第1相試験で健康な成人を用いるのはなぜか?

第1相試験の対象者(治験参加者)は、
健康な成人(健常者)と指定されていますが、
それには以下のような理由があります。

1.健康な成人の場合、
  特定の疾患を持つ患者を集めるのに比べて
  比較的短期間に治験参加者を集めることができる。

2.健康な成人の場合、疾病を持たないので、
  治験薬の作用に影響する他の薬剤を
  投与(服用)している可能性が低い。
  従って、正確に治験薬の安全性・薬物動態を確認できる。

3.第1相試験では、安全性だけでなく、
  薬物動態の検査も同時に行われる。
  吸収・分布・代謝・排泄や
  標的器官への到達時間、到達量などを明らかにする為、
  採血やその他の検査を頻繁に行う必要があり、
  健康な成人であれば、それに耐えることができる。

※ただし、例外があります。

  抗癌剤の治験の第1相試験では、
  健康な人を試験対象とすることは禁じられています。

  抗癌剤は
  毒性の強い物質を使ってがん細胞を死滅させるため
  副作用が強力で、身体に与える負担が大きいなど、
  逆に健常者の健康を害してしまう
  ことがわかっているからです。

  抗癌剤は、効き目が高い薬でよく見られるように、
  有効量と副作用が発生する量が近接しているので、
  投与コントロールが難しく、リスクが高いのです。

  従って、抗癌剤に限り、
  第1相試験から癌患者を対象に行われます。

  もし、今後、抗癌剤以外に、
  強い副作用を持つ新薬が開発された場合、
  抗癌剤と同様に、
  第1相試験から患者を対象に行われるでしょう。

▲Topへ

 
 
第1相試験で健康な成人を用いるのはなぜか?
軽度の患者を対象とした第1相臨床試験

  ところで、第1相においては、
  健康に全く問題の無い健常者だけでなく、
  特定のタイプの患者(正確には患者予備軍)、
  (例えば、軽度の高血圧症の患者)
  を対象とした試験が実施され場合があります。
  症状が「軽度」であり、
  治療が必要と判定されるほどで無ければ、
  「健常人」として、
  第1相の試験に参加させることができます。

  では、なぜわざわざ軽度の症状の患者を、
  健常者として採用するのでしょうか?

  これは、少しでも対象疾患患者への効果の傾向を
  調べておきたいからです。
  この時点で効果があることがある程度わかれば、
  製薬企業(医薬品開発企業)は、
  次の患者を対象とした第2相試験に、
  安心して望むことができます。

  もちろん、軽度の患者であっても、
  健常者のデータ、単なる第1相のデータとして扱われるので、
  この時点で画期的な効果が見られても、
  申請手続き上のメリットはありません。
  第2相以降で患者での効果を証明しなければなりません。

  それでも、効果の見当をつける目的において、
  軽度の患者を第1相で採用するのは、
  それなりに十分意味があることだといえます。

  もし、第1相で何ら効果が見られなかったら、
  その新薬候補物質の効果は疑わしい。
  第2相に進まず、第1相で開発を中止すれば、
  製薬企業は無駄な出費を抑えることができます。

  これより先に進むべきかどうか、
  Goか No Goかを選択する上で重要な情報を、
  第1相で入手できる為、
  軽度の患者を採用した第1相試験は、
  ある意味賢い方法なのかもしれません。

  なお、謝礼、賠償・補償も含めて、
  第1相試験参加に関わる全ての手続きにおいて、
  例え、軽度の患者ではあっても、
  通常の「健常者」と全く同じ扱いになる点について、
  参加者、治験実施側ともに、留意しておく必要があるでしょう。

  軽度の患者を第1相試験に参加させる場合であっても、
  あくまでもそれは治療目的ではなく、
  安全性や最大耐性用量を確認するのが主目的
であり、
  疾患への効果を確かめるのは二次的、
  つまり、おまけのおまけに過ぎないのです。
  治療に最適な用量さえ未定の状態なので、
  治ることを期待しない方が良いでしょう。

▲Topへ

→ 第1相試験の対象が男性だけなのはなぜか?
→ 第1相試験
→ 健常人
→ 臨床薬理試験 
→ 生物学的同等性試験

→ 第1相試験の参加者募集ページ

▲Topへ

←治験ナビ・治験Q&Aインデックス
←治験ナビ・フレームトップページ