患者中心の医療(PCM:Patient-centered Medicine)

英語では、「Patient-centred Health Care(PCHC)」とも言います。

医療消費者である患者の主体的な意思が中心におかれる医療。

単に病気を治療するだけではなく、
患者の幸福と満足を追求することが医療の本質
である
ととらえ、患者の立場に立って医療を実践すること。
また、それを支援・促進する体制のこと。

医師と患者の間には医療に関する専門知識と経験の差が
歴然とあるのだから、
患者は医師の言うことを素直に聞いていればいいのだ

という思想に基づいた従来の「医師中心の医療
に対立する概念として、
近年、医療関係者を中心にさかんに提唱されるようになりました。

患者自身が医療情報(疾患・治療情報)を身に付け、
治療法、時には医師・医療機関を選択し、
積極的に自分の治療に関与
していく。
それを、医療機関、政府、地方自治体、各種団体が協力して、
全面的に支援していく。

このような「患者中心の医療」は、
医療のあり方を根本から見直すものとして注目され、
その大きな流れは既に動き出しています。

では、具体的にどのような医療が、
「患者中心の医療」なのでしょうか?

(1)患者の自己決定権

   従来の、医師に全てを委ねる「お任せ医療」から、
   患者の意思と判断を尊重した「お好み医療」への脱却。
   もちろん、意思決定をするからには、
   患者の責任も発生します。

   医療の専門知識がない、
   意思決定に自信がない、
   と不安に感じる患者も多いでしょう。
   中には、
   自分では判断できないから医師の判断に任せた方が楽だ
   という患者もいるでしょう。

   しかし、患者の意思決定をサポートするのも、
   医師・看護師等の医療スタッフの重要な役目だと言えます。
   「医療行為者」であると同時に、
   「医療コンサルタント」、「医療アドバイザー」でもあるのです。

(2)インフォームドコンセントの徹底

   → 医療におけるインフォームドコンセント 
   → インフォームドコンセントリンク集

(3)セカンドオピニオンの体制づくり

   → セカンドオピニオンリンク集

(4)診療情報(カルテ情報)の患者本人への開示

(5)各種医療情報(疾患、治療法、医薬品、副作用等)の提供

   単に情報を提供するだけでなく、
   インターネット等による容易なアクセス手段の提供が
   求められます。

   今や治療情報・医薬品情報がインターネットを通じて、
   世界中のHPから入手できるようになりました。
   時には、患者の方が医師よりも治療法や医薬品について
   詳しい情報を持っている場合も考えられる時代なのです。

   医師よりも患者の方が、
   自分の問題である分だけ情報収集に熱心なので、
   当然なのかもしれませんが、
   これからは医師も薬剤師もうかうかしていられません。
   こうなってくると、もはや、
   患者と医師・看護師・薬剤師等の医療スタッフとの関係は、
   単なる医療サービスの受領者・提供者ではなく、
   「医療パートナー」というべきでなのです。

(6)3時間待ち3分間診療の改善

   こんなんで診療費をとられるのだから、
   「患者はつらいよ!」

(7)患者と医師間のコミュニケーションの向上

(8)エビデンス(科学的根拠)に基づいた医療
   (EBM: Evidence-based Medicine)の実践

   医師は常に最新の治療法についてアンテナを張り、
   患者に最適な医療を提供できるように努めなければなりません。
   医療行為において、過去の経験も重要ではありますが、
   それに依存(盲信)していることは、
   患者にとってはとても不幸なことです。

   → EBM(Evidence-based Medicine)

(9)患者アドボケート体制

   「患者アドボケート」とは、
   患者サイドに立って、
   病院や医療チームと患者とを結ぶ調整役、パイプ役
   ともいえる存在です。

   「アドボケート」(advocate)とは、
   自己権利を主張することが困難な弱者の味方となって
   その権利や利益を「守る」「擁護する」ために活動する人

   を意味します。

   患者の希望や疑問点、問題点などは、
   この患者アドボケートを通じて病院側に伝えられる仕組みです。
   日本語でわかりやすく言えば「患者相談窓口」です。

   どんなに医療スタッフが患者のために最善を尽くしたとしても、
   患者やその家族が医療スタッフ・病院に対して
   不満や不信感を抱くことは日常茶飯事です。
   しかし、ただでも病気になっていることで
   肉体的・精神的にも弱い立場に置かれている患者は
   医療スタッフ・病院に対して
   直接不満や不信感を表明することは
   なかなかできないのが現状です。

   本来、患者は、医療サービスを受けている「お客様」であり、
   大切に扱われ、その意思が尊重されるべきなのですが、
   なぜか、従来の日本の医療の現場においては、
   患者は「医師に頭を下げて病気を診て頂く」
   という卑屈な立場であり、
   何か不満や不信を表明したら、
   「診てもらえなくなる」
   「治療に手を抜かれる」
   という恐怖におののいていたものでした。  

   そんな時に、親身になって患者の相談に乗ってくれる、
   病院と患者をつなぐ調整役としての専任スタッフがいれば、
   じっくりと話し合うことができるので、
   診断結果、病気の内容、治療処置の方法、
   インフォームド・コンセントなどに関する患者の不明点など
   患者が抱える様々な問題が解決できるのです。

   米国の病院では、すでにこのような体制が根付いており、
   医療機関評価においても
   専任スタッフ(患者アドボケート)が存在するかどうかが
   重要な評価基準になっています。

   しかし、本来は、このようなスタッフを置かなくても、
   医師、看護師、薬剤師など、
   病院の医療スタッフ全てが「患者アドボケート」

   であるべきです。
   そしてこの「患者アドボケート指向」こそが、
   まさに、「患者中心の医療」の本質 だと言えるでしょう。

   「患者アドボケート指向」を実践する言葉として、
   「患者アドボカシー」も良く使われています。

   「アドボカシー(Advocacy)」
   自己権利を主張することが困難な弱者の味方となって
   その権利や利益を「守る」「擁護する」ために活動すること。
   特に、広く社会に訴え、有権者の協力・支援を得て
   公共福祉政策の意思決定過程に大きな影響を与える、
   単に弱者を守るだけでなく、提案し変革していく、
   という社会活動の一つである点に特徴があります。

   「患者アドボケート」、「患者アドボカシー」は、    
   「患者中心の医療」における重要なキーワードなのです。

→ 患者の権利章典 
→ インフォームドコンセント 
→ 情報の非対称性
→ パターナリズム(父権主義)

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