ヘルシンキ宣言(日本語訳)
B. すべての医学研究のための基本原則

A. 序言
B. すべての医学研究のための基本原則
10.

被験者の生命、健康、プライバシー及び尊厳を守ることは、
医学研究に携わる医師の責務である。

11.
ヒトを対象とする医学研究は、
一般的に受け入れられた科学的原則に従い、
科学的文献の十分な知識、
他の関連した情報源及び
十分な実験並びに
適切な場合には動物実験
に基づかなければならない。
12.

環境に影響を及ぼすおそれのある研究を実施する際には
十分な配慮が必要であり、
また研究に使用される動物の健康を維持し、
または生育を助けるためにも配慮されなければならない。

13.

すべてヒトを対象とする実験手続の計画及び作業内容は、
実験計画書の中に明示されていなければならない。

この計画書は、
考察、論評、助言及び適切な場合には承認を得るために、
特別に指名された倫理審査委員会に
提出されなければならない。

この委員会は、
研究者、スポンサー及びそれ以外の
不適当な影響を及ぼすすべてのものから
独立していることを要する。

この独立した委員会は、
研究が行われる国の法律及び規制に
適合していなければならない。

委員会は進行中の実験をモニターする権利を有する。

研究者は委員会に対し、
モニターのための情報、
特にすべての重篤な有害事象について情報
を報告する義務がある。

研究者は、
資金提供、スポンサー、研究関連組織との関わり、
その他起こり得る利害の衝突及び
被験者に対する報奨についても、
審査のために委員会に報告しなければならない。

14.
研究計画書は、
必ず倫理的配慮に関する陳述を含み、
またこの宣言が言明する諸原則に従っていること
を明示しなければならない。
15.

ヒトを対象とする医学研究は、
科学的な資格のある人によって、
臨床的に有能な医療担当者の監督下においてのみ
行われなければならない。

被験者に対する責任は、
常に医学的に資格のある人に所在し、
被験者が同意を与えた場合でも、
決してその被験者にはない。

16.

ヒトを対象とするすべての医学研究プロジェクトは、
被験者または第三者に対する予想し得る危険及び負担を、
予見可能な利益と比較する注意深い評価
が事前に行われていなければならない。

このことは医学研究における
健康なボランティアの参加を排除しない。

すべての研究計画は一般に公開されていなければならない。

17.

医師は、
内在する危険が十分に評価され、
しかもその危険を適切に管理できる
ことが確信できない場合には、
ヒトを対象とする医学研究に従事することを控えるべきである。

医師は、
利益よりも潜在する危険が高いと判断される場合、または
有効かつ利益のある結果の決定的証拠が得られた場合には、
すべての実験を中止しなければならない。

18.

ヒトを対象とする医学研究は、
その目的の重要性が
研究に伴う被験者の危険と負担にまさる場合
にのみ行われるべき
である。

これは、被験者が健康なボランティアである場合は
特に重要
である。

19.
医学研究は、
研究が行われる対象集団が、
その研究の結果から利益を得られる
相当な可能性がある場合にのみ正当
とされる。
20.
被験者はボランティアであり、
かつ十分説明を受けた上でその研究プロジェクトに参加する
ものであることを要する。
21.

被験者の完全無欠性を守る権利
は常に尊重されることを要する。

被験者のプライバシー、
患者情報の機密性
に対する注意

及び
被験者の身体的、精神的完全無欠性
及び
その人格に関する研究の影響を最小限に留めるために

あらゆる予防手段が講じられなければならない。

22.

ヒトを対象とする研究はすべて、
それぞれの被験予定者に対して、

目的、
方法、
資金源、
起こり得る利害の衝突、
研究者の関連組織との関わり、
研究に参加することにより期待される利益及び起こり得る危険
並びに
必然的に伴う不快な状態

について十分な説明がなされなければならない。

対象者はいつでも不利益なしに、
この研究への参加を取りやめ、または
参加の同意を撤回する権利を有する
ことを知らされなければならない。

対象者がこの情報を理解したことを確認した上で、
医師は
対象者の自由意志によるインフォームド・コンセントを、
望ましくは文書で得なければならない。

文書による同意を得ることができない場合には、
その同意は正式な文書に記録され、
証人によって証明されることを要する。

23.

医師は、
研究プロジェクトに関して
インフォームド・コンセントを得る場合には、
被験者が医師に依存した関係にあるか否か、または
強制の下に同意するおそれがあるか否か
について、特に注意を払わなければならない

もしそのようなことがある場合には、
インフォームド・コンセントは、
よく内容を知り、
その研究に従事しておらず
、かつ
そうした関係からまったく独立した
医師によって

取得されなければならない

24.

法的行為能力のない、
身体的若しくは精神的に同意ができない者

または
法的行為能力のない未成年者
研究対象とするときには、
研究者は適用法の下で
法的な資格のある代理人から
インフォームド・コンセントを取得することを要する

これらのグループは、
研究がグループ全体の健康を増進させるのに必要であり、かつ
この研究が法的能力者では代替して行うことが不可能である
場合に限って
研究対象に含めることができる

25.
未成年者のように
法的行為能力がないとみられる被験者
が、
研究参加についての決定に賛意を表することができる場合には、研究者は、
法的な資格のある代理人からの同意のほか
さらに未成年者の賛意を得ることを要する。
26.

代理人の同意または事前の同意を含めて、
同意を得ることができない個人被験者を対象とした研究は、
インフォームド・コンセントの取得を妨げる
身体的/精神的情況が
その対象集団の必然的な特徴であるとすれば、
その場合に限って行わなければならない。

実験計画書の中には、
審査委員会の検討と承認を得るために、
インフォームド・コンセントを与えることができない状態にある
被験者を対象にする明確な理由
が述べられていなければならない

その計画書には、
本人あるいは法的な資格のある代理人から、
引き続き研究に参加する同意をできるだけ早く得る
ことが明示
されていなければならない。

27.

著者及び発行者は倫理的な義務を負っている

研究結果の刊行に際し、
研究者は結果の正確さを保つよう義務づけられている。

ネガティブな結果もポジティブな結果と同様に、
刊行または他の方法で公表利用されなければならない。

この刊行物中には、
資金提供の財源、関連組織との関わり及び
可能性のあるすべての利害関係の衝突
が明示されていなければならない。

この宣言が策定した原則に沿わない実験報告書は、
公刊のために受理されてはならない。

C. メディカル・ケアと結びついた医学研究のための追加原則
(日本医師会訳)
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