験調整医師に分担された業務についても、治験責任医師が把握できるようにしておくこと。 |
4 自ら治験を実施する者は、治験の全ての過程において品質マネジメントのためのシステムを履行し、被験者保護及び治験結果の信頼性確保に不可欠な活動に重点的に取り組むものとする。 品質マネジメントには、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために、手順書に基づく品質保証及び品質管理のほか、以下のものが含まれる。 ○ 効率的な治験実施計画書のデザイン ○ データ収集及び処理に関する ○ 意思決定に不可欠な情報の収集 治験の品質保証及び品質管理のために使用する方法は、治験固有のリスク及び収集する情報の重要性に対して釣り合いのとれたものとすべきである。 また、自ら治験を実施する者は、実施した品質マネジメントについて総括報告書に記 このほか、品質マネジメントの詳細については、「治験における品質マネジメントに関 なお、「治験の品質保証」とは、治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、本基準及び治験実施計画書を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動をいう。 また、「治験の品質管理」とは、治験関連の活動の質に求められる事項を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証の一環として行われる実務的な手法及び活動をいう。 |
5 自ら治験を実施する者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用すること。 |
6 自ら治験を実施する者は、治験に係る検体等の検査機関(実施医療機関の検査室等を含む。)において、検査が適切に実施されて治験に係るデータが信頼できることを保証するため、当該検査機関における精度管理等を保証する記録等を確認すること。 なお、確認すべき検査の範囲や具体的な確認方法は、各検査データの当該治験における位置づけ(主要評価項目であるかどうか等)を考慮すること。 |
7 自ら治験を実施する者は、第26条の2第6項に基づき、実施医療機関の治験薬管理者が治験使用薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定めること。 当該手順書には、治験使用薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験使用薬の被験者からの返却及び自ら治験を実施する者による処分が、適切かつ確実に行われるように規定すること。 |
8 自ら治験を実施する者が作成すべき記録の保存に関する手順書には、実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録(第34条及び第41条参照)について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会の設置者に通知することを含むこと。 なお、第26条の10第2項及び第3項に規定する治験の中断又は中止に関する自ら治験を実施する者から実施医療機関の長への文書による通知に関する事項 (1)自ら治験を実施する者は、治験を中断又は中止する場合には、実施医療機関の長にその旨とその理由の詳細を速やかに文書で通知すること(第26条の10第2項参照)。 (2)自ら治験を実施する者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料が法第14条第3項に規定する申請書に添付されないことを知り得た場合には、その旨とその理由の詳細を実施医療機関の長に速やかに文書で通知すること(第26 条の10第3項参照)。 (3)実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者が治験の中断又は中止若しくは当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項に規定する申請書に添付しないことを知った旨を通知してきた場合には、治験審査委員会等に対し速やかにその旨を文書で通知するとともに、中断又は中止について文書で詳細に説明すること(第40 条第2項及び第3項参照)。 (4)治験薬提供者は、自ら治験を実施する者が治験を実施した治験薬に係る医薬品についての製造販売承認申請に関する情報を自ら治験を実施する者に提供すること。 |
9 自ら治験を実施する者は、治験分担医師に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供すること。 |
10 自ら治験を実施する者は、当該治験を実施する実施医療機関以外の全ての関連施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、自ら治験を実施する者が指定したものによるモニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくものとし、これに関する規定が手順書に定められていること。 |
11 自ら治験を実施する者は、実施医療機関及び治験に係るその他の施設又は自ら治験を実施する者のスタッフが本基準、治験実施計画書及び手順書を遵守していない場合には、遵守を確保するべく迅速な措置を講じること。 被験者保護や治験結果の信頼性に重大な影響を与える又は与えるおそれがある不遵守が発覚した場合には、自ら治験を実施する者は、根本原因を分析し、適切な是正措置及び予防措置を講じること。 |
医薬品GCPガイダンス 【解説】 |
〈第2項〉 |
1 「治験の実施の準備及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは、治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家、並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等、治験の全過程を通じて活用されるべき実施医療機関内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を含むものである。 |
2 自ら治験を実施する者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書の見本 |
3 自ら治験を実施しようとする者は、治験の準備において治験に関連する全ての業務を確定し、適格な者に割り当てること。 |
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