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難病など、未だに有効な治療薬がない疾患の場合で、人命に関わる場合など、少しでも早く有効な治療を受ける必要がある場合は、治験に参加してみると、ある程度効果が期待できます。

もちろん、新薬候補物質に効果が無い場合もあることは、覚悟しておく必要があります。

また、治験においては、新薬候補物質ではなく、効果を比較するための「既存薬」を投与される集団に割り当てられたり、時には治療効果のない「プラセボ」を投与されることがあり、「新薬候補物質で治療したい」という希望(参加理由)に添えない場合もあります。

しかし、現在の治療にまったく期待が持てず、「新しい治療法に少しでも望みがあるのならば、ぜひ挑戦してみたい」という、やむを得ない事情をかかえつつ、積極的な闘病姿勢を持つ方には、治験参加は重要な選択肢と言えます。

では、なぜ「新薬候補物質なら、ある程度効果が期待できる」と言えるのでしょう?

これまでよりも、効果のある、あるいは副作用の少ないといった、患者に使用するメリットがある化学物質(薬効物質)だからこそ、医薬品として販売すれば、売れる(医療機関で処方される)ことが期待できるわけです。

製薬企業にとっても、莫大なお金と時間をかけてまで開発する意味があるのです。

効果が既存薬に比べて変わらない(あるいは効かない)、または強い副作用があることが分かっている化学物質は、莫大なお金と時間をかけて開発しても、売れない(医療機関で処方されない)だろうから、製薬企業にとっては旨みがありません。

そのような化学物質について、治験が行われることはまずありません。

製薬企業が、莫大なお金と時間をかけて治験が行うからには、「ある程度の効果が期待できる」「重篤な副作用はない」という「ある程度の確信・見込み」があるからです。

もちろん、その確信・見込みが完璧(的確)とは限りませんが。。。

まとめると、治験参加には、治療面において、次のような直接的なメリットがあります。

● 既存の薬よりも治癒効果がある可能性があります。

● 既存の薬と効果はあまり変わらなくても、副作用が少なければ、闘病上の苦痛の軽減が期待できます。

● 薬のタイプ(錠剤、飲み薬、注射、貼布剤など)が変わったり、投薬回数、投薬量が少なくて済む治験薬によって、闘病生活における服薬苦痛が軽減される場合があります。

治験
 
 

治験では、通常の診察よりもきめ細かい検査が行われるため、治療対象の病気だけでなく、体全体の健康状態をチェックしてもらえます。

もしかしたら、自分では気がついていない病気も見つかるかもしれません。

これは、治験薬が開発中の薬であり、副作用など予想できない事態が起こりうるので、慎重にチェックをしながら治験を進めるため、診察・検査が丁寧になるのです。

また、治験参加者には、専属スタッフ(通常、治験コーディネーター)がつき、生活指導や健康管理情報を提供してもらえるなど、健康相談にのってもらえます。

治験コーディネーター
(CRC)
 
 
治験に参加すると、待ち時間・診察時間に関して便宜がはかられます。

大学病院などの大病院の通常診察では、 長々と何時間も待たされた上に、3〜5分程度の診察で終わりという、ひどい仕打ちを受けます。

3時間待ちの3分間診療
とは、よくぞ言ったものです。
(ほめているのではなく、怒っている)

いずれにせよ、通常診療では、待ち時間が長く、それでいて、丁寧に診察してもらえません。

一方、治験に参加すると、通常患者よりも優先的に診察してくれます。

予約した時間に受付に行けば、ほとんど待つことなく診察を受けられます。

「○○さ〜ん、こちらへ来て下さ〜い」と、治験参加者用の特別診察室に通してくれる場合もあります。

他の患者がどんなに並んでいても、優先的に診察してくれるので、これはこれで、気持ちの良いものです。

また、次の来院のための診察予約においても、治験参加者の都合に合わせて優先的に 時間をとってもらえます。

もっとも、受診予約制度を導入している医療機関では、次の受診からはそれほど待たずに済むので、待ち時間や予約については、それほど大きな差はないかもしれません。

それでも、そのような医療機関においても、普通の患者よりも、待ち時間や予約の面で「優先される」ことは間違いありません。

 
 

「保険外併用療養費制度」という制度が適用されるため、治験に参加する患者の治療費負担額は、一般の治療に比べて、少なくなります。

治験参加中の診察料、検査料、薬代(一部)を負担してもらえます。

保険外併用療養費制度
 
 

治験に参加している間、受診や検査の為の外来や入院に対して、毎回、7千円〜1万円程度の「協力費」が、交通費や食事代という名目で支払われる場合が、最近は多いようです。

治験の為に通院したりすると、詳細な検査や診察などで、大抵1日仕事になってしまいますが、それに対する「負担軽減」という意味も含まれています。

→ 負担軽減費(治験協力費)

→ 治験FAQ<治験に参加したらお金(謝礼)をもらえるのか>

もっとも、これらのお金目的で治験に参加する場合、無職でない限り、あまりメリットはありません。

真面目に働いたほうが、ずっと多くの収入を得ることができるからです。

従って、交通費等の経済的補助があるのは、メリット(ゼロからプラスになる)というよりも、あくまでも、治験に参加することによる経済的デメリットを補い、せめて、マイナスからゼロに近づけるための措置と言えるでしょう。

負担軽減費(治験協力費)
 
 

治験への参加メリットや意義として、

● 医療の発展に貢献できる

● 将来の子供達の世代のための遺産

● 社会貢献のため

● 次世代のため

などと、ごたいそうに説明している製薬企業をよく見かけます。

しかし、あくまでも、

患者にとって、
 治験参加の
 最大の目的・意義・メリットは、
 自分の疾患の治療である」

はずです。

また、そうあるべきです。

もちろん、「そうでない」という殊勝な方もいらっしゃるでしょうが。。。

自分の身体の状況に関わる、
プライベートな問題であるはずなのに、

● 医療の発展のため
● 社会貢献
のため
● 社会のため
● 次世代のため
● 将来の子供達の世代のため

といった、
国家主義的・全体主義的な
ニュアンスを持つ言葉を、
安易に軽々しく使うことは、

「お国の医療の発展のためなら、
 次世代、子孫のためなら、
 国民は自分の体を提供するべきだ

という過激な思想に発展する可能性が、
十分考えられます。

絶対に賛成できません。

それはナチスドイツ、旧日本軍の
人体実験すら思い起こさせます。

「医療の発展のため」「社会貢献のため」「社会のため」「次世代のため」「将来の子供達の世代のため」などという言葉を持ち出されたら、人は断りにくくなります。

個が未熟な日本人は、特にその傾向が強くあります。

「断りにくい」と感じた瞬間、そこに、「強制・強要」「半強制・半強要」が生まれます。

● 治験参加は義務ではありません

● 治験参加は、患者の自由意思によるものでなければいけません

なんぴとたりとも、治験参加を強制・強要してはならないのです。また、それとない言葉で示唆して、仕向けてもいけないのです。

● 患者は、通常治療と同様に、自分にとって治療効果が期待できるからという理由で、治験に参加すればよいのです。

治験は、あくまでも自分のために参加するものであって、「社会貢献のため」「社会のため」「次世代のため」「将来の子供達の世代のため」に参加するものでは、決してないのです。

他人のために、自分を犠牲にしてまで、リスクを冒してまで、治験に参加する必要などありません。

もし何か社会貢献をしたいのなら、別の方法がいくらでもあるはずです。

 
 
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