医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(医薬品GCP)

 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。

1)契約を締結した年月日

2)治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所

3)前条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲

4)実施医療機関の名称及び所在地

5)契約担当者の氏名及び職名

6)治験責任医師の氏名

7)治験の期間

8)治験使用薬の管理に関する事項

9)記録(データを含む。)の保存に関する事項

10)この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項

11)被験者の秘密の保全に関する事項

12)治験の費用に関する事項

13)実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨

14)実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨

15)実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46 条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨

16)被験者の健康被害の補償に関する事項

17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項

2 前項の文書による契約については、前条第2項から第5項までの規定を準用する。

この場合において、同条第2項中「前項の受託者」とあるのは「実施医療機関(この条の規定により業務の全部又は一部を委託する場合にあっては、実施医療機関及び受託者)(以下「実施医療機関等という。)」と、同項第1号並びに同条第3項第1号、同条第4項及び第5項中「受託者」とあるのは「実施医療機関等」と読み替えるものとする。

 
 

1 治験の契約は、実施医療機関の長が治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後に、治験の依頼をしようとする者と実施医療機関の間で文書により行うこと。

なお、実施医療機関の契約者については、実施医療機関の長又は実施医療機関の長が選任した者のいずれでも差し支えないが、その責任は実施医療機関の長が負うこと。また、治験責任医師は契約書の内容を確認するが、必ずしも署名等は必要としない。

2 第12条の規定により治験の依頼をしようとする者が業務の全部又は一部を委託する場合であって、受託者たる開発業務受託機関が実施医療機関において業務を行うときには、治験の依頼をしようとする者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者の間で契約を文書により締結すること。

なお、治験の依頼をしようとする者による治験の準備及び管理に関する業務、実施医療機関における治験の実施に関する業務が円滑に実施できる場合にあっては、治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関の間、並びに治験の依頼をしようとする者及び開発業務受託機関の間で、適切な契約を文書により締結することで差し支えない。

また、治験の依頼をしようとする者、開発業務受託機関及び実施医療機関の三者の間で合意の上、開発業務受託機関及び実施医療機関の間の二者の契約としても差し支えない。

3 契約書には、次に掲げる事項が含まれていること。

なお、これら事項については、必ずしも一の契約書に全て含まれていなくても差し支えない
(例えば、複数の治験に共通する事項等に関する基本的な契約書と、各治験の個別事項等に関する契約書を、別個に作成・締結することでも差し支えない。)。

また、実施医療機関と治験の依頼をしようとする者との契約を支援する業務に関して
は、臨床研究中核病院等のネットワークの事務局等、当該実施医療機関以外の者が行っても差し支えない。

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(1)契約を締結した年月日

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(2)治験の依頼をしようとする者(契約書には治験依頼者と記載して差し支えない。)の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事業所の所在地)

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(3)開発業務受託機関に業務を委託する場合には、開発業務受託機関の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事業所の所在地)並びに委託する業務の内容

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(4)実施医療機関の名称、所在地

(5)契約者の氏名及び職名

(6)治験責任医師の氏名

(7)治験期間

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(8)治験使用薬の管理に関する事項(実施医療機関の長の指名した治験薬管理者等が第16条第6項又は第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験使用薬又は治験薬を適切に管理する旨を含む。)

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(9)記録(データを含む。)の保存に関する事項
(実施医療機関は、保存すべき文書又は記録を、治験依頼者によって保存の必要がなくなった旨の通知がなされるまで保存すること。
 なお、実施医療機関の長又は治験審査委員会の設置者が記録を保存すべき期間については、各々第41条及び第34条を参照のこと。
 また、治験依頼者がこれらの規定よりも長期間の保存を必要とする場合には、両者が協議するものであること。)

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(10)本基準の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項

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(11)被験者の秘密の保全に関する事項

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(12)治験の費用に関する事項(治験に係る金銭の支払いについては、治験依頼者と実施医療機関との間で、文書で取り決めておくこと。)

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(13)実施医療機関が本基準及び治験実施計画書を遵守して治験を行う旨

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(14)治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れること。

また、治験依頼者のモニター及び監査担当者並びに治験審査委員会及び規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供する旨

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(15)実施医療機関が本基準、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨(第24条第1項参照)

(16)治験に関連して健康被害が発生した場合の補償に関する事項

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(17)その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項

@ 治験課題名

A 治験内容

B 治験依頼者が提供したデータの記録及び報告の手続きに関する事項

C その他必要な事項(治験依頼者に帰属する情報の秘密の保全に関する事項等)

4 第8号の「治験使用薬の管理に関する事項」とは、実施医療機関の長の指名した治験薬管理者が、第16条第6項又は第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験依頼者により交付された治験使用薬又は治験薬を適切に管理する旨を含むものである。

5 第10号の趣旨は、本基準中に規定する第20条第2項、第20条第3項、第24条第2項、第24条第3項、第32条第6項、第40条第3項、第40条第4項及び第48条第2項に規定する通知が、適切な時期に適切な方法で行われなければならない旨である。
6 第11号「被験者の秘密の保全に関する事項」とは、法第80条の2第10項の規定により、治験依頼者又はその役員若しくは職員が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨、及び、これらの地位にあった者についても同様である旨を含むものである。

7 第12号「治験の費用に関する事項」には、費用算定が可能な内容を記載することで差し支えない。

なお、本項の記載に基づく治験の費用の支払いは、治験の実績に応じた適正なものであること。

8 第14号は、実施医療機関がモニター又は監査担当者に対して第41条第2項各号に掲げる記録を直接閲覧させる旨である。
9 本条の規定により契約を締結した受託者(開発業務受託機関)は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。
10 治験依頼者は、実施医療機関の長、治験責任医師及びその他治験に関与する全ての者との合意を、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書の一部又は別個の合意文書として保存しておくこと。
11 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記すること。
12 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくこと。
 
 

1 治験依頼者は、第12条第2項から第5項までの規定を準用し、電磁的方法により契約を締結しようとするときは、あらかじめ、実施医療機関の承諾を得ること。

なお、実施医療機関の承諾については、第1項解説1における実施医療機関の契約者と同様に取り扱うことで差し支えない。

注)治験依頼者は、治験の契約を締結する前に次の(1)から(3)について、治験実施中に(4)について対応する必要がある。

(1)治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手すること。

@ 当該治験審査委員会の名称と所在地が記された文書

A 当該治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書

B 当該治験審査委員会が承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに治験を依頼しようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書等の文書

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(2)治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、説明文書及びその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が修正を条件に承認したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。

(1)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。

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(3)治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会が却下したことを証する文書及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手すること。

(1)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。

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(4)治験依頼者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関して治験審査委員会が実施した全ての継続審査等にかかる、承認したことを証する文書、修正を条件に承認したことを証する文書、又は既に承認した事項を取り消したこと(治験の中断又は中止を含む。)を証する文書及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手すること。

(1)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。

 
 
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