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医療上の必要性は高いが、
薬を必要とする患者数が少ない病気

に使う医薬品のこと。

訳して「希少疾病用医薬品」。

法的には(薬事法では)
対象患者が5万人以下の稀な疾患
に用いる医薬品

のことを言います。

 
 

本来、「オーファン」とは、面倒をみる親や親戚がいない、誰も引き取り手のいない「孤児」「みなし子」を意味する単語(英語)です。

「稀な疾患」の治療薬は、

● 発病原因の究明が進んでいないため、
● 副作用の発現など開発リスクが高く、
● たとえ発売にこぎつけても
  患者が少ないことから
  利益も見込めず採算に合わないため

製薬企業は開発したがりません。

どの製薬企業も開発したがらない
「稀な疾患の治療薬」を
「オーファンドラッグ」
と呼ぶようになりました。

 
 

本来、医薬品は、「20万人位の患者がいないと儲からない(利益が出ない)」と言われています。

それだけ、治験・臨床試験も含め、新薬の研究開発(医薬品開発)に莫大なお金がかかるからです。

しかし、それでは、「稀な疾患」を持つ患者はいつまでたっても疾患を治すことができず、苦しみ続けることになってしまいます。

そこで、政府は人道的な視点から、「希少疾病用医薬品」を開発した企業には、特典を与えることによって、「希少疾病用医薬品」の開発を奨励することにしました。

「希少疾病用医薬品」開発の優遇措置は次の通りです。

 
 
@ 他の医薬品に優先して審査を受けられる。

A 再審査期間を6〜10年に延長することができる。(本来は、4〜6年)

この間は、市場の独占権が与えられると考えて良い。

なお、医療用具の場合は、最長7年まで延長可。

B 薬価の面で、「画期性加算」「市場性加算」の対象となる。 

→ 画期的新薬(ピカ新)

C 国から助成金を受けられる。

D 税制上の優遇措置を受けられる。

 助成金の対象となる期間の試験研究費の6%控除。

しかし、米国では、試験研究費50%を控除していることから、日本では、製薬企業にとっては、「希少疾病用医薬品」開発のメリットは、まだまだ少ないと言えるでしょう。

事実、日本の製薬企業に比べて、欧米の製薬企業の方が「希少疾病用医薬品」の開発に積極的で、海外で安く開発した「「希少疾病用医薬品」を日本へ持ち込む事例が増えています。

これは、日・米・EU間で取り決めたICHガイドラインとも連動した動きと言えるでしょう。

詳しくは、

ICHガイドライン
(医薬品医療機器総合機構HP)

なお、薬事法における規定では、「希少疾病用医薬品」だけでなく、「希少疾病用医療用具」についても、同様に特典が与えられています。

 
 
オーファンドラッグ(「希少疾病用医薬品」)として、厚生労働省から指定を受けるには、以下の基準を満たす必要があります。

@ 我が国において患者数5万人未満の重篤な疾病が対象であること。

つまり、患者数が5万人未満の珍しい疾患であっても、 人命に関わらない程度の中度・軽度の疾患であれば、オーファンドラッグとしては認められません。

また、「我が国」において患者が5万人未満であることが要求されます。

海外では患者が少ない疾患であっても、日本では患者が多い(5万人以上の)疾患であれば、オーファンドラッグとしては認められません。

A 医療上、特にその必要性が高いこと。

代替する適切な医薬品等または治療方法がない、あるいは既存の医薬品と比較して、著しく高い有効性又は安全性が期待されること。

つまり、患者数が5万人未満の重篤な疾病が対象であっても、その医薬品自体の有効性(効果)が低かったり、重篤な副作用が出現するなど安全性に問題があれば、オーファンドラッグとしては認められません。

B 開発にこぎつける可能性が高いこと。

その医薬品を使用する理論的根拠があり、開発計画が妥当であると認められること。

 
 
ネグレクテッド・ディジーズ
画期的新薬(ピカ新)
補正加算
 
 
難病情報センター
DNDi
(Drugs for Neglected Diseases initiative)
https://www.dndi.org/
ICHガイドライン
(医薬品医療機器総合機構HP)
 
 
FDA巨大化と近代化への道(石原昭夫/薬事日報社)
 
 
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