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※興味のない方は、この項は、飛ばして下さい。

最近増えているのが、新聞、テレビ、雑誌等のマスメディアを用いた「治験参加者募集広告」(被験者募集広告)です。

法律によって、治験参加者への事前のインフォームドコンセントと文書同意が、実施医療機関に義務づけられるようになったことで、実施医療機関内だけで治験参加者を集めるのが困難になりました。

治験参加することを断る患者が増えたからです。

このことは逆に、それまでいい加減な口頭同意がいかに多かったのか、ということを示しています。

ようやく、患者の人権、意思が尊重される時代になった言えるでしょう

また、治験に関わる資料(カルテ、データ、記録、書類)などについて、きっちり管理することが治験実施施設に義務づけられるようになりました。

その為、それに対応できるだけの医療機関はまだ少なく、治験実施施設の減少に製薬企業は悩むことになりました。

治験実施施設が減れば、当然、治験参加者数も減ることになります。

治験参加者が集まらなければ、新薬の効果を確かめる為に十分なデータが集まらないため、承認までの申請が遅れることになります。

もたもたしていると、同種の薬を他社に先に申請されてしまう可能性もある。

新薬は、先に市場に出した方がシェアを握る為、それまでに何百億と投入した新薬開発費は無駄になってしまう。

新薬の開発競争とはそれほどすさまじいのです。

そこで、各製薬企業は、2000年より、マスメディアを通じて、治験参加者を広く一般患者(患者候補者)から募集するという、
「治験参加者募集広告」をスタートさせたという訳です。

被験者募集広告
 
 

さて、申し込みの方法ですが、募集広告に必ずフリーダイヤル番号(無料)が掲載されているので、そこへ電話して申し込むことになります。

通常、「治験コールセンター」というような名称がついています。

各治験には、それぞれ、

● 対象となる疾患、症状
● 対象年齢、
● 対象性別
● 対象地域
  (治験実施施設のある地域、
   または、通える地域)

等が決まっていて、それらの条件は全て広告に明記してあります。

条件に当てはまらない方が電話しても、採用されることはないので、条件が自分に当てはまるかどうか確かめてから電話して下さい。

実際かかってくる電話の内容としては、

治験の参加申し込みだけでなく、治験に関する問い合わせ、健康相談、時には、家族の愚痴まで、いろいろあるそうです。

笑えるのは、ライバル製薬企業の担当社員が、患者のふりをして電話してくる場合もあるそうです。

しかし、あまりにも疾患や薬に詳しいので、バレバレだそうです。

いずれにせよ、本来は治験参加者募集のコールセンターなので、健康相談や家族の愚痴はほどほどにしましょう。

特に、募集開始日の1日目は応募が殺到します。

治験参加に関係ない話を電話オペレータに聞いて欲しい時は、せめて、2,3日後、いや最終日近くにかけるのが、社会人のマナーというものです。

なお、電話をかける日があまり遅くなると、自宅近辺の治験実施施設が募集定員に達してしまって、自宅から離れた実施施設まで通わなければならないこともあります。

どうしても治験に参加したい方は、早めに電話した方がよいいでしょう。

 
 

募集広告の条件に合っているからといって、電話すれば、必ず治験に参加できる訳ではありません。

募集条件に合っているかどうかを再確認されるだけでなく、それ以外に詳細な疾患状況を質問されます。

● アレルギーの有無
● 妊娠/妊娠可能性有無
● 授乳中か
● 肝疾患・腎疾患有無
● 最近半年以内の治験参加有無

など、かなり多くの質問事項があります。

それらを1つでも満たさなければ、そこで不適格となり、電話は終了します。

当然、今回の治験参加はできません。

 
 

これらの質問全てを無事パスして始めて、
自宅近くの、もしくは、勤務途中に通える治験実施施設(病院)を紹介してもらえます。

この際、最も近い病院が既に募集定員に達していた場合、次に近い別の病院を紹介されます。

もし、他に通える病院がなかったり、どうしても特定の病院に通いたいという希望がある場合は、キャンセル待ちとなり、後日再度電話し確認するか、電話番号を伝えておき、キャンセルがあったら電話してもらうことになります。

治験実施施設の紹介する情報は、病院名と電話番号、行き方などの病院情報と電話受付日及び時刻、病院の担当部署、担当者名などです。

治験参加者に病院に直接電話して予約してもらう場合や治験コールセンターで予約してしまって、治験参加者は病院に予約日時に直接行く場合など、治験実施施設によっていろいろなパターンがあるようです。

 
 

さて、実は、この段階の診察によって、治験参加ができないと判断される場合が多々あります。

治験コールセンターでのスクリーニングは
電話による確認なので、実際に診察してみたら、電話で言っていたことと違うケースはざらにあるのです。

また、治験コールセンターでの確認項目は、最低限のチェック項目に絞っているため、その他の詳細な検査(血・尿・血圧等)によっては、治験参加には不適格だと判断される場合も多いのです。

そして、医師による診察をパスして、晴れて治験参加者となれるのです。

このように、何重もの選考手順を経なければならないので、治験参加者になるのも案外大変なのです。

もちろん、その難しさの程度は、治験の種類にもよります。

インフルエンザや花粉症のような一般的な疾患では、どちらかと言えば治験参加のハードルは低いといえます。

 
 
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